魔王(規格外)の誕生!
もうすぐテストなんです、まあどうせ変わらず中の下あたりなので、殆ど勉強するつもりはありませんが……
(^-^;
ナナの教室に行き、何とか先生に気付かれずに用事を伝えた私は、風魔法で飛び、家に向か……おうとしたら、上空にラピ○タが……いや、あれ確か創造神さんがノリで作った魔王城だっけ?取り敢えず、あの島に行ってみる。
ある程度まで近づくと、結界が張られていた。
《魔力認証を開始……完了……声帯確認……発声して下さい》
ロボットとかから出てきそうなん声ではなく、ミスティさんの声だった。
これも創造神さんのノリなのか……。
「ええっと……何て言えばいい?」
《声帯確認……完了……パネルに手の平を当ててください》
魔力で出来た細かな線がたっくさんあるパネルに手を置く。
《指紋認証……完了。ようこそ、我が主人》
さっきまでかなり離れていた島に、一瞬で着いた。
認証が終わった後は自動でここまで転移する仕組みの様だ、目の前には白と赤で彩られた魔王城の名に似合わない城があり、周りを見れば透き通った水晶で出来た噴水、本で見た1日毎に違う色に変わる花、錬金や鍛治、魔道具作りに必要になる魔力華全24種、しかも風水地光闇の精霊さんまでいらっしゃる始末で、各精霊の代表(上位の中で最も精霊王に近い精霊)に主人になってくれと言われたんだが、私の持ってない属性の子もいるので、契約出来ない子には謝ったんだが、
『精霊はね〜?自分の属性を持ってない生き物は嫌いなだけで契約出来ないわけじゃないんだよ〜?』
え?本で読んだ事と違うし、初耳なんですけど?
『でもねでもね〜?私達はルナちゃん大好きだからね〜?契約してほしいな〜?』
地の精霊に便乗するように光と闇の精霊もウンウンと頷く。
「う〜ん……皆んながいいなら私は良いけど……」
『『『やったやった〜』』』
『私達と契約してくれれば後の子は皆んな契約した事になるから、大丈夫だよ〜』
そうなの?じゃあやろう。
契約は、精霊達の言葉に同意する簡単なモノだった。
私から出る魔力で力を得るらしいので、島にいる時は解放する事にする。
風の精霊が島を浮かせているのかと思ったが、島の地面の中心付近にダンジョンコアを使っているそうだが、魔物が出る心配は無いようだ、この島を浮かせる事以外は何もしないらしい。
それと、ダンジョンコアは私の命令を聞く設定にしてあるようで、島ごと家に行く事にした。どうせだし、家に『ゲート』でも作っとくかな?いつでもここにこれるんだし。
家の近くに着いたので、家の敷地に向かって島から飛び降りる。
スカイダイビング……又は紐なしバンジーとも言うが、私のステータスならかすり傷も負わないはずだ、ただし、庭にクレーターが出来るのが目に見えるので、風魔法で速度を落とすのは忘れない。
庭に着いた時、母様と見慣れぬ赤ん坊が居た。
「……母様?その子は……」
母様はびっくりした後、子供が生まれたと言っていた。
はっや!?私が王都に行ってから四日程度しか経ってないよ!?
母様に聞くと、犬の獣人は出産がどの種族よりも早いそうだ、地球では考えられないね。
カーミラ(赤ん坊の名前)は母様と容姿が殆ど一緒で、女の子らしい、瞳は左が青、右が赤で、髪の色だけが父様似で、緑色だった。
試しに抱いてみると、目をパッチリと開けて私を見てきて、その後ニパッと笑った。
……一瞬この子転生者じゃ無かろうかとも思ったが、目を見て、完成された感情のない、喜びを前面に表しているので大丈夫か、と考えを捨てた。
「ど〜お?ルナもそんな感じだったのよ〜?」
知ってます、ちゃんと分かってたので、なんて言えるはずもなく、「そ、そうなんだ……」と曖昧な返事を返す。
「あ、それとルナ、あれは何かしら……?」
母様が指差したのは……うん、わかってたよ、不思議に思わない方がおかしいよね、空飛ぶ島なんて……。
「ああ……ええっと、私の家?」
流石に私自身も唐突の事だったため、疑問形になるのは仕方ないと思う。
「まあ、素敵ね!ルナ、今度連れて行ってくれる?」
ええ?まあゲート作るし、いつでも来れると言ったら時空魔法を扱える事に大層喜び、寝室に作ってくれと言われた。
私も何処に作ろうか迷っていた所なので、有難いのだ。
『ゲート』を作った後、忘れそうになっていたお金を母様に渡す。
「る、ルナ、この大金はどうしたの……?」
