表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/81

基礎とステータス

「ねぇ、あんさらー」


『何ですかマスター?』


「けんさくしたいんだけど、キーワードってどんなかんじのがいいのかな?」


『何を検索したいのですかマスター?』


「うーんとね?つよくなるほうほうかな?」


『強くなる方法?そういえば、さっきもそんなことを言っていましたね。具体的には、どれくらい強くなりたいんですかマスター?』


「うーんとね、おとうさんやおかあさんみたい!」


『もう少し具体的な方が範囲を絞り込みやすいんですが、マスターのご両親はどれくらい強いのですか?ご両親の強さの方向性でも、違いが出ますからね』


「つよさのほうこうせい?」


『ええ、マスターのご両親の強さが、精神的なものなのか、それとも肉体的なものなのか。または、魂や種族由来のものなのか、それとも経験を経て得た技術や感覚によるものなのか、強さにも方向性がいろいろあるんですマスター』


「そうなんだ。うーんと、おとうさんおかあさんはどのタイプかな?」


『このさいタイプはおいておいて、マスターはご両親のどんなところが強いと思っているのですか?』


「うーんとね?おそらをとんだり、ひやいわをはきだしてマモノをふっとばすところとかかな?」


『飛行能力にブレス系の攻撃。ヒューマン種の能力ではないですね』


「うん♪おとうさんはドラゴンで、おかあさんはとってもおおきなトリなんだ!」


『ドラゴンと鳥ですか』


ヒューマン種のマスターとは掠りもしない種族ですね。マスターとは血の繋がりが無いのでしょうか?いえ、この国ならば隔世遺伝の可能性がありますね。


『マスターは隔世遺伝なのですか?』


「かくせいいでん?」


マスターには難しかったようですね。隔世遺伝をマスターにわかるように言い直すと。


『言い直します。マスターは、おじいさんやおばあさんに似ていますか?』


「うん、ぼくはおばあちゃんとおなじだよ」


『そうですか』


これでマスターが隔世遺伝なのは確定ですね。ですが、そうなるとマスターの言う強さを得られる方法は、憑依とか転生とか肉体改造とか、強くなる方法としては、アブノーマルというか、チートや邪道の分類の方法になってしまいますね。『私』としては、マスターに提供したくない内容です。どうしましょう?・・・うん?けどマスターは、自分の口から炎や岩を吐いたり、自分の翼で空を飛びたいのでしょうか?違うのなら、まともな情報を提供すればOKですよね。


『マスター』


「なあに、あんさらー?」


『マスターは、ご両親のようにご自身の口から炎や岩を吐き出したり、翼で空を飛びたいのですか?』


「うーん、できればそうしたいんだけど、おにいちゃんおねいちゃんはともかく、ぼくにはムリだっていうのはわかってるよ。あんさらーをよんでもムリでしょう?」


『そうですね』


よかった、マスターは現実的だ。これなら、検索や表示に制限をかけておけば、さっきの心配ごとがなくなる。マスターが正しい倫理感を持つまでは、マスターにはその手の方法も『私』に記載されていることは内緒にしておきましょう。


『けれどマスター、ご自身の口から炎や岩を吐き出したりは無理ですが、魔法で炎や岩を出したり、空を飛ぶことは十分可能ですよ』


「え、ほんとうあんさらー!」


『本当です。私の中には、各世界で存在した魔法の術式等も記載されていますので、マスターが記載されている魔法を覚えれば、マスターの望みは叶います』


「うわーい、やったー!」


マスターは、嬉しそうに部屋の中を跳びはね廻った。


『ですがマスター、マスターの望みを叶える為には、やっておかなければならないことがあります』


『私』の念話を聞いたマスターは、跳びはね廻るのを止めて、『私』を見た。


「やっておかないといけないこと?それってなあに、あんさらー?」


『それを説明する為には、まずは基礎から学びましょう。マスター、キーワードをコスモス・ヒューマン・能力・基礎・説明で検索と言ってください』


「わかった。ええと、コスモス・ヒューマン・のうりょく・きそ・せつめいで検索」


マスターが言い終わると同時に、マスターが開いていたページに、キーワードを満たした内容が表示されていった。


『さて、いまからやっておかないといけないことを説明する為の基礎知識の説明を行います。質問は、後ほどまとめて受付ますので、とりあえず終わるまではご静聴をお願いしますマスター』


