新たな旅の始まり
もとは男だったアリシアも、少しづつ心が女の子に変わっていきます。
心配しないでください。中身は全く変わりません。時々自分のことを私と言ってしまいます。
ふと目を開けるとガラス越しに見る外は、いつの間にか夜になっていた。
どうやら俺は眠ってしっまったのだろう。俺は夜会のために急いで身支度を始めた。支度が終わりやっと一息つこうとしたとき、『コンコン』と扉の叩く音が聞こえた。ドアを開けるをやはり迎えが来ていました。
「アリシア様もうそろそろお時間です。準備は整っていますでしょうか?」
「はい、行きましょう。」
「いつになく乗り気ですね。何かいいことでもあったのですか。」
「いいえ。なにも」
俺はとっさに嘘をついた。なぜ俺がこんなに上機嫌なのかって?
それはこれでやっとあの王様から解放されるからだよ。また旅が始められる。
夜会というのは、この王宮で行われることになっており、帰ろうと思えばいつでも帰れる。もしあの王が何かしでかしたらすぐにこの王都を出ていったやる。
そして俺は少々強気で夜会に参加したのである。
「このたびはわざわざこの王宮までご足労いただき誠にありがとうございます。
どうぞ楽しんでいってください。」
王の話が終わると同時に、音楽が流れ始めた。
すると周りにいた貴族たちがいきなり踊り始めた。さすがの俺でも、この空気には耐えることができず外の空気でも吸いに行こうと思ったとき、いつの間にかそこには王がたっていた。
「私と踊っていただけませんか?」
そう言った王の顔は少し微笑んでいた。そう、俺はこの顔をしている。
この顔は物事を人に強制させるときの顔だ。その辺の軽い女なら騙されていたかもしれないが、俺は騙されないぞ。なぜなら俺は男だから!
でもこんなことを言ったところで、俺に拒否権はないだろう。
「いいですよ。でも一つ問題があるの。」
「何だ言ってみろ」
「私踊りを踊ったことが一度もありませんの。これでも私と踊るおつもりですか?アルファス様」
少し王は戸惑っている。よっしゃ!俺の勝ちだぜ。さすがの王様でも踊れない女とダンスなんてできないだろう。俺はこの王に勝ったことがうれしすぎて。顔が少しにやけていたようだ。
「何を笑っている。行くぞ」
「ええっ!ちょっと」
何がどうなった。確かに俺は王に踊れないといったはずだ。もしかして聞こえたなかったとか?そうだ、そうに違いない。そうかなぁ。
「あの、アルファス様。先ほど私が行ったことお聞きしましたか?」
「聞いたぞ。それがどうした。お前は踊れなくてもいい。ただ俺につかまっていろ。」
俺は最後までこの王にはかなわないのか。
「もう決めているのか。」
「何の話ですか?」
「もう忘れたのか!俺にもう一度チャンスを与えるという話だ。」
「ああ。そのことですね。もう決めてありますよ。」
「今聞いてもいいか?」
「もちろんです。で、その内容とは...」
「何を黙っているさっさと話せ!」
「あなたが私に勝つことですよ。」
「どういう意味だ。」
「その言葉どうりの意味です。その時になったら私があなたのところに挑戦状を送ります。内容はまだ教えることができませんが。それが私からあなたに贈る最後のチャンスです。」
「わかった。だが約束は守ってもらうぞ。もしそれで俺がお前に勝ったら」
「はいはい、わかっています。あなたと結婚してあげますよ。」
そんなよくわからない会話をしつつ、ついに夜会が幕を閉じることになった。
王は今来てくれた貴族たちに挨拶をして回っている。そろそろ私もお暇しましょう。あれ?なんか今俺の話し方おかしくなかったか?まあどうでもいい、それよりこれからまた旅を始めよう。
「さよならアルファス。そして八百屋さんのおばさん。」
アリシアはそういった後、王都を出てまた森の中を進み始めた。