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対空攻撃と捕われしもの

「うわー、なにあれ!?」


『私』達が向かった先では、先程の鳥型の影と無数の蟻型モンスター。それと針葉樹型のモンスターが戦闘を繰り広げていた。


『さあ?ただ、飛んでいるあの鳥型の影は敵で、蟻型モンスターの方はインテラント達の前身。つまり、彼女達の仲間であるこのフロアのモンスターでしょう。そうでしょう?』


「「「ギィ」」」


『私』が確認すると、インテラント達はみんな首肯した。


『私の予想は正解だったようですね。けれど、残る針葉樹型モンスターについてはまったく予想が出来ません。あれはいったいなんでしょう?見たところ、蟻型モンスターを支援しているようですが、蟻型モンスターの方は針葉樹型モンスターを支援はしていないようですし、三者の関係がよくわかりませんね?』


鳥型の影は、蟻型モンスターと針葉樹型モンスターの双方を攻撃している。針葉樹型のモンスターは、鳥型の影を攻撃し、蟻型モンスターが襲われると鋭い葉を飛ばして支援している。それにたいして蟻型モンスターは、鳥型の影を攻撃して針葉樹型モンスターには攻撃してはいないが、針葉樹型モンスターが攻撃されても支援はしていなかった。


「たしかにわかんないね?」


「ピィ?」


「「「ギィ、ギギィ!?」」」


グニャ?


マスター達も状況がわからないで困惑している。ただ、インテラント達については、今すぐに仲間のもとに助けに行きたいようで、そわそわしていた。


「あんさらー、すぐにたすけようよ!」


『それがマスターの望みならば、私は従いますよ。彼らを全力で助けましょう。ただ・・・』


「ただ?」


『完全飛行型の影とはこれが初めての戦闘になります。四足獸型はお兄さんが叩き落としたことがありましたが、あれはあくまで敵が空中ジャンプだったからです。それにたいして、今目の前にいる鳥型に攻撃を当てるのはかなり難しいんです。機動力も、空間の自由度も向こうの方が上。さらに四足獸型と紐型と同じように防御力も竜の攻撃でやっとダメージが入るとかでしょう。ついでに四足獸型の空中ジャンプや紐型の光線のような特殊能力も持っているはずです』


「うわー、あいてにしたくないね」


『そうでしょう。こちらの対空攻撃があの鳥型にきけばいいんですけど、効かなかった場合どうしようもないんですよねぇ』


「たいくう、こうげき?」


『ええ。地上から空を攻撃することを指します。ちなみに、こちらの対空攻撃手段はアルケミィーソーンの花粉散布やブレス攻撃が主なものになっています』


「へええ、そうなんだ」


『まあ、応用も含めれば他にもありますが、その点については後回しにします』


「うん、それでいいよ」


『とりあえず対空攻撃をしてみて、駄目そうなら彼らを回収して一時撤退ということでよろしいでしょうか、マスター?』


「うん、あんさらーにまかせるよ!」


『了解しました。アルケミィーソーン、マスターの許可が出ました。対空攻撃をお願いします。下は味方と第三勢力ですから、下は巻き込まないでくださいね』


コク


茨の一本が頷いた。


すると、アルケミィーソーンの根本にある無数の茨が鳥型のいる方向に伸びた。


そして、茨の先端が開き竜の頭部が出現した。


『これは竜化?』


『私』は茨の変化を見て、最初にその能力が思い浮かんだ。


しかし、竜化ってこんな風な能力なんでしょうか?変化したというよりも、変形といった感じですけど?


ゴォォォォォ


『私』がそんな風に思っていると、竜の咥内に魔力が集まりだした。


カッ、カッ、カカッ!!


そして、白い光が口からもれだし、やがて上空の鳥型目掛けて放たれた。


白いブレスが茨の数だけ放たれ、放射線状に上空を白く染め上げた。


だが当初の予想通り、鳥型はその機動力を持って全弾直撃を回避した。


『全部外れましたか。やはり空中だと障害物が無く、回避スペースにも困りませんから、攻撃を当てるのは一苦労のようですね』


「じゃあ、みんなでにげようよ」


『そうですねぇ、追撃もあるでしょうから全員いっぺんには無理でしょうが、あそこの人達は逃がしましょう。インテラント』


「「「ギィ?」」」


『彼らに避難を呼びかけてください。あなた達なら、姿は変わっていてもテレパシーで彼らに話を聞いてもらえるでしょう』


「「「ギィ!」」」


『私』がそう言うと、インテラント達は蟻型モンスター目指してアルケミィーソーンを下りはじめた。


『さあ、アルケミィーソーン。インテラント達が避難を完了させるまであいつを引き付けてください』


コク


茨が頷き、ブレスで弾幕が張られた。辺り一面、霧に包まれたように視覚が悪くなった。


ただ、明らかにブレスの範囲外まで白くなっていた。


いくらなんでもいきなり白い範囲が広がったので、認識の範囲を通常よりも広げてみた。


すると竜頭からだけではなく、アルケミィーソーンの外周の花からも白い花粉が大量に散布されていることがわかった。


アルケミィーソーンは、ブレスに紛れて花粉もばらまいていたようだ。


五十メートル以上の巨大から放たれた大量のブレスと花粉は、あっという間に地上を白い世界に変えた。


PI?


上空の鳥型は、完全に蟻型と針葉樹型モンスターを見失ったらしく、上空を旋回しだした。


ただ気になるのは、地上が花粉などで白くなったとはいえ、アルケミィーソーンの巨大まではそうそうおおいきれていないのに、何故こちらを攻撃してこないのでしょう?あの鳥型はこちらには手を出さず、先程まで蟻型と針葉樹型モンスターがいた場所上空を旋回する以上の行動を起こす様子がまったくなかった。


まあ、近づいて来たら茨でたたき落として、袋だたきですけどね。しかし、向こうから来ないとなると、どうやって倒しましょう?


「ねぇ、あんさらー」


『どうかしましたか、マスター?』


鳥型をどうしようか考えていたら、マスターに呼ばれた。


「ねぇ、エトガルは捜さないの?」


『エトガル?ああ、そういえばエトガルのこともありましたね。鳥型優先で忘れていました。少し待ってください、この辺にいるのなら、たぶん念話が繋がると思いますから』


「わかった!」


『エトガル。エトガル。聞こえますか?』


『ア・サ・ー・・・か』


『私』が念話で周囲に呼びかけると、途切れ途切れだがエトガルから返事が返って来た。


『エトガル、今どこにいますか?』


『・・・だ』


『どこですって?』


『私』は、聞こえなかったので聞き直した。


『鳥・・う・・だ』


『鳥?ひょっとして、あの鳥に捕まっているのですが?』


『私』は、上空を旋回する鳥型に意識を向けながら問い掛けた。


『そ・だ』


肯貞されたようだ。『私』は、念話の繋がる先を調べた。すると、エトガルの反応は上空。ひいては、鳥型からした。何故エトガルが鳥型に捕まっているのかは不明ですが、エトガルの救出もしなければならなくなったようですね。


『いったいなにをやっているのやら』


『私』は呆れたが、エトガル救出のプランを立てはじめた。



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