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進化と変異

マスターは、ドレインソーンを支援する為の準備の為、インテラント達に近づいて行った。


「ねぇ、それかして」


そしてマスターは、早速呆然としているインテラント達に、ドレインソーンの果実を貸してくれるように頼んだ。


「ギィ!ギギィ?」


「うん。それをつかいたいんだ」


「ギ、ギィギィ?」


「ギィ」


「ギィ、ギィギ」


「ギィ」


マスターが頼むと、インテラント達は何事か話だした。すこし経つと、インテラント達は持っていた果実をマスターに差し出してきた。


「ありがとう」


マスターは果実を受け取り、そのままガーデンスライムのもとに向かった。


「ピィ」


「うん。これをあくうかんぞうきにいれてほしいんだ」


「ピィ!」


マスターが頼むと、ガーデンスライムの表面に穴が空いた。


「はい」


マスターは、その穴に果実を入れた。


「あんさらー。じゅんびいいよ」


『わかりました。それではマスター、次は効能再現いきますよ』


「わかった!ええと、こんかいはドレインソーンってつければいいのかな?」


『いえ、今回はランクアップでいきましょう。そっちの方がわかりやすいでしょ?』


「そうなの?ランクアップって、どんないみなの?」


『直訳で位階上昇ですね』


「いかい?」


『ええ。その者が位置する階級といったところです』


「・・・いちするかいきゅう」


『まあ、今は気にしなくてもいいですよ。ただ、この位階が上がると強くなる、ということだけ覚えておいてください』


「うーん、わかった。それじゃあ、はじめるね」


マスターは、手を目の前にだした。


『ええ、頑張ってくださいマスター』


「うん!《こうのうさいげん・ランクアップ》!」


マスターが宣言すると、マスターの手の平から虹色の光が溢れ出た。


『成功ですね。それではマスター、次は魔眼をお願いします』


「わかった!」


そういうとマスターは、ドレインソーンの方に視線を向けた。


「《こうのうのしせん・ランクアップ》!」


マスターがそう宣言すると、マスターの瞳から虹色の光が零れた。


ドレインソーンの方に視線を移すと、先程白い靄に覆われていた時とは違い、ドレインソーンは虹色に輝き、茨の動きも活発になっていた。


そう、これが『私』が出した結論。あの影を直接魔眼の餌食に出来ないいじょう、ドレインソーンの方に魔眼を使って支援を行う。ある意味、発想の転換である。敵(影)が弱体化できないのなら、味方ドレインソーンを強化すればいいという発想である。


ただ、この方法には問題がある。それは、ドレインソーンは実際にはまだこちらの味方ではないので、この戦闘の後に強化されたドレインソーンと戦わなくてはならないということである。しかし、強化されても植物であるいじょう、あの影よりもマスターとは相性がいい。


本当なら、こんなマスターを危険にさらす方法は取りたくなかったんですけど、他にいい案が無いいじょうしかたありません。


グチャ、グチュ


『私』は、何か変な音がするので音のする方向に意識を向けた。


意識を向けた先では、ドレインソーンが変形をはじめていた。


『私』が罪悪感を感じている間も、マスターの魔眼は順調に効果を発揮していたようだ。


ただ、事前に知っていた情報と何か違う気がした。


グチュ、グチュ


影を抑えている茨を残し、それ以外の茨が繭の中に収納されていっていった。


しかし、これはおかしなことです。なぜなら、ドレインソーンの第二段階は茨を脚にして移動する形態になるはずだからです。


繭の中から茨が出て来たならともかく、なんで逆に引っ込めているのでしょう?なにか予想外のことがおこっているようですね。これは、マスターに魔眼の発動を止めてもらった方がいいでしょうか?


グチュ、グチュ、ビキィリ!


『私』が悩んでいると、今までとは違う音が繭からした。


繭を注視してみると、繭にひびがはいっていた。


『何が起きるのでしょうか?』


「さあ~?」


「ピィ?」


「「「ギィ?」」」


ビキィリ、ビキィビキィ!!


『私』達が揃って疑問に思っている間も、ドレインソーンの繭のひび割れは広がっていった。


カッ!!!


やがて繭が完全に割れ、中のものがあらわになろうとした瞬間、強烈な閃光がひび割れから放たれた。


『きゃっ!?』


「わっ!?」


『ピィィ!?』


「「「ギィィ!?」」」


GUGYAAAA!!!


その光景を見ていた誰もが、その閃光に慌てて目を庇った。


『いったいなにが!?』


やがて閃光は徐々に治まっていった。


『私』は、閃光が完全に治まるのを待ってから、再びドレインソーンに意識を向けた。


しかし、先程までドレインソーンがいた場所にいたのは、やはりというか、『私』が知っているドレインソーンの第二段階の姿ではなかった。


『私』が確認したドレインソーンの状況は、まとめると次のようになっている。


茨の繭は完全に無くなり、繭があった場所には大きな、高さ五十メートル以上ありそうな広葉樹が生えている。


その広葉樹の根本からは先程の十倍近い灰色の茨が生えている。


その灰色の茨を観察してみると、表面が何かで覆われていた。


何かと思いさらに観察してみると、それはどうやら鱗のようだった。


なぜ茨に鱗が?と思ったが、とりあえずは他の所を見てから考えることにした。


意識を茨から根本、幹へと徐々に移していく。


すると、根や幹も表面が鱗のようなもので覆われていることがわかった。


さらに疑問は深まったが、さらに意識を上に向けた。


枝や葉っぱはさすがに鱗には覆われていなかった。しかし、葉っぱの形状が鳥の羽根のようになっていた。


そして、その羽根に包まれるように色とりどりの卵の形状をした何かと、虹色の花が咲き誇っていた。


おそらく、卵の形状した何かはドレインソーンの果実でしょう。ただ、こちらもなぜ果実が卵型になっているのかや、葉っぱが羽根のようになっているのかは不明だった。


結局のところ、ドレインソーンの新しい姿を大まかに見てみたが、完全に『私』が知っていた第二段階とは別物だった。


というか、どんな突然変異をしたら鱗や羽根が生えたあげく、卵が実るようになるのでしょう?


『私』は、明らかにおかしいドレインソーンの姿に頭を悩ませた。


この際、普通ではない方法で進化したということであの姿については諦めるとして、あんな変異しまくったドレインソーンをマスターは使役出来るのでしょうか?


『私』は、進化したドレインソーンが負ける未来を想像出来ず、あの影を倒した後のことで頭を痛めた。


うん?普通ではない方法で進化?


『私』は、今後の展開について頭を痛めていると、自分が思った内容の一つに引っ掛かりを覚えた。


鱗、羽根、卵、灰色、色とりどりの果実。・・・あのドレインソーン、ひょっとしてマスターの魔力の影響で変異したのですか?


それが当たりの気がありありとした。


他に変異の原因が思いつかない上、あのドレインソーンの姿が、マスターに流れているバジリスクや鳥の幻獸の要素が出た結果だとしたら納得できる。


もともと魔眼による効能付与という、かなりおかしな手順を踏んでいるのです。ドレインソーンに与えられた進化エネルギーに、マスターの魔力を変換したものが紛れこんでしまった可能性は充分にあるはず。


そう考えた『私』は、進化後のドレインソーンについて検索を開始した。

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