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感染者の沈黙  作者: 原案・文章:岡田健八郎 キャラクターアイディア:岡田健八郎の兄 
平和
8/84

提案

【追加新登場人物】

大澤知冬おおさわちふゆ

生物学者。かなりの優秀な学者で美人だが、少々変態な所がある。京子曰く、ノーベル賞を取ってもおかしくない。


坂本京子さかもときょうこ

真希の実の母。優秀だが、才能を発揮しきれない。研究員用の宿舎で泊まっているため、家には帰っていない。スタイルの良い美人。


坂本良治さかもとりょうじ

真希の実の父。ウイルスの関しては優秀。京子同様家には帰っていない。

信二はベッドの上で目を覚ました。

「……んん……」

眠りが浅かったのか、まだ意識がはっきりしない。

「ここは……?」

信二ははっきりしない意識の中、何かに抱きついた。

「ん……?」

抱き枕だな!信二は抱き枕を抱いた。だが、両手で何か握った

「んん!?」

両手に柔らかい感触が走る。実にさわり心地が良い。

「ほほ~」

だが、前にも似た状況があった。思い出せないが……まさか!

信二はゆっくり目を開けた。

誰かの後姿が見えた。その人に抱きついてしまったらしい。

その人は女だった。

「うわああああ!」

信二はベッドから落ちた。

その女性は起きた。「う~ん……なんだ、もう朝か」

聞き覚えのある声だ。

「おやや、信二君は何で落っこちたのかな?」

真希だった。

「なぜ真希さんが……?」

「真希でいいよ。ここ、私の家だよ」

よく部屋を見渡すと、確かに女子らしい部屋だった。

「なぜ僕が、真希さんの部屋に?」

「真希でいいよ。家の前で倒れてから、慌てて中に入れて寝かしたの」

家の前で倒れていた?はて、昨日何があったのだろう?思い出せない。

「昨日、何があったの?」

こっちが聞きたいくらいだ。昨日は確か……故郷から帰った後に何か……思い出せない。

「すいません。思い出せません」

真希は気の毒そうな顔をして、テレビをつけた。

「・・・昨夜、変質者が警察に逮捕されました」

信二はテレビに釘付けになった。

「変質者は、わめき声を上げながら、通行者を殴る蹴るなどの暴行を加え、さらに拘束してくる警察にも暴行を加えました。変質者の精神は完全に錯乱しており、警察は、新種の麻薬か何かを摂取したと見て、捜査を始めました」

「へ~怖いわね」真希はそう言った。

信二は全てを思い出した。そうだ!昨日は見知らぬ男に追いかけられたんだ!

