……何が何でも魔道具です
主人公の体術は、肉体を(人外まで)鍛えるようなもので、技はありません、主人公の父曰く「技くれぇ自分で考えろ」だそうです、主人公の構えは無防備に見えた完成形……です。因みに技は考えていない模様。
……どうしよう、私神器作っちゃったよ、今更返してとも言えないし……もう良いや、あれの事は仕方ないって事で割り切ろう。
まずはミスティさんに渡された本を読むことにする。
『神器とは、一定以上の神力、又は下界の超越した存在が魔道具を作る事で生まれる事がある。作ろうと思ってもそうそう作れる事は出来ないのが神器である。先ず、超越した者が魔道具を作る事自体無いので、神以外は作る事が出来ないと言われるだけである』
……この世界の本って半分は間違ってるんじゃない?
折角読んだんだし、ちょっと作ってみようかな……?
盗賊から奪……貰った鉱石がまだあるから、作る物を何にするか考えよう。
剣……はいらないし、杖……は使わない方がカッコいいし……あ、鉤爪でも作ろうかな?普段は爪が出てないやつで、五本あって邪魔にならない程度のサイズのやつ、良いかも!やってみよっと。
先ずは爪部分に当たるものを作らないといけない。
金槌で叩く、叩く、叩く……。
……ん?これって一気に作った方が良くない?
10本一気に作る気で打ったら、10センチ程の爪部分が出来た。
手袋の様な感じになりそうなので、ドラゴンの鱗を装甲に使って、中はデスウルフの毛皮を使った暖かい手袋(凶器)が出来上がった。
後は液化魔力に浸けて十分待つ。
…
……
………
…………
はい出来た。
部品を入れると勝手にくっつくのは謎だ……凄く不思議だ……けど気にしたら負けな気がする。
えーと……呪印は……『壊強化』『体温調整』『魔力スイッチ』にした。
試しに鑑定してみると……
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暖か手袋(最凶器)
レア度・神器
製作者 ルナ・アートステント
説明
ルナちゃんが魔道具を作ろうして手違いで出来てしまった神器。
破壊されても復活し、その度強化される優れものであり、装備者の体温を自動で調整してくれるので、寒くも暑くもなくなる。
魔力を一瞬でも流すと爪が出てくる仕様で、仕舞う時も魔力を少し流せばいい。
効果
『壊強化』『体温調整』『魔力スイッチ』『超清潔』
『取り外し不可』
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……嘘でしょ?また神器作っちゃったの?ちゃんと超越者でも魔道具になる場所読んだのに……あ……
『又、製作者が意図せず効果が追加される事があり、四つ以上効果があるものも神器になる』
最後の注意書き読んでなかったぁぁぁぁぁぁぁ!!!
取り外し不可って……もう付けちゃったんですけど?……頑張っても取れない……せめてもの救いは汚れない事かな……。
効果の『超清潔』は、壊れない、又は壊れても復活する神器をずっと清潔に保つという事、寝る前に装備者を水魔法の『清浄化』で綺麗にしてくれる事かな……。
コレは魔道具!コレハ魔道具、コレハマドウグ、異論は認めない。
はあ……お腹空いてきたし、食堂に行くかな……。
ナナの教室の前で待っいて、ナナと一緒に食堂に行こうってなった時にそいつは現れた。
「どけどけー!」「セイジ様のお通りだー!」
……王子と取り巻き二人のみんなからウザいウザいと言われている第2王子だ。
私はため息をつきながら横を通る。
「おい!お前!」
王子が誰かに向かって怒り?をぶつけている。
「お前だよ!止まれ!」
突然肩を掴まれてまたため息を一つ。
「ハァ、何ですか?私今お腹減ってて少し機嫌が悪いんですが……」
「お前、俺の妃にしてやるから嬉しく思え!俺は次期王になる人間だからな!」
ドヤ顔で少しの羞恥心もなく言ってきた。
……うわー、ウッザ、みんなからウザがられるのも分かるわ。
「結構です、結婚とか興味ないので」
足早に立ち去ろうとするが、取り巻きに両腕を掴まれた。
「い、今だったらさっきの言葉を取り消してやる、さっさと妃になると言え!」
取り巻きは私の腕を抱える様にして持っていたため、服の首部分を持って地面に叩きつける。
王子は私の事が非力だとでも思っていたのかビビっている。
「妃になんてなりませんよ、あと……迷惑なんですよ、消えてください」
王子の近くに詰め寄り、股間を蹴り上げた。
「ぐぉぉ……」
白目を剥いて倒れた王子を他所に、私達は食堂へ向かった。
「……あの、お嬢様、その、王子様の事は本当に良かったのですか?」
「ん?へーきへーき、だってあんなの王になる訳ないんだから」
ボアの肉を食べながら言う、あ、ボアの肉美味しい、今度差し入れしてあげよう、母様に。
王子の事はその少しの会話で終わった。
王子哀れなり……。
一連の事件を見ていた第三者がここにいたとしたら、「お前がやったんだからな!?」と言った事だろう。
「さて、研究室に戻って来た訳だけど、コレで試し斬りでもするかな」
さっきの鉤爪のついでに案山子っぽい物を作っておいたのだ。
木、石、鉄、強化鉄の四つで作ったのだが、強化鉄だけアダマンタイトより一段下の硬度になってしまったのだ。
さらにこの案山子、再生機能付きなので、しばらくすればまたサンドバッグになってくれるのだ。
鉤爪の爪を出し、試しに軽く払ってみる。
シュパッという爽快感のある音を残し、木の案山子が超綺麗な断面で切断された。
バターを熱したナイフで切ったような断面だ、見たことないけどね。
木の樹齢がよく分かる程に綺麗だ、樹齢の数え方知らないけど。
よし、今度から爪は余り使わない様にしよう。
強化鉄も難なく切り裂いてたからね!