「わかったあんさらー」


そう言ってマスターは、足を崩して座った。


『それではまずは、生物を構成し、強さに関係する三つのことから話ましょう。

その三つとは、肉体・精神・魂です。

一つ目の肉体とは、原子の集合体であり、その種類や配列によって形状・性質等が決まります。

そして、肉体が関係する強さは、筋力・肉体強度・耐性・牙や爪等の身体的特徴等が挙げられます。


二つ目の精神は、肉体と魂を繋げるものであり、生物の行動を決めるものでもあります。

そして、精神が関係する強さは、魔法・状況分析・戦闘組み立て・武器使用等の知識を必要とするものが大半です。


三つ目の魂は、生物の根幹であり、本体とも言えるものです。

そして、魂に関する強さとは、才能・魔力・スキル・・アビリティー・イデア・契約等の通常の方法では認識出来ない類いのものです。


今言ったものが、強さの基礎になる部分です。通常は、これらの中から自分に適性あるもの、または好きなものを選んで成長させていきます。


では、今までのことを参考に、マスターが成長させていくところをご説明いたします。


まずは、炎や岩の精製及び飛行の為の魔法の修得。そして、その魔法を使用・維持する為に必要な魔力関係諸々の修得と強化が必要です。


ご静聴ありがとうございましたマスター。今までの中で質問はありますか?』


「うーんと、つまりあんさらーはじみちにこつこつしていくのをすすめているの?」


『そうです。基礎を押さえていれば、他にもやりたいことが出来た時に、きっとマスターの為になりますから。それに、基礎を疎かにすると、後々問題になるケースも少なくないです。その手の実際に起こった問題については、暇な時にでも検索して読んでみて下さい』


「わかった、あんさらー。それじゃあなにからはじめたらいいのかな?」


『そうですね。まずはマスターのステータスを確認しましょう』


「ステータス?それってなんなのあんさらー?」


『ステータスというのは、世界に記された存在の内容です』


「えーと、それってけっきょくどういうものなの?」


『まあ、漠然としていてわかりにくいですよね。それでは、今から私が言うことを復唱して下さいマスター』


「わかった!」


『世界にステータス表示を申請』


「せかいにステータスひょうじをしんせい」


  《受諾》


マスターの復唱が終わった時、『私』とマスターにその言葉が届いた。


そして、マスターの目の前に光の粒子が踊り、以下の内容を形作った。



名前

アスティア=ドライト


存在年数

5年


種族

ヒューマン【竜種・幻獣種混血】


存在属性

火・地・時


存在値【レベル】

Level 1


身体能力

筋力     G

肉体強度   G

敏捷性  G

耐性

火・地・時


精神能力

所有魔法   無

知識量    C

判断能力   E

魔力処理能力 G



魂能力

魔力   A

イデア EX

スキル 無

アビリティー

回復・魔眼

契約

世界大全集 アンサラー



『問題無く表示されたみたいですね』


「あんさらー。それで、このステータスでなにがわかるの?」


『マスターの適性です。マスターに魔法関連の適性が無い場合もありえますから』


「そのときは、あんさらーはどうするつもりだったの?」


『その時は、魔力回路の構築などを行い、後天的にマスターに魔法を使えるようにするつもりでした』


「そうなんだ」



・アンサラーは簡単に言っているが、これは一般的にはありえないことである。

大半の世界において、魔力を先天的に持っていない者が、魔力を後天的に得ることは不可能であるというのが常識であるからだ。

しかし、アンサラーが言ったことは偽りではない。

極稀にではあるが、魂の秘密を説き明かし、魔力を持たない者に魔力を持たせる方法を研究、確立させた世界が存在していたのだ。

その為、あらえる世界の情報を持っている世界大全集アンサラーには、その方法が記載されているのである。

だが、アスティアとアンサラーは、その情報の価値には気がついてはいない。

それも無理はないだろう。

アスティアにとって、その技術がこの世界に存在しない技術であることも、この世界でこの技術が広まればどうなるかも、五才の幼児でしかない彼に理解出来るはずはないのだから。


そして、アンサラーも自分の持つこの情報の価値を理解は出来るわけはないだろう。

なぜなら、アンサラーはあくまでも所有者に望む知識を与えることが存在意義の資料本。

アンサラーに意思があるとはいえ、その意思は所有者をサポートする為にあるだけで、自分の内容が所有者の為になるかどうかの基準で提供する知識を取捨選択しているのだから、アンサラーは、世界に与える影響については、考えてすらいない。


