石川紀子
石川紀子
運動神経:★★★☆☆
学習能力:★★★★☆ ※取材を優先するため
生存本能:★☆☆☆☆
オタク度:異常
情報収集能力:抜群
視力:両目0.3未満
紀子は、水が溜まっている道路のど真ん中で、目を覚ました。
「あれ、私、何してるの?」
手持ちのビデオカメラの無事を確認し、録画を開始する。
「私は今、道路の上で目を覚ましました。最後の記憶は自衛隊のヘリの中にいたことですが、その後の記憶はありません」
彼女が録画するのには理由がある。
彼女は、この東京の惨劇の事実を隠蔽させるつもりは無かった。無論、彼女が新聞記者に情報を売っても信憑性は低い。だが、ビデオカメラは嘘をつかない。この映像を<YouTube>かニコニコ動画などに投稿する気で居た。視聴者にメッセージを残さないと。
「ここで映像が途絶えたら、私の身に何かあったと思ってください」
しかし、1人だと何か寂しかった。あの、無能ながら頼れる真人、最強の生徒会長の真希、静かな実力者の真斗、正義の剣士の五右衛門と奈々子、謎の転校生信二と立花、オタク集団「狐狩り」メンバーに会いたいと強くながった。1人だとあまりに無力に感じられた。もしかしたら、もう地球上最後の人類かも知れないとまで考えた。
突然、落雷を爆発と勘違いした。
ここで考えるより、行動だ。
そう思い、当ても無く歩いた。
道路は悲惨な状況だった。ありとあらゆる車が乗り捨てられ、そこらじゅう血だらけだった。
すると、立ち止まる。
目の前に影が現れた。
始めは感染者だと思ったが、違った。
それはバグもどきだった。蜘蛛と蟹を組み合わせたような外見で、蟹と酷似した8本の脚を持ち、くちばしには乱杭歯のような無数の牙が無数に生え、無数の黒い目があった。
そのバグもどきは、ゴキブリを連想する素早さで紀子に向かって走った。紀子は、近くの車に置いたあった金属バットを取り出し、バグもどきを殴った。
鈍い金属音とともに、それは倒れたが、生きていた。紀子は何度も殴ったが、皮膚は外骨格なのか、とても硬かった。
バット程度では死なないと判断した紀子は、倒れている今がチャンスだと、走って逃げた。
紀子には、あれが何か検討はついていた。
きっと生物兵器だ。遺伝子操作で生まれた殺人兵器だ。きっと量産機だ。名前をつけよう。後で付きよう。
紀子は途中で何度も転んだが、とにかく遠くへ走った。