アリシアの怒り
これからアリシアにとっての好機。王都にとっての災難が訪れます。その時、アリシアはどうするのか。
次の日、ふかふかなベッドで寝ただけあって寝起きは最高だった。
そう思った瞬間、隣に誰かいるような違和感を感じた。毛布をめくると、そこには王様が寝ていだのだった。
俺は気づかれないように、体を起こしベッドを降りようとした瞬間、ぐっと腕を引っ張られまたベッドに戻された。
そして王様は俺を抱き枕のようにして、
「俺が起きるまでじっとしていろ」
そういってまた眠り始めた。
俺はその間どうやってここから逃げ出すか考えていた。
もし仮にこの王が魔法をつかえた場合、攻撃魔法なら俺に勝ち目はない。もし使えなかったとしても、王の方が運動神経はいいだろうから、俺が魔法を使う前につかまってしまうだろう。そんなことを考えているうちに王が目覚めた。
俺は離せと言わんばかりに王の顔をじっと見ると何を勘違いしたのか王は、
「俺の顔に見惚れたか」と言ってきた。
その言葉にいらだった私は、
「王様はナルシストですね」というと
「ナルシストとは何だ。それより俺の名前は王様ではない。アルファスだ。」
「はいはい、そうですねアルファス様」
名前を呼ばれたことに満足したのか少し顔がゆるんで見えた。
その顔を見て俺は不覚にも可愛いと思ってしまった。
すると王は、
「俺と結婚するといえ」と言ってきた。
それにたいして俺は、
「調子に乗りすぎです」と言ってベッドから降り、
近くの椅子に腰かけて王様の方を見ると、こっちを見なあがら頬をぷくっと膨らませている。本当に感情が分かりやすい人だ。
こんなことがすでに一週間も続き俺もこの生活に慣れてしまっていた。今まで王様が俺の部屋に出はいりしていたことから、待女の中ではいろんな噂が流れいていが、今ではもう飽きたのか離さなくなった。
そんな平凡な生活が続くと思っていた矢先、俺にとってはうれしいようで悲しいような事件が起こった。
隣の国の軍勢がこの王都に攻めてきたのだ。この戦いに紛れて逃げようと思ったが、それができなかった。相手の軍勢およそ5000人こっちにはいて2500人程度だった。
俺も戦おうと部屋から出ようとしたが、外からカギがかかっていた。
部屋から出てこれたのは数十分後のことで王宮から外に出て街を見ると、味方の軍勢は息はいるもののほとんど倒れていた。そこには王の姿もあった。
「俺は大丈夫だ。それよりお前は逃げろ。」王はつらそうな顔でそういった。
俺はその光景に震えながらもふと横に目をやると、見覚えのある顔に出会った。
そう、帽子をくれた野菜屋おばさんである。おばさんは敵の兵剣で刺されて倒れていた。恐怖のあまり逃げ出そうとしたが、俺はすぐさまそのおばさんのもとへ近づき。おばさんの安否を確認した。おばさんはかろうじて生きていた。
「あんたは早く逃げな」
そう言い放ったおばさんの声はとても弱弱しかった。
その言葉を聞いた瞬間今まで感じたことがない怒りが込み上げてきた。