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動き出した世界

 急いで自宅に戻った僕は、婆様にミオ先生とリーヤン先生のことを伝えた。

婆様はウンウンと頷き、私を父様の元に行かせた。

その時に、


 「ちょっと早いけど、とうとうこの日が来たね。」


 とつぶやくのが聞こえた。


 部屋で寝ているはずの父様は珍しく起きており僕の顔を見るなり、


 「すげー美人だったろ?」


 と言ったのだ。


 父様はミオ先生とリーヤン先生のことを知っていて、僕が家に帰ってきた理由も分かっているようだった。

なんだろう?いつもの父様とは雰囲気が違う。

何が父様の雰囲気を変えているのだろうか?


 父様は母様よりも身長が低く165㎝くらいだ。そのくせ体重は母の2倍以上はある。もちろん筋肉ではなく脂肪だ。

雑貨屋の前は八百屋でアルバイトをしていたが、その前は村の自警団の1人としてボチボチ働いていたらしい。

だから魔法も剣もボチボチ扱えるらしい。(見たことはないが・・・。)


 その父が見たこともない礼装姿なのだ。

 父はその礼装姿でリビングにいる祖母に、2階奥の部屋の片付けをお願いし、自分は外の門前でお迎えすると言って外に出て行った。

僕は祖母の手伝いをするために、2階に上がって行った。


 その2つの部屋は昔から気になっていたのだが、父から入ってはいけないと言われ常に鍵がかけられた部屋だった。

1ヶ月に1度だけ祖母と母が掃除をしていたが、正直、いつも不思議に思っていた部屋だった。

何故ならその2つの部屋は合わせると他の全部屋よりも床面積が広くて、家具も僕たちが使っている物よりも遥かに上等な品だったからだ。しかもその広さは、どう考えても家全体よりも大きいのだ。先月から母に習いだした魔法授業により、それが空間魔法の1つだとは予想していたが。


 1度だけ父が、いつかこの部屋に住まれる方々が現れる時が来ると、遠い目をしながら言っていたことがある。

もちろん箒を持った手を止めた為に、母と祖母にメチャクチャ怒られていたが。

そんなことを思い出しながら、部屋の片付けを終え(と言っても窓を開けて空気の入れ替えをしたくらいだが)、リビングに降りてお茶の準備を終えたとこで、門のところで母と先生たちを待っている父を窓越しに覗いた。


 ちょうど母が戻ってきたところだったようだが、本日4度目の驚きに見舞われた。

 父が片膝をついて、先生たちに挨拶をしているのだ。

いったい、先生たちは何者なのだろうか?その父を見る母は、別に驚いた風ではなく、先生たちの横でその様子を見ていた。


 その様子を見ていた私に気づいた母が、父を立ち上がらせて先生たちを連れて家に入ってきた。

後ろに気配を感じて振り向くと、祖母がやはり礼装を着て立っていた。


 4人掛けのテーブルに丸椅子を1つ追加して僕が座り、これからの話を聞くことになった。


 驚愕の事実が明らかになった。

 まず、父はアーベル王国の魔法騎士団の元副団長で、救国の英雄だった。

だったら良かったのだが、実際は魔法騎士団の入団試験で不合格となり、副団長の従者だったらしい。

母は宮廷魔術師団の位階35位(200位まであるらしい)の水魔法のエキスパートだったらしい。

1番驚いたのは祖母で、ミオ先生が宮廷魔術師団の位階1位になるまでは、祖母が位階1位として筆頭魔術師だったらしく、獄炎の魔女という通り名で恐れられていたとのことだ。

 

 なんでまた、そんな優秀な母と優秀じゃない父が結婚できたのか?答えは簡単だった。

幼馴染みらしい。

母の父が魔法騎士団の現団長で当時宮廷魔術師団筆頭だった祖母と幼馴染みである上に、家も隣同士だったらしく、本人たちは赤ん坊の頃からの付き合いだったようだ。

もちろん母は美貌と才能を併せ持っていた為に王都一の人気者だったが、先見の明があった父が幼年学校時代から唾をつけて、あらゆる手を使ってライバルを蹴落とし、結婚できる歳になった瞬間にプロポーズをしたらしい。


 各方面からいろいろと反対意見も出て、最後は国王陛下からもやんわりと翻意を促されたらしいが、当時宮廷魔術師団位階1位になっていたミオ先生と、近衛騎士団団長であったリーヤン先生が皆の説得にまわり、すったもんだの末に結ばれたらしい。

どこぞの公爵家の跡取り息子とか、子爵家の当主とか、果ては王太子までもがやいのやいのと騒いだ為に、説得半分実力行使半分でなんとかしたらしい。

結果、2人は引退していた祖母と3人でこの辺境の村で生活することになったらしいのだ。


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