“クソッタレな気分だよ”
信二達を乗せた警備車は交差点を曲がろうとした。
だが、目の前にある大きな屋敷ともいえる建物があった。
「燃料もまずいな、とりあえずあそこの車から貰うとするか」
直人はそう言って駐車場に車を止め、外に出て隣の車から燃料を抜き始めた。
ソフィーも車から降り、外の空気を吸った。
「都会の空気はまずい」
「まったくだな」
信二はそう言った。
まったく嫌な状況だよ。東京は陸自に隔離され、感染者の数も多い。更に変な生命体も多い。まったく映画やゲームの様な状況だ。
信二はそう思った。
真人と真希がやって来た。
「あ~あ、車の中だと窮屈だ」
「まったくだよね」
その時、建物内から声がした。
「助けて!」
小さな女の子の様な声だ。
直人が建物内を見ていた。
「俺、見ていきます」
信二はそう叫んだ。
直人が「危険だぞ!」と返した。
「平気です!拳銃があります」
「じゃあ気を付けろ!」
信二は建物内に入った。
中は暗かったが、窓から射し込む光のおかげで視界は確保できた。
信二は9mm拳銃を構えながら、声のした2階に上がった。
2階には沢山の部屋があった。
信二は部屋の1つ1つを確認しようとした。
その時だった。
全身に激痛が走った。
あまりに痛みに倒れこんだ。
右腕を見ると、血管や筋が浮き出ていた。指が本人の意識関係なく動いていた。
信二は慌ててポケットの抑制剤を取り出そうとした。
だが、慌てすぎて注射器が散乱した。視界がかすんできた。
信二は1本の抑制剤を取り、右腕に突き刺した。中にある毒々しい液体を注入した。
すると
激痛が無かったかのようにすうっと消えた。
信二は全身に汗を掻いていた。激痛のせいでまだ立ち上がれない。
「信二君、大丈夫だった?」
ソフィーが中に入ってきた。
「しん……信二君!!」
倒れている信二を見て、慌てて駆け寄った。
「どうしたの?!大丈夫!?」
信二はゆっくりと立った。
「あ、ああ。糖尿病なんだ。薬を打ったからもう平気だ」
汗を拭った。
「本当に大丈夫なの?」
「俺は無事だ」
立花と真人と真希がやって来た。
「少女は居たか?」
「まだ……見てないな」
信二達は奥の部屋に入った。
拳銃は腰に収めた。
が、すぐに後悔した。
『助けて!助けて!』
カセットレコーダーから少女の音声が流れていた。
同時に吉川と言う少年が回転式拳銃を構えて立っていた。
「腰の銃をよこせ」
吉川はむかつく声で言った。
その顔はニキビだらけで、とある死んだ独裁者の後継者を痩せさせたような顔をしている。
相変わらずムカつく奴だと信二は思った。
「ゆうことを聞け、でないとまずはそのイギリス人を撃つ」
「フランス|《’’’’》よ」
ソフィーはフランスを強調して訂正した。
「3数えるからさっさとよこせ」
「殺人者にでもなるつもりか?」
「どうせ皆死ぬんだ」
信二は吉川の目から本気の殺意を感じて、渋々拳銃を床に置いた。
「蹴れ」
信二は言われたとおり拳銃を吉川まで蹴った。
「よし、いいぞ」
突然真希が前に倒れこんだ。
信二は何があったか見た。
森田と言う少年がワイヤーで真希の首を後ろから絞めていた。
信二は助けようとしたが、誰かに殴られた。
真人とソフィーは両手を挙げながら窓側に立った。
信二は見た。
容姿が地味な少年がバットで信二を殴ったのだ。
森田は興奮した声で言った。
「俺を覚えてるか?坂本」
「覚え、てる…よ…」
絞められている喉からやっとのことで出した返事だ。
「俺はお前に喧嘩で負けた。おかげで仲間からは絶交され、皆からは馬鹿にされた」
より締め付ける力を強めた。
「殺してやりたかったよ!やっとチャンスが来た」