……何か魔王っぽい事もしたいけど、先ず魔王っぽい事が何かわからないから出来ない。
ダンジョンでも行くかな……。
私は取り敢えずこの街の近くのダンジョンに行く事にした。
「ん〜……上層は一気に飛ばそうかな?ほかの冒険者が一杯いるし」
有言実行!って事で常人離れした速度でボス部屋に到達、道中は鉤爪を出して、クルクル回りながら走って来た。
冒険者はなんとか避けてたし、目が回りそうになったけど何か急に楽になったし、途中から斬撃出て来てたから、多分通り道が血まみれになっている事だろう。
もう自分の能力で驚かないって決めたんだ。
ラッキーなことにボスは倒されたばかりだったようで、ボス部屋はもぬけの殻だった。
走る〜走る〜俺〜た〜ち〜……私一人なんだけどね……。
落とし穴が目の前にあるぞ?飛ぶよね、勿論回避するよね、ジャンプして飛び越えた……は良いんだけど、
「うわわわっ!」
まだ背が小さくてギリギリつま先が地面に着いた程度、流石にそんな態勢でバランスを取れるわけもなく……落ちる。
穴に落ちて底に着く瞬間、魔法陣が展開され私は強制転移した。
「いっててて……」
ん?妙にフサフサしてるな……藁?ってこれ、鳥の巣?妙に大きいな……ひょっこりと、巣の縁から外を眺めると、虎の頭、蛇の尻尾、鷹の体をした魔物と、ビッグでファットなスライムと、半分爛れた体で腐敗臭が鼻にキツイドラゴンが戦っていた。
……何このカオス……。
一旦整理しようと巣の中に視線を戻すと、卵か一つあった。
何だこれ?鑑定してみよ。
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何かの卵
レア度・不明
説明
魔物の卵。
魔力を食べて育つ。
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えっと、それだけ?
もう一度鑑定。
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何かの卵
レア度・不明
説明
魔物の卵。
魔力を食べて育つ。
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何も変わらず。
……取り敢えず、卵を返してみたい、私は何故かその欲求に駆られた。
魔力を流すこと3分、カップラーメンかよと言いたい所だが、生憎これは卵だ、カップでもラーメンでもない。
ーピキッ……ピキキッー
お?お?孵るか?
出てきたのは
…
……
………
…………
……………
………………
ごめんなさい、溜めが長いよね、
出て来たのはスライムだった。
うん、もう一度言う、スライムだった。
卵からスライムが孵る事なんてあるの?……あるんだろう、多分……?
まあそれはそれとして、返しちゃったんだし、責任は持たなければいけないのかな……?最近フクロウさんは島で自由気ままに遊んでるし、いいかもね。
コッソリと出て行こうとして、地面に降りた時。
ーパキッー
ノォォォォォォォォォォ!?この枝!何でこんな所にあるんだよ!?
……ほら、さっきの怪物がこっち向いたじゃないか、二度見してるじゃないか……
「あ、アハハ、じゃあ私はこれで……『転移』」
ふう、あと少しで大変な事になる所だった……。
スライムは私の腕に抱かれている。
何か一言どうぞ。
『ピュイ!』
ありがとうございました、何いってるか全く分からんけど。
《スキル・言語理解を習得しました》
お久しぶりの声が聞けた、さっきのは「よろしく」と言った……らしい。
よろしくね。
それとこの鉤爪、どうにかならないかな……?
ウーム(;´д`)ごめんなさい、投稿遅くなりました……
そしてまた中途半端な終わり方!え?ちょ、石投げないで!尖ってる奴あるから!




