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感染者の沈黙  作者: 原案・文章:岡田健八郎 キャラクターアイディア:岡田健八郎の兄 
番外編:その他の人物の運命
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大澤知冬

 大澤は、意識がはっきりした。

――何が起きてのかしら?

 大澤は、記憶を振り返った。

 確か、保菌者を人質に、その後は落ちて、何かに食われた。

 大澤は、たちあがろうとした。

――あれ?

 体が動かなかった。

 意識ははっきりしているが、体は動かない。

――何、どういうこと?

 大澤は、なおも体を動かそうとした。

 まずは、指を動かそう。

 脳から、指を曲げるように指令する。

 だが、指は動かなかった。

 いや、指はなかった。

 大澤は、知らなかった。

 自分は、不完全で復活した不確定生物として生きることになる。

 そう、ただの肉塊だった。

 大澤は、それを悟った。

 大澤は叫んだ。

 だが、声は出なかった。

 声帯そのものが消えていた。

 肉塊は、ただ、ぶるっと震えた程度だった。

 意識はある。

 だが、肉体はない。

 大澤は、肉体的苦痛はない、しかし動くことのできない、意志を伝えることもできない、生物とも死人とも言えない出来損ないとして、生きることになる。

 精神的苦痛を味わいながら。

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