真希は必死に息を吸おうと口を開けていた。
吉川は演説を始めた。
「俺とそいつは地味な性格と容姿だった。
だから空気みたいな存在だった。無視され続けていた。
今それが終わる!お前達は地味な僕達に殺される!」
吉川は信二の拳銃を拾い上げ、構えた。
「この現状は僕達の為にあるようなものだ!僕を無視した野蛮人め!」
信二は立ち上がろうとしたが、再び頭部をバットで殴られた。
信二は言いたいことがあったが、脳震盪を起こしているせいで言えなかった。
真人が代わりに言った。
「それはお前達が直そうとしなかっただろ!お前達が自分の力で自分を変えようとしなかっただけだろうが!人のせいにするな!」
吉川は真人に銃を向けた。
「じゃ、変わろう。お前から死ね」
ソフィーが笑った。
「何がおかしい」
「何が可笑しいですって?あなた達がよ。
私はてっきり男はプライドの高い高貴な性別かと思ってた。けど、あなた達は自分を変えようとしない、堕落の道を歩んで来たただの下種野郎よ!」
今の台詞で吉川が銃の対象をソフィーに変えた。
「やっぱりお前からにしよう、フランス人」
信二は見た。
バットの他にもう1人包丁を持った地味な少年が居た。
「私を撃てばいいよ。拳銃を持てば、他者を制することが出来ると思ってるの?あなた達は銃が無ければ何も出来ない弱虫毛虫よ!ああ女々しい男。このおかま!!」
今ので吉川の堪忍袋が切れたらしい。
「お前は殺さない。俺達の欲求を解消してもらうぞ」
その時だった。
包丁を持った少年が突然倒れた。
「まったく、男らしくない連中だ」
木刀を持った奈々子が居た。
バットの少年は慌てて殴りかかろうとした。
だが、刀を持った五右衛門が少年の後頭部を殴り、気絶させた。
「油断は敗北を招くぞ」
真希も後頭部で森田の顔面を頭突きした。
森田のワイヤーにこもる力が緩んだ。
真希はすかさず、森田の右腕を掴み、人差し指を甲に向かって力を入れる。
ぼきっと折れた。
森田が叫ぶ。すぐに立ち上がり、森田の腹に右拳をめり込ませる。
森田はぐおおおおと倒れた。
だが問題は吉川だった。
吉川は拳銃を持っていた。
「動くな!」
全員動きを止める。
「森田、ドアを閉めろ」
「俺に、命令、するな」
森田はドアを閉めた。
中には信二、ソフィー、立花、真人、真希と吉川と森田になった。
「ガキが、調子に乗りやがって!」
吉川がソフィーに銃を向ける。
信二は引き金が引かれるタイミングを計算して、ソフィーの前に立った。
銃声と共に、信二の右肩にぽっかりと穴が開く。
「信二君!」
ソフィーが心配した声で叫んだ。
信二は倒れこんだ。
「くそったれ!」
吉川はもう1度撃とうとした。
信二は立ち上がろうとした。
吉川は立花に撃とうとした。
だが、信二がいつの間にか吉川の前に立っていた。
吉川が反応する前に、顔面に渾身の1発をぶちかました。
吉川は思わず銃を落とす。
信二は右手で吉川の首を絞め、軽々と持ち上げ、壁に叩きつけた。首は絞めたままだ。
「おい!この変態野郎!」
吉川は信二の両目を見て唖然とする。
両目が赤かった。
「このくずが!お前は女を撃ち殺そうとした!俺の大事な親友の女2人な!」
絞める力が上がる。
「俺の彼女を殺そうとした!俺の今亡き親友の彼女を殺そうとした!」
信二は腹を殴る。
こんな男はどんなに殴っても、怒りを納めることが出来ない。
「死ね!」
首をへし折ろうとした。
「信二君やめて!」
ソフィーが信二を後ろから抑えようとした。
信二ははっと我に返り、吉川を放した。
両目は正常に戻っている。
「ば…化け物!」
吉川の捨て台詞に信二は怒り、頭を殴った。
吉川は気を失った。
