ほのぼの、街の英雄さん
……何で更新遅れたかって?
他の事に集中し過ぎました、本当にごめんなさい。
「うぅ……」
めが覚めたのは、見慣れない空の下、膝の上に頭が乗せられていた。
上から覗き込んでくるのは、破壊を司る神様のミスティさん。
「起きた?」
「はい、最後のあれはミスティさんが……?」
「うん」
余り自分から喋ろうとしない時もあるので、会話が途切れる。
「もう大丈夫です、帰りましょう」
「わかった……でも、帰ったら凄いことになってる」
「ど……どんなですか?」
「街の人全員がルナちゃんを英雄だと思ってる」
え!うっそぉ……ちょっと待って、散布させたのは大体絞られてるし、そんな私が嫌がりそうな事するような人は1人しか居ないけど、一応、念のため聞いてみる。
「……ルナちゃんの学校の校長」
「あの……老いぼれめぇ!」
私の苛立ちとちょっとした泣き言がミックスされた大声が森に響く。
山は少ないけど、山彦が聞こえてきた。
「うっうっ……帰りたくないよう」
本気で泣きそうになりながらミスティさんと手を繋いで引き摺られるように歩く。
街は既にお祭り騒ぎだったが、私がコッソリ離れようとしても、ミスティさんが手を握っているのでそんな事ができる訳もなし。
……嫌だぁ、あんまり大勢から注目されるの大嫌い……冒険者ギルド?あれはチンピラだし、攻撃しても問題ないから大丈夫なだけで……。
「ルナ様が帰って来たぞー」
……魔法の発動を感じ取った、これ声帯を少し変える魔法だよ……校長、夜道には気をつけるんだな……。
いっそ呪術で好きな事が出来ない、又は私が嫌がる情報を故意に話そうとした時に気絶するような魔法でも仕掛けるか……?
「「「ウワァァァァァ!!!」」」
歓声ヤメテ、本当に泣きそう……魔力で何とか涙を流さないようにしてるけどさ……。
あの後は、何とか普通に振る舞い、校長に鉄拳を食らわせ、慣れて来たので私もお祭り騒ぎに混じった。
慣れって怖い。
でも、串焼き美味しかった!
今日疲れて眠った癖に、お祭りでまた疲れた……。
おやすみなさぁい……zzz
ビクゥッ!
び、びっくりした……こんな風に自分の身体がビクッ!ってなって、それにびっくりして起きる事って、たまにあるよね。
あれ?少し背が伸びてる……?
立った時に、微妙ではあるけど視線が高くなった気がした。
気のせい……かな?それとも成長期?
どっちでもいいか、朝ごはん食べよ。
最近、母様が朝この様に来る事が多くなったので、朝ご飯も作ってもらっている。
くんくん、今日は野菜スープかな?カーミラはそこら辺で魔力を使って楽しんでいた……魔力!?
つい、見本になるような二度見をしてしまった。
ほぉ〜、ちょっとだけ教えて上げようかな?
私は魔力を手に出し、形を変えていく。
カーミラは見様見真似で私の真似をしているが、正直とてもセンスが良い、これは将来が楽しみだ。
ご飯を食べ終わった後は、街の人達がちょっと怖いので、どうすれば良いのかミスティさんに聞いた所、私は適当に仁王立でもしてればそれっぽいスキルが手に入る……って、それ本当?
やりたくは無いけど……自分の部屋の鏡で私のそれっぽい仁王立をしてみる。
なんか、人を見下すような気がしてならない……。
《スキル・【風格・中】【精神強化・中】【演技・低】を習得しました》
……本当だ、なんかそれっぽいのが手に入った。
「可愛い」
「みゃぁぁぁ!」
恥ずかしい……けど、そこまでじゃない?
っていうか、ミスティさん……いつからそこに。
「ルナちゃんが頑張って仁王立してるところ」
……恥ずかしい。
でも何か、前より恥ずかしくない。
スキルのお陰かな?
「どう?恥ずかしくなくなってきたでしょ?」
「……本当だ、さっきまで考えるだけでちょっと怖かったけど、何ともない!」
「じゃあお買い物でも行く」
母様が色々と足りない物があるので買ってきてほしい、との事らしい。
じゃあ行きますか!
街到着、それと同時になぜかできるひとだかり。
何ともない、それどころか普通に対応できる、スキルってスゲー!
おっと、買い物買い物……。
「これ3つ、これ1つ、これ6つと……あ、これも」
そんなこんなで、沢山買おう……としているのだが、お店の人が……。
「いえいえ、英雄様にお金を払ってもらうなんて……」
「だから、それじゃこっちが困るんですって……」
値切る、のではなく、お金を払う為に金額の増加を請求する、というとても珍しい遣り取りの最中なのである。
「金貨2枚!」
「無料です」
「金貨1枚!」
「無料です」
「……銀貨1枚」
「……そ、そこまで言うなら銅貨2枚です」
なんだろう、払った気がしない……これさ、金貨3枚相当は買ってるんだよ?全部アイテムボックスに入ってるけど……それが銅貨2枚て……こっちの世界の物価は少し安いけど、三万円が2円に値下がりだ、こうなれば事の異常さがわかるってもんだよね。
まあでも、くれるってんならもらう、最低限お金は払うけど。
「うーん、ついでに魔物のなかでも取ってこよう、ミスティさん、先帰ってても良いですよ」
「ん……でも一緒についてく」
「わかりました」
外に出るまで周りの視線が凄かった。
えっと……どんな肉がいいかな?
「……さっきから思ってたけど、ドラゴン肉じゃ駄目なの?」
「っあ」
「……忘れてたんだね」
そそそ、そんな事ないでしゅよ!?本当だよ!
さ、早く帰ろー!
「……誤魔化した」
あーあー、何も聞こえな〜い。
島へ時空魔法で帰り、母様に報告する。
「お帰りなさい、早かったのね?」
「うん、お店の人が選んでくれたのと、色々揃ってるお店を直ぐに見つけられたから」
「じゃあここに出してくれない?」
「は〜い」
鼻歌を歌いながらどんどん買った物を出す。
……母様とミスティさんが柔らかい笑みで私を見ている、私も自然と笑顔になる、そんな空気だ……った。
「おぉ〜、ここがルナの家かい?すごい場所だね」
そこへ扉から父様が入ってきた、それでさっきまで柔らかかった雰囲気がすこし(だといいけど)崩れた。
「あなた、もう少し空気というものを読んでくれないかしら……?」
母様が苦笑いしながら父様に言う、それを見守る私達。
はぁ……父様、優しそうなのに空気読めないんだね……。




