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忍者

岩陰で明日香とケルを追跡する亡者が居た。

着物は白装束であるが、中には鎖帷子を身につけ頭には頭巾といったスタイルである。


俺は忍者

忍者たるもの常に隠密行動

だから物陰に隠れて、2人の行動を監視しているのだ

こんな俺って影のある男みたいで格好いいだろ?

生きているときは正直かっこわるかった

だって世間では俺の事ストーカーって言うんだぜ?

かっこいい訳ない

ちょっと女の子と話すのが苦手だったり、ちょっと女の子の部屋や行動を監視するのが好きなだけでストーカーなんて暗い名前で呼びやがって・・・・・・・・・・・・・・・・

けど地獄に来て気づいたんだ

俺が女の子を監視するのが好きなのは隠密行動を身に付けた忍者だからだったんだ!!


彼の名はハットリ、閻魔様に裁きを受けて地獄に来た亡者である。

自分ではああ言っているが忍者などでは無い。

単に名前がハットリと言うだけで、勝手に忍者だと思い込んでいるだけのただのストーカーだ。

なぜ地獄に落ちたかと言うと、彼のストーキングがあまりにも完璧すぎたからである。

彼は現世でストーキング行為を繰り返していたが、完璧なストーキングのため誰にも知られること無く死んでしまった。

しかし、閻魔様にはバレてしまい、現世での罪を地獄で償わされることとなったのだ。


現在は明日香と男が闘う少し前、隠れて2人の様子をうかがっている最中である。

俺は忍者

忍者たる者、受けた恩は返さなければならない

だから物陰に隠れて見守る事で恩を返しているのだ

決して直接お礼を言うのが恥ずかしいとか、隠れて見るのが楽しいとかそんな理由じゃない

隠密たるもの影で活躍してこそ存在意義があるのだ


明日香とケルが話しながら歩いているところに、2つの影が忍び寄る。

なんだあの2人組は?!

女相手に挟み撃ちをしやがって、卑怯な奴だ!!

ここは一発この俺が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いやまてまて、もしかして2人は知り合いで『だーれだ』とかしようとしてるのかもしれない

だからもう少し様子を見るとするか

決して2人相手に戦いたくないとか、ごつい男が怖そうとかそんな理由じゃない

隠密たるもの軽々に動かず、慎重に行動するのだ


そうこうするうちにごつい男が明日香に詰め寄る。

何?!知り合いじゃなかったのかッ

しまった――――――――――――――――ッ

そうと分かっていれば、俺のピンポンダッシュパンチをお見舞いしてやったのに――――ッ

まあこの場合しょうがないな

ドンマイ俺


けどここからが俺の出番だ

あんなか弱い女の子の相手がごつい男じゃああまりにも卑怯だ

行くぞ!!

「待て―――――――――い、女の子相手に卑怯な真似は許さんッ

この俺が相手になってやる!!」

言ったよね、かっこいい台詞を確かに言ったよね?

読者のみんなも聞いたでしょ

ちょっと遠くてちょっと声が小さかったから相手には聞こえないかもしれないけど、俺は言った

だからごつい男の相手が出来ないのはしょうがない

だってこっちに来ないんだもん、さすがの俺でも居ない奴とは勝負できない

隠密たるもの無理はしない


そのうち明日香と男の一戦が始まる。

くそうッ

この俺に倒されるのが嫌だからって

俺の台詞を無視してまで女の子と戦うなんて卑怯だぞ!!

このままでは恩人がやられてしまう

そっか、向こうから来るのを待つんじゃなくて俺から行けばいいんだ

なんて賢い俺、他の奴らには考え付かないね

隠密たるもの切れ者でなくてはならない

今から行くから待ってろよ!!


ズル・・・・ズル・・・・・

何でほふく前進で進むのかって?

それは忍者たるもの常に隠密行動だからだ

決して早く着いたらまずいとか出来れば戦いたくないとかそんな理由ではない

痛ッ

地面の石が身体に擦れても、我慢する俺

なんて偉い奴なんだろう

俺がオリンピック委員なら迷わず金メダルをあげちゃうね


ハットリが着くころには明日香が男を倒し、もう誰も居ない状態であった。

ハァ・・・・・・・ハァ・・・・・・・・・・・・・・・

やった――――ッすごいぜ俺

ゆうに50mはほふく前進したよ

忍者になってよかった

感動したよ

こんな長い距離をほふく前進で制覇するなんて俺しか出来ない

けど俺には次の任務が待っているから、余韻に浸る暇も無く行かなくてはいけない

決してまたあの2人が戻ってきたら気まずいとか、活躍しなかったからむなしいとかそんな理由じゃない

隠密たるもの表の舞台で活躍してはいけないのだ

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