信二はテレビの時間を見た。午前8時40分。

「やばい!学校遅刻した!」

「今日休みだよ?」

そうだ!今日は土曜日。部活以外の人は休日だ。

「真希さん。ご家族は?」

「真希でいいよ。基本的に両親は仕事で帰ってこないんだ」

「じゃあ、いつも1人?」

「そういう事。君は?」

「俺も」

真希は同胞が居たと言う目で信二を見た。そしてある提案をした。

「私達。同居してみない?」

「え?」

「一緒に住もうって話だよ」

信二は返答に困った。「僕達はまだ中学生だよ!」

「年なんて関係ないよ。私、料理は出来るし」

「僕だって」

「でも、どうせ作ってないでしょ。食べる人がいないと作り甲斐が無いからコンビニの弁当ですましてるでしょう?」

図星だった。信二はこれ以上反論出来ないと判断した。だが、孤独でいる寂しさを無くしたかったのも事実だ。

「…分かりました。けど嫌らしいことはしないで」

「分かってる♪今日は私んちに泊まりなさい♪」


 「博士、今回の実験はどうします?」京子は大澤に尋ねた。

大澤は甘い声で、京子を惑わすように言った。「そうね~、血液採取してからにしましょう」

「はい。分かりました」

大澤はからかう目で京子を見つめた。「そういえば、旦那さんは?」

京子は返答をためらった。「あれを研究中です」

「そうねえ~彼も徹夜で働いているはずだから、疲れたんじゃないかしら?」

「そうですね」

「私、彼の性的欲求を満たして上げましょうか?」

京子は、頬を赤くした。「何てこと言うのですか!!」

「ふふふ・・・冗談よ」

相変わらずこの人は苦手だ……

「それで、どちらの方で実験しますか?」

大澤は迷った素振りをした。「第1号にしましょう」

「つまり彼女ですね」

「ええ。あの可愛い実験台」

実験台……まだ若い子なのに。

「第2号の様子は?」

「だいぶ大人しいです」

大澤は、両手をアルコール消毒し、研究室に入った。

実験台の上には、マスクをした少女が縛りつけにされて寝かされていた。

京子は、注射器で少女の腕から血液を採取した。

「このような事をしてお詫びします。あなたは危険なウイルスの保菌者なので」

「分かってます……」少女は悲しげな声で答えた。

京子の心が痛んだ。

大澤は京子の耳元で囁いた。「今日の午前中に新ワクチンで実験よ」

「分かっています」

2人は研究室を出た。

迷彩服を着た男が待ち受けていた。

「大澤博士!なぜ感染者が外部に現れた!?」男は明らかに怒っていた。

大澤は子供を相手にするような態度を取っていた。「相沢陸将殿。落ち着いてください」

「落ち着いていられるか!もし大流行パンデミックが起きたら元も子もないぞ!」

「感染者が外部に現れた事実はありません」

「嘘をつくな!」

「今日のニュースをご覧になりましたか?現れたのは感染者ではなく、変質者です。感染者が出た証拠はありません」

「事実の隠蔽はお前らの特技だろ?」

「そんなに疑うなら、私達の研究所のセキュリティーを確認してください」

相沢陸将はしばらく大澤を睨んだ。「まあいい。今回は大目に見よう」そう言って大澤から離れていった。

大澤は京子に囁いた。「感染源は?」

「調査中です」

大澤は舌打ちをした。今回は誰も感染しなかったが、感染源は知っておかないと。


 ―血液提供所―

最近出来た、血液を売りつけることが出来る巨大な病院のような場所だ。

そこへ1人の男が入った。カードを取った。67番だ。男はベンチに座った。隣には、フードを被った男が座っていた。

「血液売ったことあるか?」男はフードの男に話しかけた。フードの男は首を横に振った。

「俺は何回もある。何回でもOK!」

名簿を持った女性が来た。「岡本大輝さん。来てください」

フードの男は立ち上がった。そして男に親指を立てた。

大輝は女性にどこかに連れて行かれていた。細い1本通路だ。

「1年以内にピアスやタトゥーを入れましたか?」

「いいや」大輝は咳きした。

「親切の方はいらっしゃいませんか?」

「いない」

「持病は?」

「ない」

「もしもの時の緊急連絡先は?」

「ないね」

「ご家族は?」

「いないと言っただろ?」

目的地に着いた。大輝は急に不安になった。「家族が居ないと血液は売れないのか?」

女性はパスワードを打ち込んだ。鉄製の自動扉が開いた。

「そうではありません。実はあなたの血液に異常が見られて」

「異常?」

部屋は真ん中に1つの鉄製の椅子があった。その椅子の近くに男が立っていた。

警備員が大輝の腕を掴んだ。

「何をするんだ!」

扉が閉まった。「お前は何者だ?」

大輝は椅子に座らせた。

女性は微笑みを見せた。「あなたの血液型は初めてです」

男性も笑みを見せた。「朗報と悪報がある」

男性はチューブを取った。チューブは吸引機に繋がっていた。

「朗報はあなたの未知の血液型は闇市場では高く売れる」

男性はチューブに針をつけた。

「悪報は、あなたは死ぬ」

大輝は泣き出した。3人は笑ってその姿を見た。

 だが、大輝は突然笑い出した。3人とも戸惑いを見せた。

大輝は女性を睨んだ。大輝の目は、白目の部分が黒く、黒目の部分が白かった。そして瞳孔は爬虫類のようだった。

大輝は女性の首を右手で絞めた。そして、首筋を噛み付いた。

男性は扉まで走り出した。警備員は拳銃式スタンガンで大輝を撃った。だが大輝は痺れている素振りを見せなかった。大輝は警備員の肩を掴み、投げ飛ばした。警備員は壁に当たった。壁のコンクリートにひびが入った。

大輝は男性に近づいた。男性は必死にパスワードを打ち、扉を開けた。

だが、大輝は男性の顎を右手で掴んだ。瞳が赤くなった。

「朗報と悪報がある」

大輝は、鮫のような鋭い牙を見せ付けた。

「朗報は今日の俺の飢えは凌げる。悪報は、お前は死ぬ」

大輝は監視カメラに気づいた。監視カメラに向いた。

「見ているか?お前らには反吐が出るぜ」

大輝は男性を見た。

そして、首筋を噛み付いた。

部屋中に男性の悲鳴が響いた。


 信二と真希は一緒にマクドナルドで昼食を食べていた。

「真希さん。女子なのにビックマックだなんて?」

「真希でいい。だって食べた気がしないもん。君だって男子なのにチーズバーガーだなんて」

「チーズバーガーはアメリカで人気なんです」

2人は冗談交じりの会話を楽しんだ。




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