「信二君しっかりして!怒りを静めて!」
信二は深呼吸する。
「ああ…すまない、少し興奮気味だった」
「相手がどんなに酷い奴でも、生きた正常な人間を殺すのだけは駄目!人殺しはよくない!」
「ああ、そうだ……そうだな」
信二は2つの拳銃を拾った。
廊下の奈々子と五右衛門が入ってきた。
「かたはついた見たいだね」
「主らの勝利か」
全員ほっと一安心する。
猫田と須田もやって来た。
「さっさと行くぞ」
「くくく、再出発だ」
その時だった。
突然、床が裂けた。
いや、床が開いた。
部屋に居た全員が落ちた。
直人が階段を上がり、信二達の居た部屋を目指した。
だが、部屋の前にはフードの男――岡本大輝が居た。
レバーを引いて、何かした。
「お前、何をした!」
直人が89式小銃を構えて叫んだ。
「今回の主役達を落とした」
瞬時に理解した。
きっと床を開くレバーか何かだ。
直人は引き金に力を入れる。
「お前!子供達もどこへ!」
「試練の場だ」
岡本が振り向いた。
岡本の顔を見た直人は引き金を引いた。
89式小銃が火を噴き、弾丸が1発岡本の頭を撃ち抜いた。
普通なら即死か重傷だ。
だが平然と立っていた。
「お前は邪魔だ!」
岡本が走ってきた。
小銃を連発にし、連射した。
弾丸は岡本の体に炸裂したが、足止めにもならなかった。
岡本は両肩を掴み、投げ飛ばした。
直人は1階まで落ちたが、命は無事だった。
「あいつ、本当の化け物か!」
突然、窓が割れた音がした。
感染者が窓を割って入ってきた。
直人は感染者の頭を正確に撃ち抜いた。
すぐに外に出た。
大勢の感染者が走ってきた。直人はすぐに車に入った。
「あいつらは!」
蛇谷が聞いた。
「後で助けるから!」
直人はアクセルを踏み、発進させる。
「……君……信二君!」
信二は目を覚ます。
そこは、広いバスルームだった。工業用という感じだった。上のほうにシャワー栓があった。沢山の配管が天井から不気味に垂れ下がり、壁を走っている。壁には鏡、便座、バスタバがあった。何年も放置していたのか、カビや汚れがあった。
ソフィーが信二の体を揺すっていた。
「起きてるよ……」
「良かった、気分は?」
「クソッタレな気分だよ」
立ち上がる。
2人以外にも、真人と真希と立花と奈々子と五右衛門、猫田、須田、吉川、森田が気絶していた。
こんなに大勢居るのに、真っ先自分を起こしてくれたソフィーに信二は感謝の様な気持ちになった。
カップル成立か?保菌者カップル。片方は完全な保菌者、片方は抑制剤が必要な保菌者。
ある種の皮肉を感じた。
まったく、神様も冗談きついぜ。
信二は立ち上がる。
バスルームには鉄製の引き戸があった。
一応開くかは別として、出入り口が存在するのに安心感を覚えた。
うっうう~と言いながら真人も起き上がる。
信二は思わず駆け寄る。
「大丈夫か?」
「んん~……クソッタレな気分だよ」
ソフィーが扉を引いた。
「通路が2つあるよ」
2つか…面倒くさいな。大人数だから、2手に分かれられるが……
全員が目を覚まし始めた。
信二は首をならしながら、9mm拳銃を腰に収め、回転式拳銃は握った。
吉川も目を覚ました。
「おい!クズ野郎!」
吉川の口に銃口を突っ込む。
「立ち上がれ!」
吉川は立ち上がった。
「来い!」
太いパイプに鎖が伸びており、先には足枷があった。
「3つの選択肢をやる!拳銃で脳天をぶち抜かれるか!足枷を嵌めるか!黙って俺達の言うことを聞くか!」
「い、言うことを聞く…聞くから…」
「お前は!」
銃口を森田に向ける。
「俺は命令を聞くたちじゃね」
「じゃあぶち抜くか?足枷か?」
「黙って着いていくぜ」
