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感染者の沈黙  作者: 原案・文章:岡田健八郎 キャラクターアイディア:岡田健八郎の兄 
感染
40/84

B班と処刑人の対決。勝つのは・・・

B班メンバー

聖夜

武田

トリエン

雑賀

鳥山

綾瀬

小島


『謎の感染者』

処刑人

頭巾を被った巨漢。ギロチンで作った斧を武器にする。


謎の怪人

信二たちと遭遇した怪人。鉄製の兜を被り、大鉈を武器として扱う。


 聖夜たちは1軒の小さな店に隠れていた。理由は簡単だ。外は感染者だらけだ。

「知ってるか?」聖夜は外の様子を見ながら言った。

「何がだ?」武田は店で見つけた煙草を口に銜えた。

「煙草は健康に悪いぜ」

「知ってるよ。でも死ぬ前に吸ってみたい」

「今はやめろ。煙で感染者に気づかれる」

武田は舌打ちしながら煙草をポケットにしまった。幸いなことにこの店は、入り口は木製にドアで、窓には鉄格子がついていた。しかもここは飲食店だ。しばらくはここで隠れてもいいだろう。聖夜はそう思った。

「食事はどう?」

綾瀬は2人のところに寄った。2人は入り口を見張っていた。綾瀬の両手には皿があり、皿には焼きたてソーセージや、チーズや、手製ピクルスなどが乗っていた。メニューは悲しいが、見張りをする2人はいざって時に行動が出来ないといけないので、むしろ丁度よかった。

「「どうも」」

2人は受け取り、食べ始めた。

「うまいな」

「ソーセージがいい具合に焼けている」

この店の店主はどこに行ったのだろうか?聖夜は疑問に思っていた。2階建てのこの店の2階はいわゆる、家みたいなものだった。必要最低限の家具はそろっていた。だが店主はいなかった。恐らく逃げたのだろう。

「なあ、聖夜。家族は居るか?」

聖夜は食うことに夢中で自分が話しかけているのに気がつかなかった。2度目の呼びかけでようやく気づいた。

「家族?居るよ勿論。両親に兄貴」

「お前の家族大丈夫か?」

「大丈夫だろ」

「妙に楽観的だな」

「だって東京に居ないんだ」

武田は吹きそうになった。

「東京に居ない?」

「俺は家族と離れ、アパートで1人で暮らしている。生活費は家族が送ってくれるんだ」

武田はうなずいた。

「お前は?松江」

「大佐って呼べ」

「大佐」

「居ないな。孤児院で生活している」

聖夜は失礼なことを聞いた気持ちになった。「何だ、その、すまない」

「いいさ、両親はとっくに他界してるんだ」

むしろ寂しく聞こえる。

 独特なガスマスクの呼吸音が聞こえる。

「武田松江。お前の心が読める」

雑賀が大鎌を持ちながらやって来た。

「嘘コケ、サイコ」

「むっ?信じてないようだな。ならば、学校1のサイコキネシスとテレパシーを見せてやる」雑賀は笑い、天井を向いた。

「馬鹿馬鹿しい」

「読める…読めるぞ…お前の両親は交通事故で亡くなったな。お前は孤児院で生活しているな。お前は軍人に憧れているな。お前は大佐になりたいと思っているな。お前は――――」

武田の過去を読み始めた。どれも正解だった。

「お前は……」

「もういい!」武田は怒鳴った。

「もういい……」

雑賀は武田に向いた。

「悲しい過去を持っているな。お前は両親に怒りを感じているな。いいぞ。怒りはお前の動力源だ。怒りがお前を強くしている。怒りこそがお前のあるべき姿だ」

聖夜には言っている意味が分からない。

「武田松江…お前は強い。だが自制心が弱いな。大佐と呼ばせるのはキャラ作りの為だろ?今にも爆発しそうな怒りを痛みで抑えているのだろう?」

武田は太腿のべルト絞めた。ベルトには鋭い小さな棘が並んでおり、締め付けることで腿に刺さる。

「知っているか?怒りは絶望に勝る。お前は……」

武田は雑賀の胸倉を掴んだ。

「調子に乗るなよ。お前の読心術なんか、ほとんど間違えている。いい加減にガスマスクを外して、現実見ろ。現実はお前の読心術ごときで東京の惨劇なんか救えないんだよ。蛸!」

この時の武田は、本物の軍人に見えた。少なくても聖夜には。

鳥山が2人を離した。

「落ち着け武田っていう奴。それに雑賀、勝手に他人の心を読むな」

雑賀はガスマスクを直した。

「私がいつ読心術をするかは私の――――」

雑賀が突然黙り込んだ。

「どうした、雑賀?」

「今、大きな気配が感じる。すぐ近くに」

その時、店の入り口の扉が壊れた。

 処刑人が入り込んだ。巨大な斧を引きずりながら。

「どうしたんですか?」綾瀬が2階から降りてきた。処刑人を見て驚いた。

「裏口から逃げろ!!」聖夜は叫んだ。小島が来た。

「裏口は駄目ですわ!感染者だらけです!」

聖夜は舌打ちした。椅子を持ち上げ、処刑人に投げつけた。椅子は処刑人の体にあたり、粉々に壊れた。処刑人は斧を振り回した。全員しゃがみこんで避けた。

「2階にあげって窓から他の家の屋根に飛べ!」聖夜は叫んだ。全員、2階に行った。

だが武田は処刑人の後ろに回り込み、包丁で背中を刺した。処刑人は大して怯みもせず、武田を掴み上げ、厨房に投げ込んだ。

「武田!」聖夜は厨房の扉を開け、武田に駆け寄った。

「俺のことはいい!早く2階へ!」

「だが…」

「早く!俺に考えがある!」

聖夜は厨房の梯子で2階に上がった。

「必ずあがってこいよ」

「ああ」

武田は立ち上がり、ガス栓を全開した。が、処刑人が厨房に入り込み、武田を右手で殴った。武田は頭を思いっきりうった。

「いってーな!今畜生!」

武田はふらふらしながら、厨房の隅に言った。

処刑人はゆっくりと近づいた。

武田は座り込み、煙草を銜えた。そして、マッチで火をつけた。

一服吸うと、咳き込んだ。

「なんだこれ?」

だが、2度目は急に体がのびのびとした。

「煙草っていいな」

処刑人はすぐ近くにいた。

「よお、一緒に天国行きだ。父さんと母さんに会えるぞ。母さんは美人だぞ」

処刑人は斧を構えた。だが、部屋に充満したガスが、煙草の火で爆発した。

武田と処刑人は炎に包まれた。


 聖夜は店の隣の家の屋根に飛び移った。その時1階が大爆発を起こした。

「武田…武田!!」

1階は激しく燃えていた。



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