試作とエデンの果実
さて、どういう表示のしかたをしたらマスターにもわかりやすいでしょうか?いろいろと試してみましょう。
それから、いろいろな表示のしかたで内容をまとめてみた。
うーん、とりあえずはいくつか作成してみましたが、こんな感じでいいのでしょうか?
アウ゛ァール(強欲)
別名強欲になるもの。この果実を食べた者は、自制心が麻痺して辺りにある物をなんでも欲しがるようになる。
フェネアン(怠け者)
効能、無気力、食欲減退、運動能力低下、力充填、睡魔
アロガンス(傲慢)
食べた者を傲慢にする果実。
危険度★★★★★
グルートン(大食い)
1消化機能強化2食欲増進3栄養吸収無効4味覚変異5嗅覚制御6唾液増加
アンソルスラン(妖艶)
メリット
食した者から特殊なフェロモンが分泌され、異性を引き付けるようになる(モテる)。食した者は、身体の汚れが洗浄され、美しくなる(容姿ではなく、体内が)。食した者及び、撒き散らされたフェロモンに侵された者は、強制的に発情期になる(遺伝子に問題がある場合は、その問題点が改善されるように変異が起こる)。子供の出来る確率が上がる(子供が出来ない組み合わせでも、子供が出来るようになる)
デメリット
対象を問わず発情期にする為、男女仲を破綻させることあり。子供が出来ない組み合わせでも子供ができるようになる為、子供が奇形となる可能性上昇。母胎の出産時の死亡率上昇。
コレール(怒り)
分類・変動植物類
危険度・★★★★★
属性・火
効能・怒りの感情発露
・食べた者に怒りの感情を与える果実。
ジャルージー(嫉妬)1食した者は嫉妬の感情を得る。
2嫉妬の対象は、食して一番最初に見たもの。
3生物・非生物は問わない。
4効能は一時間持続する。
5解毒は、第一位ポーション以上でないと出来ない。
6魔法による状態改善は聖魔法のみ有効。
7使用方法は、相手に投擲する。毒薬の材料にするなど。
8調合先、嫉妬薬Level5など。
9広域栽培禁止指定植物。
さて、だいたいはこんなところですね。
この中から一つを選びましょうか?それとも、これらをまとめてみましょうか?どちらがいいですかね?
『私』は、どいしようかしばし悩んだ。
なにせ、どれも一長一短がありますしね。短い方は簡潔ですが、詳しい内容がわかりにくい。長い方は詳しい反面、文章量のせいで一度に理解するのが大変そうなんですよねぇ。
『私』は、どうすればいいか判断に困った。
・・・ここは、マスターが起きてからマスターが欲しい情報を聞いてみた方がいいですね。
一応、もう少しサンプルを作成しておきましょう。
『私』は、また情報表示のサンプル作成に取り掛かった。
「ピィ」
それからしばらくすると、ガーデンスライムが起きて『私』のもとにやって来た。
『どうしました?まだマスターはおねむですよ?』
「ピィ『わかっています』」
『私』がそう言うと、ガーデンスライムから二重の返事が返ってきた。
『え!?』
『私』は、その返事に驚き、情報表示サンプルの作成を止めて、ガーデンスライムをまじまじと見つめた。
今、明らかにガーデンスライムから二重の返事が返ってきた。一つはいつものガーデンスライムの鳴き声。けれど、もう一つは念話の類だった。どういうことでしょう?以前見たガーデンスライムの能力には、念話はなかったですし、マスターの心結契約で能力が増えたせいだとしても、該当するような能力をマスターが得ていないいじょう、この可能性もありえません。近いのでテレパシーがインテラントから共有されましたが、今のはテレパシーではなく、明らかに念話でした。それに、二つの声が僅かにズレて聞こえました。このことから考えると、今の念話はガーデンスライムとは違う別の誰かの声だと思われます。しかし、そうすると一体誰が?という疑問が出てきます。
『あなたは誰ですか?ガーデンスライムではありませんね』
「ピィ『私は、その答えを持ち合わせいません』」
『答えを持ち合わせていない?答えないや、答えられないではなくてですか?』
それはいったいどういうことでしょう?
「ピィ『そうです。なぜなら、私には過去が無いのです』」
『過去が無い?記憶喪失ということですか?』
過去が無いというと、だいたいはそういうことになりますよね。
「ピィ『たぶん違います。私が私だと自覚する少し前まで、私は一切の記憶と知識を持ち合わせていませんでした』」
『それはたしかに記憶喪失とは違いますね』
記憶喪失というのは、脳のダメージで発生して、基本的に記憶は思い出せなくても、知識はそのままなものですからね。あれ?でもそれなら、何故今会話が成立しているのでしょう?いえ会話自体は、念話の補正機能で私の方で意思を翻訳している可能性がありますから可能かもしれません。しかし、知識が無いのなら念話のような能力は発動出来ないはずです。どういうことでしょうか?
『少しお聞きしてもよいでしょうか?』
「ピィ?『なんですか?』」
『知識もないのに、どうやって今会話しているんですか?』
「ピィ『それはですね、私が過去が無いことを自覚する少し前に、金色の林檎を食べたら知識を得られました』」
『金色の林檎?食べたら知識を得られた?それってもしや、知恵の実。エデンの林檎ですか?』
『私』は、相手の語った内容から、相手が食べた果実を推理して聞いた。
「ピィ『そうです。私が食べたのは、エデンの林檎。別名楽園の果実と呼ばれる物です。もっとも、そのことを知ったのは、果実を食べた直後のことですけど』」
『なるほど。知恵の実を食べたのなら、会話ぐらい簡単に出来るようになりますね』
『私』は、相手の返答で納得がいった。
エデンの林檎、知恵の実、楽園の果実。様々な名で呼ばれるあの果実は、食べた者の知能を高め、ありとあらゆる知識を与えてくれます。過去が失われていても、あの果実を食べたのなら知識面に限ればおつりがきますね。しかし、
『どこでエデンの林檎を見つけたのです?あれは異界の神の領域に実る果実。この世界には存在していないはずです』
「ピィ『見つけたのではありません』」
『見つけたのではない?それはどういうことですか?』
「ピィ『エデンの林檎は、私の能力で生み出したということです』」
『神の果実を生み出す能力!?それは、あなたが神と同列だということですか?』
神が生み出した果実を生み出すことが出来る。これが他の果実なら、神より下の立場でも果実を生み出すことは可能かもしれません。しかし、楽園の果実に関してはそれは無理なはずです。
「ピィ『いいえ、違います。私は神ではありません。ですが、こと果実に関してならば私は神を越えていると、私が得た知識が告げています』」
『ほう、楽園の果実のお墨付きですか。それなら、そのことは事実なのでしょうね』
楽園の果実の知識に偽りや間違いは存在しない。もっとも、相手が嘘を言っているのなら話は別ですけどね。
「ピィ『アンサラー。あなたが何を考えているのかは想像がつきます。私は、嘘はついていませんよ』」
『それは失礼しました。しかし、神ではなく、されど果実に関しては神を越えた存在。私が知る限りでは、そのような存在は一つしか知りませんね』
そう、ガーデンスライムを検索していた時に出てきた一羽の鳥。
『スィームルグ。それがあなたの正体ですか?』
『私』は、確信をこめてガーデンスライムとともにある存在に尋ねた。
「ピィ『正解です。そう、私はこことは別の場所でスィームルグと呼ばれる存在です』」
これが、『私』とスィームルグとの出会いの瞬間だった。