信二はあっそとばかりに拳銃を下ろす。
「相沢」
真人がやって来た。
「通路はどっちを通る?」
「多数決だ」
全員が完全に目を覚ました。
「話は大体聞いた」
猫田は首をならしながら立ち上がった。
「俺の意見としてはな、ここは二手に分かれるんだ」
「駄目だ、ここは未知の領域だ。迂闊に行動はできない」
「だからこそだ。二手に分かれたほうがここの地形の理解も早まる」
「だけど――」
「多数決で決めよう」
猫田が言った。
「二手に分かれる奴に賛成の人は?」
全員が手を上げた。
「決まりだな」
そう言ったとき、突然吉川が信二の回転式拳銃を奪った。
しまったと信二は内心叫んだ。自分の迂闊さを恨んだ。
吉川は拳銃を構えた。
「へへ、形勢逆転だ」
「「くたばれ」」
真人と猫田がそう言った。
「いくらでも言え!」
吉川は外に出た。
引き戸を閉めた。
真人がまさかとばかりに引き戸を引いたが、開かなかった。
「くそっ!鍵を掛けやがった!くそっ!くそっ!こんちくしょうォォォ!」
扉を叩きまくった。
五右衛門が冷静に言った。
「まあ待て、怒り出しても何も始まらん。ここは1つ冷静に考え合おう」
真人は怒りを納めた。
「どうやって開ける?」
「てこの原理だ」
吉川は走り続けた。
興奮と怒りを感じている。
あのフランス人め!俺をおかまだと!?今に見てろ!きっと後悔させてやろう!
そう思いながら、鉄製の扉が見えた。
俺は地味だからいじめられた!それだけだ!今日で地味な存在ではなくなる。俺は救世主だ!
扉を開けた。
そこには、殺風景な部屋が広まっていた。
天井に金網が張ってあり、部屋の中心に棺桶のような箱があった。
部屋の奥にまた鉄製の扉があった。
吉川は扉を開こうと、押してみたがびくともしなかった。
そこへ人の気配が感じられた。
吉川は振り返る。
フードを被った男――岡本が立っていた。
「動くな!」
吉川は拳銃を構えた。
岡本はゆっくりと近寄る。
箱を開けた。
「手紙がある」
「読め」
「“やあ、箱に入れ。いいことがある”」
吉川は知っていた。
いいことがあると言う言葉は大体嘘。本当は悪いことばかりだ。
「箱に入れ」
「箱に?」
吉川は銃を構えながら箱の中を遠くで見た。
中はガラスの破片ばかりだ。
吉川は意味が分かった。
この箱に誰か1人を入れて、閉じ込めればいい。いいことってのはきっと扉が開くんだ。
そう思った吉川は言った。「箱に入れ」
「よせよせ、冷静に話し合おう」
「いいから入れ!」
そう言って岡本を蹴った。
岡本は箱に入れられてしまった。
すかさず吉川は箱の蓋を閉めた。
ロックされる音がした。
ご丁寧にも、箱の蓋はガラスで出来ていて、中の様子が見える。
吉川は箱を押した。
箱が倒れ、床にあった穴にすっぽりと嵌った。隙間無く、丁度いい大きさの穴だ。
ほらな、悪いことだ。
同時に、入り口の扉が閉める。
吉川は慌てて扉を開けようと押したが、びくともしない。
すぐに箱に寄った。
箱の中に居る岡本がリモコンのようなものを持っていた。
あれで閉めたのか?
「リモコンのボタンを押せ!」
岡本は首を振る。
銃を構えた。
「いいから押せ!」
岡本は渋々押した。
これで扉が開く――そう思った。
だが違っていた。
部屋の両側にある壁が動き出した。
部屋の中心に向かって、ゆっくりと進む。
この部屋には障害物が無い――このままでは――壁に潰される。
慌てた吉川は、入り口の扉を押したが、びくともしない。
はっと吉川は箱を見る。
箱は穴に嵌っている。あそこは安全空間だきっと。
そう思って拳銃を構えながら言った。
「箱を開けろ!」
だが岡本は首をフル。
ふざけるな!
