ナナのとある日々
ちょっと挟みたかったんですよね、キリがいいのでやってみました。
私はいつものように洗濯物を運ぼうと、カゴをとって洗濯物を干しに行きます。
「ああ、ナナ。今日、ちょっと仕事頼まれてくれないかな?」
私に話しかけてきた人は、私より少しだけ先輩のニノさんだ。
「何をでしょうか?」
「うん、ちょっと私隣の街まで急ぎでお手紙を届けなきゃいけなくなったから、一階の掃除だけ頼まれてくれない?」
まあ、急ぎなら仕方ないですね、ニノさんはいい人ですし、頼まれましょう。
「わかりました、じゃあ、一階だけやっておきますね」
「ありがとう!ナナちゃん、今度ケーキ奢るから」
ケーキ!やった!ちょっと張り切っちゃいますよ〜。
少しでも早く終わらせる為に、いつもとは違う場所を通ります。
「急がないと、ケーキが、私のケーキがなくなっちゃう!」
すると、お嬢様が庭で魔法を使っていました。
私は仕事のことを忘れて、見入ってしまいました。
「お嬢様?」
私に見られている事が分かったお嬢様は、アワアワと慌てて私のそばにトテトテと走ってきて、私に上目遣いで言ってきました、う、上目遣いは反則です!お嬢様!
「あー……ナナ、この事は内緒にしてくれない?」
グハッ、お嬢様……上目遣いに涙目のコンボはヤバイです!ダメ!本当に……。
ーブッー
あ、鼻血が……ヤバイです、慌てるお嬢様もとっても可愛い……カゴなんか取り落として、両手で顔を隠しますが、鼻血は止まってくれません。
「ナッ、ナナ!大丈夫!?」
いえ……お嬢様が子猫……天使ですね、天使の様に可愛いすぎて、もうおかしくなりそうです……。
「グハッ……私は……お嬢様のメイドで……幸せでした……」
ガクッ、私は気絶しました。
「お嬢様ッ!」
「おわあ!?なんじゃい、びっくりさせるでないわ、戯け」
私が起きた時に目に入ったのは、白衣を羽織ったロリばB……ゲフンゲフン、この屋敷の医師、エルフのヘレンさんです。
「お主、今とても不愉快な事を考えておらんかったかの?」
しかも、勘がとても鋭いというおまけ付きです。
因みに、ロリババアとでも言ったら最後、ニッコニコの笑顔で魔法の実験台にさせられるらしいです。
ふう、思った事を思い出しただけで怖くなります……。
「お主、どんなことをしたらあんな風に鼻血が出るんじゃ?ルナ様に殴られたのか?」
「そんな訳ないじゃ無いですか、ある意味では殴られましたけど……」
「どう言うことじゃ?」
「えっと、お嬢様が魔法を使っている所を見てしまって、私に気づいたお嬢様が私に向かって上目遣いと涙目のコンボで私の理性が殴り壊されました。それで鼻血が止まらなくなったと言うわけです」
「ほー、可愛い娘のそれは……しょうがないの。お主、このままずっと鼻血を出し続けると、立ちにくくなるぞ?」
「ええっ!?何でですか!」
「血は治療魔法では戻らんのじゃ。だからクラッと来たり、フラフラするようじゃったら治療魔法でも掛けておくんじゃぞ、ワシが掛けてやっても良いが……」
「いえ!大丈夫です!」
昔、と言っても二年ほど前ですが、ヘレンさんに掛けてもらった治療魔法(?)の所為で、身体能力が異常に上がり、今では執事兼Sランク冒険者のこの屋敷最強の執事になったそうです。
と言うか、それって治療と言うより身体の強化ですよね?
一日経って、私が仕事をしている時にセリオス様が私に着いて来る様に言い、歩きながら説明をしてくれました。
曰く、お嬢様が学園に行く事が決まったため、お嬢様が私の本音を聞いて決めたいと思っている様子であり、その為に私をお嬢様の所へ連れて行くそうです。
お嬢様は、私に真剣に……でも可愛く聞いて来ました。
「私は学園に行くけど、ナナはどうしたい?」
私は……私は一緒に行きたいです、でも、お嬢様の足手まといにならないかと心配で……。
「わ……私は……迷惑でなければ……一緒に行きたいです……!」
ダメか、良いか、分かりません、もしかしたら、断られるかもしれない、そう思うと、自然と涙が出てきました。
「いいに決まってるじゃない!一緒に行きましょう!」
ぅう、よかった……これで私はもっとお嬢様と一緒にいられます!
「……ッ!はいっ」
この幸せがずっと続きますように。
学園の試験が終わると、お嬢様が冒険者ギルドに行こうと言い出しました。
えぇ!?で、でもセリオス様に怒られないでしょうか……戸惑っている私を他所に、お嬢様は冒険者ギルドへ進んで行きます。
冒険者ギルドは、皆んな大人で少し怖いです。
お嬢様は怖くないのでしょうか……。
列に並ぶと、髪の毛の無いおじさん冒険者がお嬢様の前を取りました。
お嬢様は挑発していますし、おじさんは激怒しています。
私は怖くて何もできませんでした。
ギュッと目を瞑っていると、冒険者が倒れていました。
お嬢様が勝ったのですね!流石です!
早速依頼を受け、ウルフ退治をしに行きます。
森には、赤い色のウルフが一匹と、ウルフが五匹、お嬢様の前に現れました。
お嬢様は怖がりもせずにウルフを殴り、ウルフは凄い勢いで飛んで行きました。
ウルフ達は私達と反対の方向へ逃げて行きました。
お嬢様はウルフ達を追いかけて行き、私は少し後ろを着いて行きました。
ひらけた場所に出た時は、私は慌てて岩陰に隠れてお嬢様を見ています、そこには、黒い毛のウルフと、さっきいた赤いウルフと、普通のウルフがいました。
じっと息を潜めたままお嬢様の戦闘を観察します、私ももっと強くならなくちゃ……。
すると、急に何か声がしました。
《スキル・【隠密】【暗殺術・低級】を入手しました》
ふぁっ!?何ですか?今の声は……びっくりし過ぎて声が出るところでした、でも、今は何だか私も戦えるやうな気がします、勇気を出して、赤いウルフに近づきますが、全然こちらに気づかない様子です、護身用に持っていたナイフ二刀で首を裂きます。
今までは、魔物と戦った事もありませんでしたが、案外簡単な物だとわかりました。
続けて唖然としているもう片方の赤いウルフをナイフで首を切り落とします。
「で、出来た……」
後はお嬢様と黒いウルフだけです。
お嬢様は、私の事を褒めてくれましたが、メイド服が血に濡れているのを指摘されて、このままではいけないと思った私は、水魔法の『清浄』で服の汚れを落としました。
素材……と言うか、魔物は私が『インベントリー』で持ち帰ります。
明日からはいよいよ学園です……ワクワクして、ちょっと不安な……屋敷の採用試験の様な気持ちです。
次回からは学園です