アリシアの答え
あまりたくさんの登場人物が一気に出てくると、こんがらがってしまうので、のんびり話を進めたいと思っています。
誤字脱字の方がありましたらごめんなさい。
俺は今引っ張られるようにして、王室へと向かっている。わかってはいたがこの王宮はとてつもなく広い。この王都の三分の一がこの王宮で占めているといっても間違いではないだろう。
待女に連れられてから十分ほどで、やっと王室の前までたどり着いた。
「さあ、お入りください。」
そう言った待女の顔はなぜか少し微笑んでいるように見えた。
俺はしぶしぶ中に入るとやはりそこには王がいて、堂々と玉座に腰かけている。
「やっと来たな。待ちくたびれたぞ。」
それがわざわざ来てやって人に言うセリフなのか。内心そう思ったが今口にすればなんとなくややこしいことになってしまう気がしたので、いうのはやめた。
「遅れてしまい申し訳ありませんアルファス様。」
深々と頭を下げそういった後、顔を上げ王の顔を見ると、名前を呼ばれたのがうれしかったのだろう、若干にやけていた。 鳥肌が立つゼ。
「お前を止んだのは、ほかでもないもう一度お前に結婚を申し込むためだ。もう結婚しろとは言わない。だから俺と結婚してください。」
その瞬間、周りにいた待女や護衛たちがざわめき始めた。よほど王がお願いをするのが珍しかったのだろう。実は俺も少しだけ驚いている。まさかこの王がお願いをしてくるなんて、初めて申し込まれたときに言われていれば、断れなかったかもしれない。いやいやそれはないか。俺は男だぞ。
そう心の中で呟きながら俺の口にした答えはこうだ。
「申し訳ございませんアルファス様。あなたのそれには答えれません。」
そういって頭を下げた後王の反応を確認すべく、頭を上げた。すると気のせいだろうか王の顔は悲しむこともなく喜ぶこともなく、ただ満足げに俺を見ていた。
「そういうと思っていたぞアリシア。少しは期待をしていたのだが、やっぱり駄目だったか。あっはっはっは~」
「わかっていたのならなぜ呼び出したのですか?」
「お前は俺の申し込みを断ったのだ。そのお詫びに二つだけ
お願いを聞いてくれ。というか聞け」
「いいですよ、で、その内容とは何ですか?」
「一つ目は、今夜俺と一緒に夜会に参加すること。
二つ目は、もう一度お前にプロポーズするチャンスをくれ。チャンスの内容はお前が決めていい。それだけだ。それじゃあ今夜の夜会よろしくな。時間になれば迎えが来るだろう。それまでに逃げ出そうという変な気は起こすなよ。」
半ば強引に話を進められている中、俺の意識はどこかへ飛んで行っており、気が付くと俺は王室から出ており、また待女に引きずられていた。
「今夜お迎えに上がります。アリシア様」
待女はそう言い残した後、早々に部屋を出ていった。
「はぁー」俺の溜息は部屋中に広がった。今頃家族はどうしているだろうか。お父さんとお母さんは元気かな?お兄ちゃんはちゃんと団長できているかな。自分の心配より人の心配をするなんて。俺まどこまでお人よしなんだ。
そのころアリシアの住んでいた村では、
「はくしょん!だれかおれの噂いているのかな?
アリシア早く会いたいよ。」
そうつぶやいた声は、少し寂しげだった。