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不可避なLIMIT  作者:
第二章 「SEEK」
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第24話

 数日後、水川先生の授業で、抜き打ちテストの最後の答案が返却された。


 僕は平均六十点。抜き打ちの割にまあまあの成績だと思う。


 水川先生は自分の答案を見る生徒たちを楽しそうに眺めている。授業はその抜き打ちテストの解答解説だった。


「この抜き打ちテストは成績には一切関係ないから、みんな心配しないでね! 定期テストの結果はみんなの高校にいくので、頑張るんだゾ☆」


 いつものウィンクポーズ。


「それと……」


 水川先生はまるで秘密を共有する前のように興奮して、口を開いた。


「実は、なんと! 全教科満点がいたんです!」

「!?」


 クラスの誰がそんな点数を取ったのか、みんなきょろきょろしている。確かに、オール満点は凄い。


「その天才児は……、高林くんです!」


 水川先生の言葉で、高林くんに一斉に注目が集まる。彼は当然だと言わんばかりの表情をしている。爪の垢でも煎じて飲めば、僕もオール満点取れるのかな?



 その日の放課後、いつも通り四人で寮に戻り、部屋の扉を開けようとして僕は静止した。誰かが階段を上って来る音がする。その人物は二階のフロアに到着すると、凝視している僕に気付いて表情を引きつらせた。


「何やってるの?」


 僕が凝視していた人物は天才児の高林くん。


「いやー、足音が聞こえたから誰かなーって思って」

「それだけ?」

「それだけ」


 高林くんは、あっそ、と言って部屋に入ろうと鍵を開ける。


「ちょ、ちょっと待って!」


 そんな高林くんを僕は急いで引き留める。彼は再び怪訝そうな顔を見せて、次に続く僕の言葉を待っている。


「あのさ、抜き打ちテストオール満点なんて凄いよね! 僕、勉強って苦手だから高得点取れるコツとかあったら教えてほしいんだけど、もしよければ高林くんチ行っていい?」


 高林くんはカードキーで部屋のロックを解除し、扉を開きざま僕に目をやった。


「入るんだろ?」


 ソッコー断られると思っていた僕は、高林くんのその回答に正直驚いた。


「う、うん!」


 オートロックがかかる前に高林くんの部屋の扉を掴み、僕は中に入った。彼の表情からは読み取れないけど、高林くんはきっと褒められるの嫌いではないのだろう。そして教室で見せた、当然だ、という表情から察するに、高林くんは自分は普通の人間と違うと思っているタイプ。


「お邪魔しまーす」


 自分以外の部屋に入るのは初めてだ。部屋の作りも、設置されている家具も同じ。特にアレンジは加えられていないため、僕の部屋とほとんど変わらない。違いは、机の上にノートパソコンが置かれているくらいだ。


「高林くん、パソコン得意なの?」


 僕は赤いノートパソコンを見つめながら、勝手にソファに座る。


「まあね。ここは圏外だからネットできないけど、家にいる時はずっとやってたな。でも別にパソコンだけじゃなくて、ボク機械全般が好きだから色んな物分解して再構築してみたり、自分でプログラム作ってみたりしてた」


 高林くんってガリ勉なのかと思ってたけど、どうやら勘違いだったようだ。機械オタクさんのようです。


「で、テストで高得点取る方法だけど……、ボクにそんなことわざわざ訊いてくるってことは、キミは気付いてるんだろ?」


 さすが天才児の高林くん。察しもいいし、話も早い。階段の方から音が聞こえた時、実は高林くんだったらいいなと思っていた。訊きたいことがあったから。


「高林くんも何かの能力があるんでしょ?」


 僕のその回答に満足したように、高林くんは鼻で笑う。この状況を楽しんでいるようだ。


「その通り。ボクにもキミたちと同じく特殊な能力がある。もうここにいる連中のほとんどはそのことに気付いていると思うよ。早坂くんがドッジボールであんな力を見せたわけだし、その時の宮本さんの台詞も『どういう技使ったの』だったし。普通、あんな有り得ない動きされたら、どうしてあんな動きができたのか不思議に思うはずだ。だけど宮本さんは、あんな動きができたことには触れずに、どういった種類の力を使ったのか、を訊き出そうとしていた。それを考えると、宮本さんも何らかの能力を保有していると考えるのが自然だ。その後にボールを受け止めていた勇くんもかなり怪しいと思うね」


 前も思ったけど、高林くんって意外とお喋りだよな。と、それはさておき。


 高林くんの言う通り、僕も宮本さんと勇くんは何らかの能力を保有していると思っていた。というか、みんな保有しているんだろうけど、既に覚醒しているんだろうな、と見当をつけていた。どんな能力なのかは定かではないけど。


「僕も、宮本さんと勇くんは黒だと思ってるよ。それで、高林くんの能力なんだけど……」

「当ててみてくれよ」


 そう言いながら、高林くんが席を立つ。


「ボクがアイスコーヒーを入れて戻って来るまでにね」


 アイスコーヒー入れるなんて、既にできあがっているものをペットボトルからコップに移し替えて、適宜牛乳を入れるだけじゃないか! とか思いつつ、僕は仕方なく思考を巡らせた。

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