ある意味当然のことだろう。が、この知識はやがて訪れる戦いに必要になる以上、リスクは有ってもいずれ表舞台に出すべきことになるだろう。そう、いずれ・・・。



「それであんさらー、このステータスってどう読めばいいの?」

『そうですねぇ、今見るべき所は、属性・魔力・魔力処理能力の3項目でいいでしょう』


「わかった。ええと、ぞくせいのところはひとちととき(火と地と時)になってるけど、このぞくせいってなんなのあんさらー?」


『火と地と時ですか。火と地の属性はあると思っていましたが、時まであるとはラッキーですね』


「あんさらー?」


『ああ、すみませんマスター。存在属性についてでしたね』


「うん」


『存在属性というのは、この世界に存在する元素である、火・水・風・地・光・闇の6属性の内のどれに自分が属しているのかを表したものです』


「ろくぞくせい?じゃあ、それにはいっていないときってゆうのはなんなの?」


『時はレア属性の一つです』


「レアぞくせい?」


『はい。全ての基点は先程言った6属性ですが、それには含まれない属性が存在するのです。その内、時は時間という概念を表した属性です』


「ええと、具体的にはどんなことが出来るの?」


『そうですねぇ?時の加速・減速・停止・逆行などが可能です』


「なんだかすごそうだね」


『凄いことは凄いのですが、元素の6属性と違って、レア属性の大半が凄さに比例した燃費の悪さをほこっていますけどね』


「ねんぴがわるいの?」


『ええ、かなり。その為、ほとんどの世界で、扱いの難しい属性となっています』


「そうなんだ」


『まあ、工夫すれば十分使える属性なので気にしないで下さいマスター』


「うん、わかった!」


『さて、話を戻しますが、この属性を持っていますと、その属性に由来する魔法・スキル・アビリティー・耐性が得やすくなります』


「ということは、ぼくはひとちとときのまほうをえやすいってこと?」


『そうです。あと風属性もあるとマスターの欲しがっていた飛行魔法も得やすくなったんですけどね。まあ、このさい贅沢を言うのは止めましょう』


「そうだね」


『次は、魔力です』


「うんとね、まりょくのところはAになっているよ」


『ヒューマン種なのにかなり高いですね』


「このAってなんなのあんさらー?」


『それはだいたいの目安評価ですね』


「めやすひょうか?」


『ええ。最低がGで、それから順にF・E・D・C・B・A・S・SS・SSS・EXというように上がっていきます。これが上の評価なほど、その能力が高いことを表します』


「そうなんだ」


『魔力評価がAということは、かなり大規模な魔法も使用可能ですよマスター』


「そうなの?」


『そうですよ、この評価は魔法特化型の種族でもない限りは、滅多に見ない値ですよ』


「まほうとっかがた?」


『ええ、魔法関連の能力が高く、身体能力などの魔法関連以外の能力が低い者達の総称です』


「ぼくもまほうとっかがたなの?」


『そうですねぇ。マスターの身体能力の項目を見るとそう言えますけど、マスターはまだ5才ですから、これから違う型になるかもしれませんよ』


「ふうーん」


『さて、魔力も問題ないですね。それじゃあ、最後に魔力処理能力です』


「うん。ええと、まりょくしょりのうりょくは、Gだね」


『ここにきてGですか』


「Gって、さっきのはなしだといちばんしただよね」


『ええ』


「これがいちばんしただと、まりょくしょりのうりょくはどうなるのあんさらー?」


『魔力処理能力がGということは、大規模魔法は使用出来ません』


「え、出来ないの!」


『ええ、ただしそれは何の補助のない素の話です』


「?」


『つまり、アイテムなどで補助すれば大規模魔法も使用可能です』


「ならもんだいないね」


『まあ、手間隙かかりますけどそうですね』


「それであんさらー、ぼくはおとうさんやおかあさんみたいにつよくなれそう?」


『ええ。魔力処理能力はともかく、それ以外は条件を満たしているので、大丈夫ですよマスター』


「わーい。それじゃあさあ、あんさらー、まほうをおしえてよ」


『それはかまいませんけどマスター、家の中で練習するのは危ないので、外でやりましょう』


「そうだね。どこでやろうかな?」


『マスター、お兄さんは冒険者なんですよね?お兄さんが帰って来たら聞いてみたらいかがですか』


「そうだね。バリュクスおにいちゃんにきいてみるよ」



「ただいまー」


アスティアとアンサラーが話ていると、タイミングよくバリュクスが帰って来た。


「おにいちゃん、かえってきたみたい」


『そのようですねマスター。それでは早速聞きに行ってみましょうかマスター』


「うん」


アスティアは、アンサラーを抱えて部屋を後にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