ぱられる
「疲れた……」
寮の部屋に帰ってきて、早々に部屋のベッドにぼぶっと倒れこむ。
今日は特に疲れた……
新入生の案内がこんなにも疲れるものとは想像してなかった。早くお風呂に入って寝たい。
オレはもぞもぞとベッドの上で手を動かすと、付けていたウィッグを外した。
と、同時に部屋のドアがノックされた。
「どうぞー……」
力なく返事をするとほぼ同時にドアが開いた。
来客か……って、まずい!!
慌ててバッと顔を上げると、そこにはクライメートの都さんがいた。
「ちょっと何やってんのよ!?ウィッグ外したまま、どうぞとか言っちゃダメでしょ!!」
怒り心頭とはまさにこのこと。目を背けたくなるほどの普段とは真逆の顔で都さんはオレを怒鳴りつけた。
「ごめん……なさい。疲れてて、つい……」
「ついって……まぁ気持ちはわからなくないけど」
そう言いながら、都さんはオレの前にイスを持ってきて腰掛けた。
オレも、よろよろベッドから起き上がり、ウィッグを装着し、ベッドの上に座った。
「都さんは疲れてないの?オレ……じゃない、アタシはもう疲れちゃったよ」
「案外体力ないのね、あなた……私は部活で鍛えてるからこのくらい別に。それにあなたの方が負担はあっただろうから」
言いながら、都さんは部屋にあったティーポットにお湯を入れ、手慣れた手つきで紅茶を淹れてくれる。
「それにしてもあなたも災難ね。この学校に通うことすら大変なのに、更に今年から寮長だなんて」
「本当ですよ……まったくあの親ときたら何を考えているのやら……」
がっくりと項垂れながら、都さんの淹れてくれた紅茶を飲む。うん、相変わらず美味しい。インスタント物だけど、なんとなく気持ちがホッコリする。
「私もサポートできる部分はサポートするから、頑張りましょ」
「はい……」
力なく返事をして、そこから先の記憶は曖昧なまま、1日が終わっていった。