インテラントと核
『私』は、蟻達の巨大化した原因がわかったところで、次はその蟻達の進化後について検索をかけた。
インテラント
多次元世界に広く生息している蟻型モンスターが、ドレインソーンの進化の実で進化したモンスター。食性は進化前と同じ草食で、自分達から他の生物を襲ったりはしない為、攻撃性はあまり高くは無い。ただし、進化にともない脳が肥大かしているので、知能・学習能力はかなり高くなっている。(知能の高さは大きさに比例する)その結果、相手から危害を加えられると、最初に必ず警告を行ってから相手の対応に応じて対処を行うという知的な性質がある。だが、相手の対応によっては、その学習能力をいかしてかなり凄惨な報復を行うこともある。その為、インテラント達にはけっして安易な行動をとってはならない。とった場合でも、交渉が可能な場合が多いので、安易な総力決戦などはしないことをオススメする。もし万が一交渉が無理な場合は、手札を見せずに一回の戦闘で全滅させることが必須。一回の戦闘で全滅させられずに生き残りを出した場合、インテラント達はその生存個体からの情報を元に戦略をたててくるので、回数を重ねる毎に危険度が上昇していく。さらにインテラント達には、その群れが経験してきたことを全て一度は解析する習性と、それを保存しておく習性がある。その為、こちらの武装・魔法・魔術・技術・戦略・思考・文化などを解析・発展して使用してくる。ゆえに、一度した行動は二度目以降もインテラント達に通用した例は皆無である。生存年数が経過している群れほど対応力・解析能力も上昇している傾向も確認されている。結論としては、けっして敵対関係にならないこと。
何と言うか、この蟻達。もとい、インテラント達は、進化した結果最低でも個体では魔人クラス。群れの総合的な強さだと、魔王クラスにまで進化してしまったようですね。それにしても、普通の蟻型モンスターをここまで進化させた進化の実がすごいのか、それだけの進化を出来るだけのポテンシャルがあった、蟻型モンスター達がすごいのやら。どちらにしても、驚愕の一言に尽きますけど。
それはそうと、検索結果を見るかぎりでは、インテラント達はかなり知的なようですし、マスターに危害を加える可能性がほぼ無くて、とりあえずは『私』もこれで一安心です。
この能力値でマスターに襲い掛かられたら、『私』にはどうしようもありませんからねぇ。
それよりも気になるのは、検索結果にあった凄惨な報復という部分です。たしか、ドレインソーンがいたアースターには、蟻型モンスターはいなかったはずです。とすると、この凄惨な報復を行ったというインテラントは、ここにいるインテラント達か、巣別れで発生するであろう別の群れが未来に起こすんでしょうか?いえ、そもそもそんなことが可能なのでしょうか?このフロアにあるものは、全てエトガルが配置したオブジェクトやギミックの類いのはず。進化したとはいえ、その内の一つでしかないインテラント達が、エトガルの中から外に出られるのでしょうか?少なくとも、『私』が知っている範囲ではエトガルには、ダンジョン内のものを外で実体化させる。そんなことはできなかったはずです。
それからしばらく考えたが、答えはでなかった。
しかたありません。この件については、後でエトガルを捕まえて聞いてみましょう。その結果、ダンジョン内のものを外で実体化させられるというのなら、インテラント達をマスターの戦力にしたいですね。人が定めた生活する上で必要な最低限ものは、衣食住の三つ。モンスターであるインテラント達なら、衣服については考えなくてもいいでしょう。それに食事も、インテラント達は草食ですから、マスターの亜空間臓器内の植物でまかなえばいいですし、住家も亜空間臓器内でかまわないでしょう。
衣食住はマスターなら、問題無く保証出来ます。こちらから提示出来る生活環境は問題ないのですから、試しにインテラント達に移住を提案してみるぐらいは、かまわないでしょう。そこからさらに契約までもっていければいうことなしですね。あれ?けどそもそも、元のサイズからかなり巨大化してしまったインテラント達は、巣に入れるのでしょうか?
そう思った『私』は、インテラント達を眺めた。
・・・無理そうですね。さすがに五倍以上ともなると、いくらなんでもサイズ的に不可能ですよね。
それなら、移住の件は案外簡単に聞いてもらえるかもしれません。
「ギィ」
「う~ん、そうだね。ついていくよ」
『私』がそんなことを考えていると、マスターとインテラント達の会話が聞こえてきた。
『マスター』
「なに、あんさらー?」
『どこについて行くんですか?』
「かのじょたちのすにだよ。だってぼくたち、かのじょたちのすもさがしてたじゃない」
『まあ、そうですね。行くのはかまいませんが、インテラント達の巣に行く前に、ドレインソーンの核に触って使役するのを忘れないでくださいね』
「うん、わかってる。けど、かくはどこにあるの?」
『ドレインソーンの核は、今インテラント達が出現した場所の地面の中です。果実があった場所の真下を探せばあるはずですよ』
「わかった!」
そう言うとマスターは、インテラント達が出て来た繭の部分に近ずいて行った。
「ギィ?」
「え!てつだってくれるの?」
「ギィ」
マスターの質問に、インテラント達は首肯した。
「ありがとう。それじゃあ、ぼくといっしょにやろう!」
「「「ギィ!」」」
マスターが頼むと、インテラント達は揃って返事をした。
そして、マスターの隣に移動して茨をどかしたり、地面を掘り始めた。
「さて、ぼくもやろう!」
マスターも、インテラント達と並んで核を探し始めた。
ただ、はたから見てると芋掘りをしているような光景にも見えますね。蔓ではなく茨だったり、一緒に掘っているのが家族とかでは無く、インテラント達と掘っていたりと差異はありますが、マスターは楽しそうですね。
それからマスター達は、しばらくの間ドレインソーンの核を探し続けた。
「ないねぇ」
「ギィ」
「ピィ」
『たしかに無いですね』
が、かなり深くまで掘ったのに、いっこうに核を掘り当てることは出来なかった。
「ねえ、ほんとうにここであってるの?」
「「「ギィ」」」
インテラント達は、首肯で返した。
実際のところ、掘る前の地面には果実の跡があったので、場所に間違いがないことは確かなんですけどねぇ?ドレインソーンの核は、いったいどこにあるんでしょうか?まさか、核に足が生えて逃げたわけじゃあるまいし。
ドレインソーンは、第二段階に進化したのなら茨を脚にして移動出来ますが、かんじんの進化の為のエネルギーが、インテラント達の進化に使われてしまっているいじょう、それはありえないですし。ほんとうに、どこにいったんでしょう?
ズズ、ズズズズ
『私』が核の場所を考えていると、またどこからか何かが引きずられるような、はいずるような音が聞こえてきた。
『今度は何です?』
「こんどはなに?」
「ピィ?」
「「「ギィ?」」」
音を聞いたマスター達も、辺りを確認しだした。
そして、音が一番大きく聞こえてくる方向に意識を向けると、それはいた。




