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かわいい女の子

4月10日。朝の7時。


ジリリリ!!


けたたましい音と共にベッドの脇に置いてある目覚まし時計が暴れだす。


「ん、ううん……」


もう朝か……

あと3時間くらいは寝たい。だけど、寮長が新学期早々、遅刻なんてそんなことできない。


「くうう、うん……!」


オレは気合を入れて起き上がると、洗面所へと向かい、バシャバシャと冷たい水で顔を洗った。本当はお湯を使いたかったが、手っ取り早く目覚めさせるなら、水が一番だと思ったからだ。


そして顔を洗い終えると化粧に移る。

といっても、がっつりするわけでもなく、軽くするだけだ。ファンデーションとマスカラと口紅くらいでいつも終わる。


「うん、よし」


手鏡で仕上がりを確認する。うん。今日もバッチリかわいい……と思う。


化粧が終わるとあとは制服に袖を通し、最後にウィッグを付けて完成。これで智花の完成だ。


と、準備が終わると同時に部屋のドアがトントンとノックされた。

朝のこの時間に二回ノックをするのは、都さんが来たって証拠だ。


返事をせずに数秒待つとガチャッとドアが開いた。


「あ、支度終わってたのね」


部屋に入ってきた都さんがそう言う。都さんも制服を着て、いつも通りの姿だ。


「うん、ちょうど終わったところ。朝ごはん行きましょう、都さん」


「そうね」


そうして、アタシ達はいつもの如く、連れ立って食堂へと向かった。



おはようございます。

おはようございます。


食堂へ向かう途中、すれ違う度に何人もの生徒から挨拶をされる。


「おはよう」


その度に、にこやかな笑顔でそう返事をする。


「寮長、人気者だね」


すると、隣を歩く都さんが茶化すようにそんなことを言ってきた。


「ちょ、やめてください……どうせ、みんな新しい寮長がどんなものかって興味からですよ、きっと」


「いやいや、智花、かわいいからなー」


「ぶっ!やめてください、本当に……」


思わず、吹いてしまったじゃないですか。

かわいい。この言葉にはいつまで経ってもなれない。この生活を初めてもう半年か……

案外早いような、長いような、濃いような、とにかく色々あった気がする……

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