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プランと改案

『私』がマスターのアビリティーとスキルの修得の順番を決める為に最初にしたことは、最初のプランを見直すことだった。


『私』が最初に考えていたプランは、マスターに言ったとおり、マスターの魔法を補助するタイプのアビリティーやスキルを、簡単なものから修得していってもらうというものだった。


内容としては、火炎生成・操作。岩石生成・操作。加速・減速。といったものだ。


火炎生成は、名前のとおり火炎を生成するスキル。


このスキルが修得出来れば、わざわざ火種の魔法を使わずとも火を起こすことができる。


後は、生成した火を魔力で操作すれば立派な魔法といえる。


次の火炎操作は、火炎を操作するスキル。

このスキルを修得すれば、魔法のような複雑な手順をふまずに、火炎を操作できるようになる。


次に岩石生成・操作の二つも内容は火炎生成・操作と同様で、岩石を生成・操作する為のスキル。


そして最後に時属性の加速と減速というスキル。


この二つは名前は違うが、内容としては速度を操るという同じスキルである。


このスキルは、任意の速度を加速・減速させることが可能という、マスターの魔法、《思考加速》の上位互換にあたる力で、魔法よりも使い勝手が良いため、是非マスターには修得してもらいたい。


いじょう六つのスキルを『私』はマスターには覚えてもらうつもりだった。


これらのスキルは、修得条件もわかりやすく、適性があるマスターならば、すぐにでも修得出来るものばかりだ。


が、マスターの希望した内容に当て嵌まるアビリティーやスキルは、修得するのは今のマスターでも可能だが、手間がかかるものばかりだった。どのような順番で修得したらいいだろうか?やはり、マスターには最初のプランをしてもらった後に、マスターの希望を叶えた方がいいでしょうか?それとも、最初のプランにマスターの希望を反映させるべきか、どうしましょう?


・・・初期アビリティーとスキルから順番に、マスターの希望する能力まで繋げていく感じにするとしましょう。


マスターの年頃ならば、その方が一番マスターの為になるでしょう。


そう思った『私』は、その方針でプランの組み立てにかかった。


まず最初は、加速・減速からがいいですね。マスターは、すでに《思考加速》の魔法は出来ますから、この魔法を使い続けてもらえば問題無く修得出来るでしょう。なにせ、スキルの加速と減速の修得条件は、時間の流れを理解することですから。


マスターは、まだ魔法を覚えて日は浅いですが、この四日間起きている間はずっと《思考加速》を使用しています。だから、時間の流れの違いについて意識しだすのもそう遠い未来のことではないでしょう。そして、意識すればマスターなら興味を持って、自分で調べはじめるはず。そうすれば、後は簡単にスキルを覚えられることでしょう。


さて、最初はもう決定でいいでしょう。次は何にしましょうか?やはり、加速と減速が関係するスキルがいいですか?せっかく修得するのですから、使わないと意味ないですしね。


となると、加速・減速を使用しつつ、マスターが修得条件を満たせそうなスキルというとどれですかね。


・・・そうです!火炎生成などがいけます。マスターが理解出来るのなら、複数のスキルを同時に手に入れることも可能です。


加速を使って対象の分子運動を加速させれば対象は熱を持つ。これで熱生成が修得出来るはず。そして、そのまま加速させ続ければやがて発火温度に到達して火が点くでしょう。これで火炎生成が修得出来ます。逆に、減速を使えば、対象の分子運動を遅延、最終的には停止にまで運動を低下させられれば、対象を凍結させられます。これで氷雪生成が修得出来るでしょう。


ふむ。後はそれぞれの操作を覚えていけば、操作のスキルも修得出来そうですね。


さて、次は何のスキルがいいでしょうか?いえ、それよりも火炎生成と氷雪生成をマスターに極めてもらい、放出・拡散と集結・凝固のスキルを覚えてもらった方がいいでしょうか?しかし、これらのスキルをマスターは修得出来るでしょうか?・・・科学知識がないと微妙ですね。いえ、科学世界の学校の教科書でもマスターに読んでもらえばいけますか?


・・・これはひとまず保留にしましょう。


けれど、集結・凝固をマスターが覚えてくださると、岩石生成は修得しやすくなりますね。手近な原子・分子を集めて物体と呼べるまで大きくすればいいのですから。


それに、それらのスキルを得る過程で引力と斥力のことも理解出来れば、重力関係のスキルも修得出来そうです。


これで、当初のプランのスキルはマスターに全て覚えてもらえそうです。


しかも、それに加えて他にも強力なスキルを修得出来る可能性のあるプランになりました。


これだけ下地が出来れば、マスターのご希望のスキルも修得出来そうですね。さて、それでは残りのプランもやってしまいましょう。


次は何のスキルがいいでしょうか?


それからしばらく考えて、一つのアビリティーが『私』の意識をかすめた。


そういえば、重力関係のスキルが修得出来るなら、あれも修得出来るかもしれないですね。


アビリティー、浮遊。重力を無効にするか、無効に出来なくても重力の方向をいじることが出来るのなら、浮かぶことは出来るでしょうから、修得出来るか試してみるのもいいかもしれません。


マスターの望みである空を飛ぶこと。飛行とは違いますけど、それでもマスターの夢には近づけますね。


後はどうしましょうか?ここから繋がるアビリティーやスキルは・・・思いつきませんね。


いえ、いっそのこと属性を基点に派生させてみましょうか?


例えば、火属性ならば錬金術のような物質変換係のアビリティーやスキルはどうでしょう。・・・悪くはないですね。マスターは地属性も持っていることですし、地属性で生成した岩石や鉱物を材料にして、別の物質に精製する。他の世界でも、希少価値の高いアイテムなどは錬金術で作成されることが大半。そして、それに加えて錬金術は応用範囲がかなり広い。


ふむ。やはり苦労してアビリティーやスキルを修得するのなら、使い勝手が良いものの方がいいでしょうし、これもプランに加えましょう。


最近マスターが読んでいる地球系列世界の文庫本の記載にも、その手のチートの物語が多いですから、マスターもこの提案は喜んでくれるでしょう。


さて、次に地属性は死霊魔法ネクロマンシーがいいでしょうか?


大半の世界において、地の底にある冥界から死霊を召喚・使役すると言われている魔法。


もっとも、冥界なんて無い世界でも使用出来る時点で、死霊魔法の定義をミスってますけどね。


実際の死霊魔法は、物の記憶や世界の記録を媒体に、失われた者の劣化コピーを作成する魔法なんですよねぇ。


けれど、死霊魔法の媒体が埋葬された死体や、埋められた地面の記録を使用することがほとんどないじょう、気づかないのはしかたありませんか。


しかし、『私』という知識と時属性を持っているマスターなら、人が思い描く本当の死霊魔法も出来そうですね。


人が死霊魔法に求めるのは、死者の復活や不老不死などですが、マスターが時属性の派生である刻の力を得られれば、それは普通に可能なこと。マスターがヒューマンの多くが望む夢を可能にする。その未来を見てみたいですね。


最後に時属性の派生は、錬金術や死霊魔法の使用を考えるに、ときで決まりですね。


世界の全ては時が流れ、ときが刻まれることによって動いている。ゆえに、時属性の派生たる刻の力を得られれば、世界の全てに干渉出来るようになる。


それは、マスターが先程希望したアビリティーやスキルを手に入れる為の手助けにもなる。


ああ、マスター。待っていて下さい。このアンサラー(応答するもの)がマスターの望みを全て叶えてみせます。


『私』はその後もプランの調整に勤しんだ。

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