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感染者の沈黙  作者: 原案・文章:岡田健八郎 キャラクターアイディア:岡田健八郎の兄 
平和
9/84

2人目の転入生

月曜日の朝

真人は教室に居た。「まだ信二君との距離は縮まっていない。これからどうする?」

本当に困った作戦だ。

紀子は真人に近づいた。「で、信二君との距離は?」

「100%中、0,001%」

紀子はため息ついた。まったく、先が思いやられる。

「広報委員石川紀子は居るか?」

鳥山と猫田がやってきた。

「おい、あれ狐狩りじゃないか?」

「紀子、今度は狐狩りに手を出したか}

「アーメン」

紀子は、そんなクラスメートの囁きを無視して、2人の不良の元に来た。真人も着いてきた。

「で、何のようよ?」

「はっはっは!相変わらず気の強い女だ」

「くくく・・・俺達狐狩りと同等になったつもりか?」

2人の不良は校長室へ連れて行った。校長室には液田井……ではなく総統と蛸田が待っていた。

「石川広報委員。情報がある」総統は悪役っぽい声で言った。

「朗報?」

「蛸田、言え」

蛸田はファイルを持って説明した。

「2つあります。1つ目は、信二君は、あの事件の生還者の可能性が高くなってきた」

紀子は興奮気味だった。「そうこなくちゃ!」

「2つ目は?」

「2つ目は、君たちのクラスにまた転校生が来る」

これは朗報だ。真人はそう思った。

「男子か、女子か?」

「美女だ」

ほほ~またまた朗報だ。

「もうすぐチャイムが鳴るわ。戻りましょう」


 信二は走って登校していた。寝過ごしてしまった。真希は生徒会の仕事があったから先に登校していた。チャイムが鳴った。また遅刻しそうだった。

廊下を走っていると、誰かにぶつかった。外見上、森田ではないことは確かだった。だが、走ることに夢中だったため、顔は見ていない。

「あ、待って」女子だった。

「ごめんなさい!」

信二は走りながら謝った。

教室に着いた。

「あれ、まだ先生は来てない?」

信二は自分の席に座った。

「危うく遅刻しそうだったね」真希が話しかけた。

「ええ、まったくですよ」

スライドドアが開き、誰か入ってきた。

女子だった。自信に溢れた歩き方をしていた。ツインテールの髪型をしていて、人気アイドル風のルックス、巨乳、まさに男子のツボを抑えたような容姿だ。いわゆる美人。

まったく、この学校は美人が多いだこと。信二はそう思った。

だが、周りの男子達は興奮していた。

「おお!やっと我らがアイドルが旅行から帰ってきた!」

「ああ、幸せ!」

「1枚写真を取らせてください!」

きもい!まるでオタクだ!

「あの、真希さん。あの人は?」

真希は信二の耳元で囁いた。「綾瀬マユ。容姿端整、成績優秀、運動神経抜群、歌もうまい、家事も出来る、まさにこの学校のアイドル。あの子を泣かすと、学校中の男子を敵に回すよ」

近代の男子は怖いな。

マユは笑顔で返事を返していたが、信二を見ると、男子の声を無視して信二の下に来た。

「あなた見かけない子ね」声もアイドルらしい。だが信二の好みではなかった。真希の方がまだ好みだな。あるいは……

「最近転入して来たんです。たぶん、転入当日あなたはいなかった」

ふ~んとばかりに、マユは信二をじろじろ見た。

「ふふふ、不思議な子」

信二は頭が痛くなりそうだった。

「今日から付き合ってください」

ええ~!!信二だけでなく、クラスメート全員が驚いた。

「どういうことですか!マユさん!?」

「そうです。そんな男より俺と!」

「いや俺と!」

信二も納得できない。なぜ初対面の女子が男子に告白するんだ?

「あ、あのう~なぜ僕を?」

「一目ぼれ」

もう頭がおかしくなりそうだ。


 蛇谷がやっと来た。「綾瀬、来たのか?席に座れ」

マユは席に座った。

「え~と!今日も転入生が来る。皆、仲良くしな」

また全員騒ぎ出した。

「男かな?女かな?」

「美人がいいな」

「美少年でしょ?」

真人と紀子は、すでに性別を知っていた。

「入れ」

スライドドアが開き、女子が入ってきた。

美少女だ。ロングヘアーで、白い肌、可愛らしいルックス、真人にとっては綾瀬とは負けず劣らずの美少女だ。まるで天使。だが、無口そうだな。感情が表に出ていない。

だが、信二は興味が無いのか、窓の外を見ている。

男子達は囁き声で話した。

「あのこ、めっちゃ可愛いじゃん!」

「うんうん!綾瀬さんとは違う可愛らしさだ」

「やべ、超俺の好みだ」

「俺、思い切ってアタックしようかな」

「無理無理。俺くらいじゃないと」

蛇谷は呆れた顔で男子達を見た。「うるさいぞ。黙れ」

転入生は自己紹介をした。

「立花裕香です。これからお世話になります」可愛らしい声だ。

信二が名前を聞いた瞬間、転入生の顔を見た。

「立花!」明らかに驚いていた。

立花は信二を見た。「信二君!?」こちらも驚いていた。

クラス中も驚いていた。

蛇谷は2人に聞いた。「面識はあるのか?」

信二と立花は縦に首を振った。

「ええ~!!」クラスメート全員驚いた。

真希が尋ねた。「一体どういう関係?」

立花が答えた。「昔の友人です」

信二が訂正した。「いや、幼馴染だ」

他の人も質問しようとしたが、信二と立花がこれ以上聞かないでくれと言う目をしたので、やめた。

紀子は真人に話しかけた。「もしかして、あの娘も事件の生還者かも」

真人は呆れた。「だから、結び付けるな」


 信二と立花は屋上に居た。

「お前も東京に来たのか」

立花はうなずいた。「ええ…」

「久しぶりだな」

「ええ…」

相変わらず無口だな。「まあ、仲良くやっていこう」

「ええ」

「懐かしいな。あの時の友人達が」

「ええ…」この時だけ、悲しそうな声だった。信二にもこの気持ちは分かる。

立花が信二に質問した。「もう、あの<感染>は起きないわよね……?」

「たぶんな」

感染……この言葉で急に不安に駆られた。

信二は近いうちに感染が出てきそうな予感がした。

「出来れば、あの<感染>は起きてほしくないな」

【追加登場人物】

立花裕香たちばなゆうか

転入生。【大羽中学校封鎖事件】の生還者。好意を抱いていた男が事件で死んだ。

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