使命
いったいどういう事よ!!あのバカ閻魔から愛人である証を手渡されるなんて
そういえば裁きの時もなんか恋占いみたいなことしてたし・・・・・・・・・・・
閻魔さんの横でニッコリ微笑む、自分の姿を想像して身震いさせた。
「お嬢様。首飾り捨ててしまって、よろしかったですの?」
ケルちゃんが心配そうに尋ねる。
「いらないわよ、愛人の証なんか!!あんな物無くても、自分の力でポイント稼いでやるんだからっ」
私は手に力を入れ、拳を握った。
「新たな目標が出来たわ。生まれ変わる前にあのハゲ閻魔を絶っ対、ぶっ飛ばしてやる!!」
「応援しますわっ!お嬢様」
ケルちゃんは尻尾を揺らして手を叩いた。
「ところで、次の町まで結構遠いね。あとどれ位で着くか分かる?」
さっきから随分と歩いた気がするが、一向にどこかにたどり着く気配が無い。
いつまでたっても、長いトンネルの様に岩山と赤黒い空が続いている。
「私も外界で旅をするのは初めてなので、分かりませんわ」
「そっか・・・・・・ところで、ケルちゃんはどうして一人であんなところに居たの?」
ケルちゃんは顔を曇らせて視線を落とした。
「私は、番犬失格ですの・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どうしても耐えられないことがあって、ご主人様のお屋敷から飛び出してしまいましたの」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ケルちゃんも辛い事があったんだね
けど、こんな可愛くて献身的な娘に耐えられないことをするなんて、酷いご主人様ねっ!!」
私が憤慨したように言うと、ケルちゃんはあわてて弁明した。
「違うのっ。私たちケルベロス一族は代々主に仕えることで、糧を得てきた一族
私のお爺ちゃんもそのお爺ちゃんもそのお爺ちゃんも・・・・・・・・・・・・・・・・
主に忠誠を尽くし、傷を癒し、敵を排除する事で主の成長と繁栄を支援する。
それが私に下された地獄での使命・・・・・・・・・・・・・・・・・
どんな理由があろうとも主人に背く事は、してはいけない事なのです。
だから私、誓いましたの・・・・・・・・・・・・・今度こそ、どんな駄目主人でも諦めずに付いていこうと!!」
「そっかー。だから私を主人に選んだのかって
待て――――――――――――――――いッ
た・・た・・た・・確かに、閻魔さんの愛人に間違われるし、稼いだポイントは全部食べ物に変えちゃったし、来ていきなりカツアゲに遭ったし、橋から落っこちたりもしたけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
駄目主人じゃないと思いますよ・・・・・・・・・・・・・・・たぶん」
ここへ来てからの経歴の悪さに、だんだん声が小さくなる私・・・・・・
「大丈夫ですよ、駄目そうに見えたからお嬢様を選んだのじゃありませんわ
お嬢様をご主人に選んだのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たまたまです」
「そっかーたまたまか――――ってなんじゃそら!!
そんな立派な使命を持つ召使に選ばれたのだから、私が特別な人間なのかと思っちゃったじゃないっ!」
それにチンチン言われたり、たまたま言われたりあたしゃ女だっつーのっ!
「そうよ!!主人が特別なのじゃなく、私が特別にするのっ
主人を立派に成長させてこそ私の存在意義があるってもの
それを私ったらご主人様と考えが合わないだけで、屋敷を飛び出してしまうなんて・・・・・・・・・・・
そうと決まったら、こうしちゃ居られませんわ!!
まずは初心に戻って一からやり直しよ
明日香お嬢様を立派な主人にするために旅を急ぎますわよ――――――――――――――――ッ」
ケルちゃんは勝手に立ち直り、私の腕を引っ張った。
「わ・・・ちょ・・・待って、私は立派になんかならなくてもいいよ――――――――――」
「大丈夫。止まない雨はないし、溶けない雪は無いのよ――――――」
「万年雪は溶けないよ。ケルちゃ――――――――――――ん」