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不可避なLIMIT  作者:
第三章 「ESCAPE」
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第37話

 残暑が漂う空気でありながら、どことなく秋の雰囲気を醸し出す中途半端な季節。当初の目的から全く違う方向を向く国家プロジェクトも残り半分を切っていた。それは、僕たちの命のリミットも近づいていると考えていいのかもしれない。


 僕が宮本さんを殺したんだ。


 宮本さんが消え逝くのを目の当たりにしてから暫く、僕の精神は完全に壊れていた。頭を抱え、体躯を縮め、怯え震える体は、自分のものとは思えなかった。精神状態が安定するまで僕はずっとこんな調子で、ただ時間だけが無情に過ぎていった。


 徐々に物事を冷静に捉えられるようになり、高林くんの件も、宮本さんの件も、今はこの場から一刻も早く抜け出すことにより実現すると思われる、自分たちの身の安全の確保という目的の達成に駆り立てる大切な役割を担っていた。



――海だった。


 航輝たちの報告を人伝に聞いた僕は、その言葉の意味に思考を巡らせる。

 ここが島なのだとしたら、どうやってここまで来たのか。この場に到着した時、確かに僕たちはバスに乗っていた。全員が眠らされていたとしても、バスから船もしくは飛行機に生徒たちを移すなんて重労働をするはずがない。つまりは、バスごと船に乗ってここまで来たと考えるのが自然だ。


 授業は通常通り再開していた。宮本さんが亡くなった次の日一日は休みだったけど、それ以降は何事もなかったかのように学校は始動していた。僕は食料を購買に調達しに行く以外、数日間自分の部屋から一歩も出なかったけど。


 みんなが心配の声をかけてくれる中、僕は久々の登校に違和感を覚えた。ここが無人島だと判ったからなのか、彼らの瞳からは希望が消えていた。僕を心配してくれてはいるけど、それはただの傷の舐め合いのようだった。


「航輝が空飛んだ時、この島全体を見渡せたんだよね?」


 僕は鞄を机に置いてすぐ、航輝の席に向かった。お腹が空いていなかったため、朝食の時は顔を合わせていない。今日航輝を見るのは、これが初めてだった。


 航輝は航輝で、ここが島だと判ってから数日経った今、僕が何を知ろうとしているのか判然としないまま、取り敢えず言われたことに答える。


「そうだけど……」

「この島って飛行機が着陸できるような場所あった?」

「いや、なかったな。だけど、波止場みたいのならあったぞ」


 ということは、やっぱり僕たちはバスごと船でここまで運ばれたことになる。それが判明するのと同時に、もう一つ判ったことがある。それは、購買に品物を納める業者も船でそれらを運んでいるということだった。小鳥先生が言っていた、納品は一週間くらいかかってしまうというのは、こういうことだったのだ。


 だけど、引っかかるのは圏外区域であるこの地域に品物をリクエストできる制度があるということだ。それはつまり、ここから外部へ連絡できる何らかの手段があることを意味する。

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