吉川は拳銃を撃つ。何発も撃った。
だが、箱のガラスは傷1つ無かった。強化ガラスだった。
吉川は箱を蹴った。
「箱を開けてくれ!」
岡本は首を振る。
仕方なく吉川は、右側の壁により、押し返そうと押した。
だが、押されているのは吉川だった。足が床をすべり、足止めにもならない。
押しても無駄だと悟り、再び入り口を引っ張ったが、びくともしない。
吉川は箱の上に立ち、土下座した。
「お願いします!開けてください!」
だが岡本はガラスに息を吹きかけ、文字を書いた。
“自業自得”
「準備はいいか?」
全員が扉の隙間に鉄板を入れた。
「せーの!」
全員が押した。
扉ははずれ、通行可能になった。
「よし!」
全員が外に出た。
信二が言った。
「俺、安藤、真希さん、ソフィー、立花は右側、佐々木さん、五右衛門君、猫田さん、須田さん、森田は左側を行きましょう」
全員が頷いた。
「じゃ、健闘を祈ります」
吉川は壁を押したが、壁同士がじょじょに迫る。
もはや棺桶二個分の広さしか残っていなかった。
吉川は拳銃を口に突っ込んだ。
潰されるくらいなら!
そう思いながら引き金を引いた。
カチッ!
弾切れだった。
拳銃を頬リ投げた。
「お願いです!箱を開けてください!」
吉川は願うように言ったが、岡本はもはや聞いたいなかった。
吉川は壁に背中で、反対側の壁を右足で押したが、やはり無駄だった。
壁はもう棺桶1個半分ほどの距離まで迫っていた。
吉川は泣きじゃくった。
「誰か助けてくれ!お願いだ!頼むよ!」
天井を見つめた。
はっとした。
天井は金網だ。金網を壊せば、何とかなる!
吉川は迫り来る壁の狭さを利用して、よじ登った。
金網を両手で握って、両足で蹴った。
だが突然電流が流れた。
吉川は落ちてしまったが、諦めずに再びよじ登った。
壁はお互いを接し会おうと、迫っていた。
左手で金網を掴み、右拳で殴った。
だが、やはりびくともしない。
部屋はもう、棺桶1個分の広さも無い。
吉川は諦めなかった。
自分の右腕と右脚をつかえ棒にしようとした。
だが、壁の圧力は吉川の想像以上だった。
骨が軋んだ。
「誰かああああああああ!たすけてえええええええええ!!!!!!!!!!」
吉川は助けを求めて叫んだ。
だが、その声は岡本以外誰にも届いていない。
「俺が悪かった!もうやらない!反省する!!頼む!俺が悪かった!助けてくれ!神様!」
吉川は泣きじゃくった。大粒の涙と鼻水、涎が垂れた。
こんな死に方をすくらいだったら、一生地味でよかった……
そう悟っても遅かった。
「ママアアア!パパ!神様ああ!仏様ッッ!!天使様ッッ!!!」
岡本は不敵な笑みを見せる。
「たすけてえええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
右腕が壁の圧力に耐え切れなくなり、骨が折れ、皮膚を突き破って骨が飛び出した。
吉川は動物の様な悲鳴を上げた。
右脚も圧力に耐えられず、骨が飛び出した。
「ぎゃああああああああああああ!」
右腕と右脚から新鮮な血が流れ出る。
吉川は壁に挟まった。
だが、壁は容赦なく吉川を潰そうとする。
段々と吉川が潰れていく。
悲鳴が大きくなっていく。
肋骨が飛び出した。
吉川の悲鳴も小さくなっていく。
目が飛び出しそうになり、鼻と口から血が吹き出た。
吉川は、自分の死をゆっくりと悟った。
あちこちの皮膚が引き裂かれ、内臓が飛び出た。
頭蓋骨が砕け、目が飛び出した。
そして、壁と壁はぴったりとくっついた。
まるで、何も挟んでいないように隙間無く接していた。
今年も終わり新年も近いですね、その前にクリスマスだ。
来年こそいい年であることを願います。
今年は色々ありましたからね。
世界各国の独裁政権が崩壊したり、天皇陛下がマイコプラズマ肺炎になったりと。
来年はいい年であることを願います。
今年の後悔していることと言えば、吉川の殺し方が残酷すぎましたね。
苦情があれば、もっと鮮やかな死に方に変えましょう。
メリークリスマス
いいお年を