相沢茜
相沢茜
運動神経:★☆☆☆☆
学習能力:★★★☆☆
生存本能:★★★★★
オタク度:☆☆☆☆☆
茜は他の人々とともに陸上自衛隊の輸送用ヘリコプターに乗って上空を飛んでいた。茜にとって武装した自衛隊はあまりにも恐ろしげだった。
「こちら第1普通科小隊隊長の石倉1等陸佐です。最優先目標の保菌者とその関係者を確保、保菌者を乗せたヘリは研究所に向かいます、どうぞ」
『了解、では本隊は東京から撤退せよ』
「了解、終わり」
人生経験の浅い茜はとにかくこれから何されるかは分からなかったが、皆が暗い顔をしているため、とんでもないことがあるのは分かった。
その時だった。
突然ヘリが大きく揺れだした。
「ど、どうした!」
パイロットが答える。「何かにつかまれたようです!!」
「何かって、何だよ!」
「分かりません!巨大な鳥の様な生物です!!」
すると、ヘリは回りだした。
「不時着します!何かに捕まって!」
大きな衝突音がした。
茜は、大破したヘリの残骸の上で目覚めた。雨が降っていた。それは自転車をも流すような豪雨だった。雷さえなっていた。
茜は立ち上がる。既に足の感覚は戻っていた。
「皆、どこ?」
辺りを見渡しても、ヘリの残骸しかない。落雷の爆音で茜は飛び上がった。そして矢の如く近くのコンビニの中に飛び込んだ。
すると、外で不自然な動きをする集団を見かけた。
最初はお化けだと思った。茜は“感染者”という単語を知らなかった。
外に居る感染者達はコンビにを通り過ぎて、走り去った。
茜はコンビにを見渡した。
すると、1人の太った男が茜に背を向けて立っていた。茜は話しかけることにした。
「あの、すいません」
男は振り向く。
茜は人目で男がまともな人間でないと分かった。男は血管を浮き出し、血塗れの顔でもなお血を吐き散らしながら、赤い殺意に満ちた目で茜を睨み付けた。
感染者という単語を知らない茜はやはりお化けだと思った。
感染者は化け物じみた奇声を発しながら、茜に向かって走った。
茜は近くの棚の隙間を潜り抜け、逃げようと思ったが、感染者は棚に激突し、棚とともに倒れながらも、立ち上がって茜を追いかけようとした。
だが、茜の姿は無かった。茜はレジの裏に隠れていた。
(神様、神様)
感染者はしばらく見渡したが、やがてガラスドアを破って外に出た。だが、茜はまだ震えていた。今までと違い、誰も守る人は居ない。
茜はそっとレジから店内を見渡す。
誰も居ないので、茜は這いずるように移動し、外に出ようと思ったが、雨があまりにも激しいから、やめた。
それにしても、この胸騒ぎは何だろう?
それは目覚めたときからの疑問であった。
雷が落ちた。この時、茜は何か、とてつもない、恐ろしい、悲しいことが起きたことを感じた。一体何なのか、それは分からなかった。