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詐欺

お茶屋の先は道の両端に、民家らしき建物が続いていた。

今まであまり亡者や鬼に出会ってなかったけど、ここは結構鬼と亡者がいるじゃん。

この土地は集落の様になっており、民家からは生活感が漂い、外にも鬼や亡者がちらほら見える。

何ここ?さっきの鬼婆さんもそうだったけど、ここにいる鬼って老人ばっかだよ。

亡者の行動を観察すると、鬼婆さんをおんぶしてる亡者や、肩叩きしながら話を聞いてあげてる亡者、おダンゴを食べさせてあげてる亡者までいる。

ここなんて老人ホーム?

なぜか亡者は一様にニコニコしながら、老鬼のお世話をしている。

その謎は、その後の行動を観察することで解くことが出来た。

先ほど肩叩きしてもらっていた、鬼爺さんは「ありがとう」と言って、亡者にメダルを渡している。

そっか、みんな老鬼のお世話をすることで、ポイントを稼いでいるのか。

私も何かしないとね、このペンダントにばかりお世話になるの、何だか悪い気がするしね。


「俺だよ。オレオレ」

ん?どっかで聞いたことがあるセリフ・・・・・

ふと見ると、いかにもボケてそうな鬼婆さんに、若い亡者がまとわりついてる。

「婆ちゃん。俺だよ。孫の※☆△だよ」

なんて古典的なオレオレ詐欺、今はもっと狡猾に騙してくるのに。

しかし、鬼婆さんはボケてしまって、あーあーと言って、うなずいている。

「婆ちゃん。昔よく遊んでもらってたじゃん」

若い亡者は大げさに手を広げ、アピールをしている。

「そうじゃた。そうじゃった。孫の鬼一郎じゃったな」

「そうだよ。鬼一郎だよ。婆ちゃんに会いに来たよ」

鬼婆さんは懐かしそうに、顔をほころばせている。

あー信じちゃってるよ、この鬼婆さん、ペンダントを使って止めさした方がいいのかな?

けどまだポイントを取ろうとしてないし・・・・

「婆ちゃん。実はさーポイント落としちゃって、困ってるんだよね。すぐ返すし、貸してくれない?」

来た――――――――――――――――――――――

詐欺決定。そろそろ印籠出す準備しなくっちゃ。

当の鬼婆さんは特に、気付いたような様子はなく「おーそうかえ。そうかえ」とうなずいていたが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

突然、「鉄山靠!!」と叫び、ものすごい勢いで、左肩から体当たりを食らわした。

不意を突かれて吹っ飛ぶ若い亡者。

ボケてそうに見えたのに、お婆ちゃんすっごーい。

バカにするなといった感じで、決め台詞を吐き捨てる、鬼婆さん。

「その程度の実力で、孫を語ろぅなんざぁ、十年はえぇんだよぉ!!」

やったー。かっこいいじゃんお婆さん。

すごいねー3mは吹っ飛んだよ。

哀れ若い亡者は、白目をむいて気絶してしまった。

ちょっとかわいそうだけど、自業自得よね。

鬼婆さんは独り言のように「最近の若い者は、軟弱じゃのぅ」と言って、歩いて行ってしまった。

いや。お婆ちゃんが、強すぎるんだよ。

油断していたとはいえ、若い亡者を瞬殺しちゃうなんて・・・

弱いお年寄りを狙う詐欺は、本当に許せないです。若い人を狙った架空請求などは、防犯対策を学んでいない人間にも落ち度があるとは思いますが(決して詐欺を容認してるわけじゃないですよ)。弱い立場の人間をさらに騙して、お金を取ることは最低だと思います。

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