ある武将の心
武将視点です
儂の目の前に広がるのは受け入れがたい事実
戦場からの帰路にて間者の報告があり急いで城へと帰った
姫の部屋へと赴けば
呆然と忍びの屍を抱きしめる姫と満足げな死に顔のあやつ
震える声で報告するかの者の相棒
咎める家臣たちの声を聞き流し
姫とあやつの側へ行く
二人の有様を見
なぜこうなったと後悔する
最初の出会いは
父と共に訪れた屋敷でのこと
その庭で戯れていた二人の童
愛くるしく笑みを見せる姫と無表情な忍び
その光景を見て何故か胸が温かかった
月日が過ぎまたその屋敷に訪れる機会があった
その時儂はまたあの二人を見かけた
その瞬間姫の笑顔に心を奪われた
それが自分に向けられたものでないのが悔しかった
...思えばこの時から儂は間違えていたのかも知れん...
それからありとあらゆる事をした
姫をこの手に囲うために
主従であるがゆえに許されない想いを利用して
彼女が誰のものにもならぬ様
あやつに守らせた
それから数年
姫の輿入れが決まった
彼女をやっと手に入れることが出来たと安堵する
それを考えていた時の儂の顔は
一体どの様に歪んでいたのだろうか
白無垢に身を包んだ姫
隠し切れぬ儂の歓喜
しかし姫の心には何一つ気づかず
初夜を向え
偽りの幸福をかみ締めた
いく年月が過ぎ戦が始まった
時が過ぎるほど憂いの表情が増える姫
徐々に解ってしまった彼女の心
それが儂に向いてはいない事を
認めたくなくて戦場にて暴れていた
城へと帰る道中冷静になった
そして気づく、気づいてしまった
儂が愛した姫の笑顔が失われたことに
だからこそ決めた
次の戦の後彼女を解放することを
直ぐに行動に移したかったが次の戦の準備があり無理だった
じゃから出陣前に姫に此度の戦が終れば話があると告げた
首を傾げる愛らしい姿に
貴女が幸せになる話しじゃと囁いた
戦が終り帰路でのこと
間者が城に入り姫の忍びが亡くなったと聞いた
急いで帰った儂が見たのは
何処か満足げな表情で死んでいる忍びと
その亡骸を抱き泣き叫ぶ姫だった_
もしもこの世に神とやらが居るのじゃったら
一つだけ我侭と言えない我侭を叶えてくださらぬか
もしも来世と言う物があるのじゃったら
たった一つだけの望みを叶えてくださらぬか
もしも運命と言うものが決めることが出来るのじゃったら
一つの宿命をわたしてくださらぬか
次に生を受けるときには
その時は平和な世である事を望もう
次に生を受けるときには
身分なんて無い時代に生きる事が出来る事を望む
次に生を受けるときには
二人が二度と離れないようにしてくだされ!
(ある時代、ある場所で
ある男女が巡り合う
それは果たして叶わなかった思いへの慈悲か
それとも強き想いの為せる事柄か__)
一人称がちょっとしっくりこないです......
でも他のやつではもっと違和感が..
感想お待ちしております(ペコリ)