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子供

「着いた――――――――――ッ」

私は次の町に着いたことに嬉しくて、両手を上げて思わず叫んでしまった。

だって長かったんだもん

まだ見ぬスイーツに心踊らされている私とは対照的に、どこか元気のないケルちゃん。

「あの・・・・・・町にも着いたことですしそろそろスーちゃんと交代しませんか?」

どうしたんだろう、ケルちゃん?

さっきまであんなにはしゃいでいったのに・・・・・・・・・・・・・

もしかしてお腹空いた?いやそれは私だ

何だか追求するのも悪いと思い、素直にスーちゃんに変わってもらった。


「お姉ちゃん久しぶりっ元気だった?」

スーちゃんに変わったとたん元気に挨拶してくれた。

落ち込んでいるのはケルちゃんだけなのね、性格が変わると心境も変わるのかな?

うーん、しかし見た目はスーちゃんがやっぱり可愛いっ

なんたって笑顔が素敵

100%天然素材って感じがするのね

「約束覚えてる?」

スーちゃんは心配そうに尋ねる。

「ちゃんと覚えてるよ、ジャーン」

着物の袖から誇らしげにメダルを出して見せたあげたが・・・・・・

「お姉ちゃんその動き、子供みたいだよ」と冷ややかな目を向けられてしまった。

うるさいっ

精神年齢を合わしてあげたのよ!!

「ねえどうやって稼いだの?頭使って?身体使って?」

その2択やめなさいっ

私はポイントを手に入れた経緯を説明した。

「えーと、要約するとごつい男と一発やり合って昇天させたからポイントを貰えたって事ね」

「ん――――――――――――言い回しが微妙だけど、まあいいか」

スーちゃんの話しってなんかへんな方向にいっちゃうな

あの笑顔を見る限りは自然なんだろうけど・・・・・・・・・・・・・・・


ドンッ

2人で話している所にいきなり誰かがぶつかってきた。

「痛った―――――い」

「痛ってえなこのデカ亡者」

前を見ると小さい鬼がばつが悪そう頭を掻きながら私を睨んでいる。

「失礼ねっ!!このチビ鬼」

「チビ鬼言うな!!俺がチビなんじゃない、みんなが俺より大きいだけじゃ」

「それがチビなのよ!」

「うるさいっ今度会ったら、ギッタギタのボッコボコにしてやるからな――」

チビ鬼は悪態をつくと走って逃げていった。

「何なの?いったい・・・・・・・・」

2人のやり取りを見つめるスーちゃんが、ポツリと一言

「やっぱり子供みたい」

ぐっ・・・・・・・・・・・・・・・

言い返せないのが悔しい


チビ鬼が駆けていく後ろ姿を見つめると町並みが視界に入った。

町には先ほど出会ったチビ鬼のような小さな鬼がたくさん目に付いた。

亡者の姿もちらほら見えて、泣いている小鬼をあやしたり、手をつないで散歩している姿が見える。

老人の村の次は子供の村か・・・・・・・・

小さな鬼と亡者以外にもお店がちらほら見える。

とりあえず私達はお菓子を売っている店を探して歩き出した。

初めに見えてきたのは・・・・・・・・・・・・・・・おもちゃ屋さんかな?

店の上には看板が掲げてある。

「えーと、『子供のおもちゃ屋』ってわざわざ『子供の』を付けなくてもいいでしょっ!!」

私が声を出してツッコミを入れたことで、スーちゃんが興味を持ってしまった。

「ねえねえ、何でわざわざ『子供の』って書いてあるのかな?」

目を輝かせながら聞くんじゃないっそんなこと

「は・・はは・・なんでだろうね」

「子供のおもちゃが有るんだったら、おと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

待って、その先は言わないで・・・・・・・・・・・

私が口に出すより早くスーちゃんは言い終えてしまう。

「男のおもちゃや女のおもちゃもあるのかな?」

ああ・・・・そっちね・・・安心した

「どうしたの、お姉ちゃん・・・・?」

「いっ・・いや、なんでもないよ、あるんじゃないかな?」

この子、心臓に悪いわっ


その隣には病院がある。

こんな子供の町だし、病院は小児科かな?

看板を見ると・・・・・・・・・・・・・・・・あっ『小鬼科』なのね・・・・・・・・・

また少し歩くとお茶屋が見えてきた。

「やったー、スーちゃんお菓子よお菓子、あのお店でお菓子食べましょ

あっ見てみてこの旗に『苺ショート始めました』って書いてある」

お茶屋を見つけてはしゃぐ私とは対照的に冷ややかな眼差しを向けるスーちゃん。

「ここはイヤよ」

「どっ、どうして?」

「私が食べたいのはこんなお菓子じゃないのっ」

「じゃあ、どんなの?」

「棒に飴ちゃんが付いてるやつとか、箱に入っててクッキーにチョコレートを付けて食べたりするやつっ」

「も・・もしかしてスーちゃんが食べたいのは駄菓子?」

コクリとうなずくスーちゃん。

「ちょっとだけ食べたら駄目?」

「駄目ッ、お菓子おごる約束でしょっ」

結局、約束には逆らえず駄菓子屋を探すことになった私達。

あーまだ見ぬ苺ショートよこんにちは、そしてさようなら

私は名残惜しそうに旗を見つめながら、お茶屋にさよならを告げた・・・・

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