そりゃ、娘がいきなり大金持って現れたら犯罪とか疑いたくなるよね……。
「冒険者になって稼いできたの」
渡した額は日本円換算で50万なので、子供が稼ぐには考えられないような金額だ。
「母様、父様にちょっと仕返しがしたいので、これからも母様にお金を渡します。何に使ってもいいですが、父様には最低限のお金だけ渡してください、仕返しがしたいので」
大事な事だから二回言った。
母様も父様に何かあったのか、いつもの笑顔で頷いてくれた。
「じゃあ、今度は『ゲート』から来て下さいね、私から行くかも知れませんが……」
「ええ、わかったわ。じゃあね、ルナも学園頑張るのよ?」
「……はい」
頑張って、と言われても、禁書庫で本読んでるだけなんだけどなぁ……。
島を使って精霊達と戯れながら学園に戻って来ると、学園長が島を見てとっても驚いていた。
どうしたのかと聞かれたが、聞かないで下さいの一点張りで何とか通した。
何となく島に戻って島の端で足をぶらぶらさせて呟く。
……私、魔王なんだよなぁ……魔法の王なのか、魔物の王なのかで対応変わるだろんなぁ……ミスティさんに聞いてくれば良かった……。
「ハァ……」
「ルナちゃんは魔法の王だから大丈夫」
「わひゃぁ!?」
いきなり後ろから声を掛けられた……ミスティさんに。
「何でここにいふんですか?神様って普通は下界に降りる事は出来ないはずですけど……」
「私はこれでも破壊神。私だけ『下界に降りる事が出来ない』という神の法則を破壊してきた。下界への影響も私の周りの放出されるエネルギーだけ破壊してるから問題なっしんぐ」
……滅茶苦茶じゃん、あと私は何の目的でここに来たかを聞いたんだけど……。
「そうだったの?私はルナちゃんに色々と教えてあげる為に来た、姉さんに見つかっても寝てる間にコショウを口の中にいっぱい入れてあげる程度のいたず……お仕置きで許してあげる」
今絶対悪戯って言いかけたよね、お仕置きじゃないよね、それに見つけただけでいたず……お仕置きってどうなの?
「それは聞いたら負けです、お姉さん悲しい」
「何でお姉さん?」
「可愛いは正義、私は可愛い至上主義です、ルナちゃんの為ならなんでもする」
何が言いたいんだ、何が……。
「短く纏めると、ルナちゃん可愛い」
「そーですか、じゃあとりあえず何処にも行く宛がないならここに住んでて下さいね、管理もやってくれてるんだし……」
「了解です」
どこで敬礼を覚えた……いや、神様ならなんでも有りなのか……?
「それと、ルナちゃん。また魔王が生まれるかも知れないから、気を付けてね。それのせいで魔王=悪なんて事になるかも知れないから」
「わかりました、でも私って魔法の王なんですよね?何で全属性じゃないんですか?」
これが一番の疑問だった、魔法の王なら全部使えても良い気がする。
「一言で言うと、器用貧乏になるから」
「要するに、全部待たせちゃうとすっごく中途半端になっちゃうから?」
「そのとーりです」
なーるほど、じゃあ魔物の王も居るのかな?
「一応出現させる予定ではあるらしい、姉さんは『やっぱり勇者と言ったら魔王よね!人族と魔物の大戦争でも起こすわよ!』なんて言ってた、やった日には私が一瞬で破壊して、姉さんにハバネロクラスの激辛ソースを口にブチまけるから、大丈夫」
……激辛ソース……創造神様、ご愁傷様です、ナンマンダブ。
「それと、治療魔法は最もイメージが重要になってくる、この世界の人は想像力が殆どないから異界の者はこっちの生物にとって切り札になる。終いには崇められる事もなきにしもあらず」
崇められるのは嫌だな……面倒臭そうだし、鬱陶しそうだし。
「私は屋敷で休息を取る、聴きたい事があれば起こしていいよ。あとこれあげるから、妙な物は作らない様に。
そう言ってミスティさんは屋敷に入って行った。
まあ、魔王の事は分かったし、悩む事も無いか。
私は学園に戻り、ミスティさんに貰った分厚い髑髏マークの表紙の本を研究室で開く。
『始めに・魔道具の作り方。神様が神器以外を作る方法』
……私、神器を作っちゃった感じ……?
あの包丁が?まっさかぁ、そんな訳……そんな訳……無いよね……?
私は急いで料理長の包丁を鑑定して、頭を抱えた。
すみません、次話はもっと区切りを良くしますので、今回は許してください_|\○_DOGEZA




