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第一階層と戦い方

『さて、それではドレインソーンの対応について説明します』


「うん!」


「ピィ!」


『先程も言いましたが、通常ドレインソーンの討伐ランクは最低Bランクです』


「うん。さっきそういってた。けど、ぼくにそんなしょくぶつが、ほんとうにたおせるの?」


『ええ。マスター達の能力なら大丈夫です。ただ、これは相性の問題なので、ドレインソーンの通常の倒し方も一緒にお教えておきますね』


「うん!おねがい、あんさらー!」


『では、まず最初にドレインソーンを相手にする場合の注意事項です』


「うん。なににちゅういすればいいの?」


『まず第一に、近距離・中距離での戦闘は厳禁です』


「あのいばらのせい?」


『ええ。近距離・中距離だと、あの茨の手数とドレイン攻撃の餌食になります』


「ドレインこうげき?」


『ええ。茨を巻き付けて拘束した後、盾や鎧を茨と刺で破壊・脱衣させて、露出した部分から生命力や魔力などを搾り取るのが、ドレインソーンのドレイン攻撃です。ちなみに、ドレインというのは、吸収という意味です』


「へぇ~、そうなんだ」


『なのでドレインソーンを倒す時は、遠距離からの魔法・スキル・アビリティーによる攻撃がメインになります』


「うん。わかった!けど、それならなんでぼくならたおせるの?ぼく、えんきょりこうげきなんて、できないよ?」


『いえ、出来ますよ』


「え?うそだぁ~!」


『嘘じゃありません。だって、マスターには魔眼があるでしょう』


「あっ!そっか、それがあったね。つかったことなかったから、おもいつかなかったよ」


『まあ、そうですね。けど、ドレインソーンを相手にするのなら、魔眼は使い勝手がいいですよ』


「そうなの?」


『ええ。魔眼は、対象を目視することが絶対条件なので、移動出来ず、遠距離攻撃の持ち合わせの無いドレインソーンは、ちょうどいい練習相手です』


「ちょうどいいの?」


『ええ。だって、的が動かないのですから、落ち着いて能力を発動すれば問題無いです。遠距離からドレインソーンを見て、ゆっくり状態異常にしていけば、いつかは倒せます。反撃の心配も無いのですから、ノーリスクです。魔眼を始めて使うマスターには、ちょうどいい相手でしょう?』


「うーん。たしかに、それならだいじょうぶかな?」


「ピィ?」


そう返事をしたマスターも、足元のガーデンスライムも首を傾げていた。


まあ、やってみないと実感はできませんよね。


『とりあえず、次にいきますよ』


「うん?うん、おねがい」


「ピィ」


『第二に、攻撃する時に気をつけなくてはいけないことがあります』


「それはなに?」


『それは、遠距離攻撃に使用する属性です』


「ぞくせい?」


『ええ。ドレインソーンは植物ですから、地・水・木・光属性の攻撃をしても効果が薄いのです。いえ、逆に攻撃を吸収されてしまう場合もあるでしょう』


「じゃあ、なにがきくの?」


『植物タイプには、基本的に火・氷・闇属性がよく効きます』


「ぼく、そんなぞくせいのまがん、もってたっけ?」


『ええ。さっき、最初に収穫した白い果実。あれは、アップスというのですが、その効能は冷却です。ですので、氷属性の魔眼がありますよ』


「え!あれにそんなこうのうがあったの!」


『ええ。あったんです』


「へー。じゃあ、おやつのときにたべた、ほかのくだものにもそんなこうのうがあったの?」


『ええ、ありましたよ。だから、お姉さん達に果物をそのまま食べさせては駄目だと言ったんです』


「なるほど。そういうことだったんだ」


『まあ、今日収穫した果実の詳しい効能は、帰ってからお教えしますね』


「うん、おねがいあんさらー!」


『それでは最後に、ドレインソーンを魔眼にかけた後についてです』


「え!たおしたあとに、なにかするの?」


『ええ。状態異常で弱らせた後に、あの繭の中に入って、ドレインソーンの核に触ってください』


「なんでそんなことをするの?」


『ドレインソーンの、果実を収穫する為ですよ』


「え!あれってみがなってるの!」


『まあ、そう思いますよね』


なにせ、ドレインソーンの見た目は茨の塊で、傍目から見ても果実がなっていることはわかりませんからね。


『ええ。ここからでは見えませんが、あの繭の中になっていますよ』


「へぇ~!」


『というかマスター。何のためにドレインソーンを倒すと思っていたのですか?果実を収穫する為ですよ』


「あー、そうだった。たおすことばかりかんがえちゃってたよ」


『まったく、最初の目的を忘れないでください』


「ごめんなさい、あんさらー。けどあんさらー」


『何です、マスター?』


「しゅうかくするのはわかったけど、なんでかくにさわらないといけないの」


『マスターの能力である、植物使役を発動させる条件を満たす為です』


「しょくぶつ、しえき?」


『そうです。マスターの持っているスキルの一つで、マスターが直接触ったことのある植物を、使役出来る能力です』


「ねぇねぇあんさらー。しえきって、どういういみなの?」


『そうですねぇー?モンスターテイマー。魔物調教師ってわからますか?』


「うん!それならみたことあるよ!」


『使役は、だいたいそんな感じの関係を結ぶことですね。あるいは、マスターとガーデンスライムがした、心結契約の上下関係があるバージョンともいえるかもしれません』


「なるほど。そんなかんじなんだ!」


マスターは納得がいったようで、何度も頷いた。


『さて、ではそろそろドレインソーンを倒しにかかりますか』


「うん!わかった」


マスターは、大きく頷いた。


ドレインソーン。あなたにはマスターのしもべになってもらいますよ。


これがただ殲滅するだけなら、遠距離から火属性魔法を放ったり。または、マスターの毒生成でバジリスクの毒を生成して、伸びて来た茨に投与するだけで簡単に殲滅が可能です。


それをしないのは、さっきマスターに言ったとおり、果実の収穫の為でもありましたが、最大の理由はドレインソーンを使役することに尽きます。


マスターがどれだけ強力な能力を得ようとも、マスターの身体能力と肉体強度はヒューマンの平均以下しかありません。


たがらこそ、マスターにはマスターを直接守る存在が必要です。マスターにも、いつかは一人で行動する機会が巡ってくるでしょう。その時の為に、マスターを守ってくれる存在を早めに準備しておく必要があるいじょう、このドレインソーンとの邂逅は、じつに都合が良いのです。しかも、強さは折り紙つきなのにマスターが圧倒的に有利な点も見逃せません。


その上、使役が簡単なのに、マスターの成長促進などの効果対象にすることで、強化が可能な点がじつにいい。


ここまで好条件な相手を逃すてはありません。


本当は、『私』が直接マスターを護れればよかったんですけれど、その辺についてはどうしようもありませんしね。


さあ、待っていなさいドレインソーン。今すぐにあなたをマスターのしもべにしてあげましょう。そして、『私』の持てる情報の全てを使って、あなたを最強の存在に魔改造してあげましょう。


『私』は、かなり危ない思考でドレインソーンの改造計画を立てはじめた。

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