黒澤真斗
黒澤真斗
運動神経:★★★★☆
学習能力:★★★★☆
オタク度:★★★★☆
戦闘能力:★★★★☆
黒澤は、病院の個人病棟の1つの部屋のベッドの下で身を潜めていた。
外には大勢の感染者と“バグもどき”が居る。2つの遭遇した黒澤は、しばらく建物――つまり病院で身を潜めていた。
黒澤はすすり泣いていた。恐怖もそうだが、あまりの孤独感に耐えられずに泣いてしまった。数日前に戻りたかった。あの、トラブルだらけだが、平和だった、幸せな日常に。
悪夢であって欲しかった。悪いたちの悪い夢であってほしかった。だが、どうしようもない胸の痛み――つまり心の痛みと、僅かな頭痛は現実であると証明していた。
孤独に耐えかね、黒澤は、ベッドから抜け、部屋から出る。廊下は暗かったが、ナース室には電気がついていた。その部屋には、ナース姿の感染者が突っ立っていた。
黒澤は、低い姿勢で、ナース室の正面を通り過ぎ、階段を下ったが、2階に差し掛かった頃、多くの車椅子が障害物となり、下には下がれなくなった。
仕方なく、2階の広間に出た。
廊下の途中はシャッターが閉まっており、シャッターの向こう側に行くには、診断室を通るしかなかった。
診断室には、多くのカーテンがあり、カーテンの向こう側から気配が感じた。
相手は大人の感染者だ。敵うはずが無い。
黒澤は、感染者気づかれぬよう、診断室を抜け、廊下を走りぬけ、階段を下った。
そこは地下室だ。廊下がUの字の形をしており、黒澤の居る南東の反対側、北東に行くには、ここを通るしかすべが無かった。唯一の出入り口は北東にあるからだ。
黒澤は廊下を慎重に、しかし早く通り過ぎた。
そして、階段を上がり、1階の待合室に出た。
黒澤は、1階の出入り口に向かった。そこはガラス製の自動ドアだが、電気は通っておらず、開かないし、強化ガラスのため、割れもしなかった。
黒澤は仕方なく、出入り口の正面にある放送室に入った。
そこは、あらゆる放送器具があり、一見すれば司令室を連想する。
その時、正面入り口を何かが叩いた。
見れば、そこには人が居た。
それはいつかであった狐狩りメンバーの1人、蛸田だった。
「蛸田さん!」
普通なら感動の再会であろうが、今回は悲劇の再会だった。
蛸田は、奇声を発しながら、金属バットでガラスを叩く。口から血を噴出し、赤い目には殺意が宿っていた。感染していた。
「そ、そんな……」
蛸田は、どこかに向かった。
すると、数秒後には、2階から窓ガラスが割れる音がした。
黒澤は急いで、女子トイレに向かっていた。振り返れば、中に侵入した蛸田が、黒澤に気づかず、放送室に入った。
これはチャンスだった。
黒澤は2階に駆け上がり、2階の部屋に入り、割れた窓から外に出た。
そこにはトラックがあり、足場になっていた。
黒澤は、走り出した。