取材計画
【追加登場団体】
狐狩り
東京都渋谷で拡大中の不良集団。番長と6人の幹部は信二達の通う中学校に居る。
【追加登場人物】
液田井蛇尾
狐狩りの番長。自分を総督や総統、あるいは首謀者と呼ばせる。格闘技の達人。一人称は俺様、あるいは我輩。
雑賀輝夫
狐狩り幹部。読唇術の達人で奇想天外なトリックを見せる。催眠術も得意。一人称は俺。ガスマスクをしている。
須田恵子
天才和弓手。和弓だけでなく、長弓、短弓、クロスボウをも得意とする。一人称はあたし。
蛸田宗助
情報収集の達人。液田井の右腕。一人称は私。
鳥山恭介
巨漢。鳥を飼いならしている。丸太を軽々と振り回す力がある。一人称は俺。
猫野良太
自称射撃と拷問の天才。実は本物の回転拳銃を持っている。液田井の左腕。一人称は私。季節問わず常にトレンチコートを着ている。
大山萌
狐狩り新人幹部の女子。詐欺と掏りの達人。一人称は私。
今日も晴れている。俺――すなわち東京都渋谷区第9新中学校に通う安藤真人は非常に悩んでいる。昨日転入してきた少年相沢信二と、どうやって親友になるか・・・非常に難題だ。なぜ親友になりたいか?理由は簡単だ。クラスメートの広報委員会の石川紀子に頼まれたからだ。もし断れば、俺の弱み――すなわち秘密が大暴露される。それだけは避けなくては!
「おはよう」
俺はいつも通り挨拶しながら教室へ入った。獲物(信二)はまだ登校していなかった。俺に気づいた友人達は俺に挨拶した。
「信二君、ちょっと来て」紀子は俺の腕を引っ張りながら教室を出て、廊下へ連れて行った。
「で、何か方法を考えた?」
「いや、まだ親友になる方法は考えていない」
「それじゃない」
へ?
「親友作戦は時間がかなり掛かる。他に効率のいい作戦考えた?」
「もし他の作戦考えたら親友作戦は凍結か?」
「いいえ、継続よ。あなたは親友作戦で情報収集して。私は他の作戦で情報収集する」
そういうことか。1つの作戦で時間をかけるより、2つの作戦で時間をかけた方が効率が良い。
「了解」
「あなたはなるべく他の作戦を考えて。私も考える。じゃ、解散」
他の作戦か・・・またまた難題だ。ただでさえ親友作戦で頭が痛くなりそうなのに、その上他の作戦を考えろ?俺の頭が火山になるよ。
「う~~ん・・・」俺はついついうなり声を出してしまった。
「どうしたニャ?」真希が話しかけてきた。
「いや、なんでもない」
生徒会長の坂本真希は常に上機嫌。語尾にニャーが付けばさらに上機嫌。そして語尾にニャーと♪が付けば最高上機嫌だ。
「今日は上上機嫌ですね」
「ニャー♪」
おっと、生徒会長を相手にしないで作戦を考えなくちゃ。
チャイムが鳴る。
「1時間目が始まるぞ♪」
「分かってる」
1時間目は社会だったな。しまった!今日から歴史だった!
しかし安藤はひらめいた。
待てよ?ここで俺の前に座ってる信二から教科書を見せてもらえば、それがきっかけで友情が芽生えるかも!ふふふ・・・我ながら良い案だ。
「......どうしたの?......ニヤニヤして......?」真斗が話しかけた。
しまった!無意識で笑っちまった。
「い、いや~教科書を忘れて、やけくそになってるのさ」
「そうには...見えない......」
「そうか」
「教科書...見せてあげる...」へ?
真斗は机を安藤に寄せた。
「い、いいよ!女子に見せられるの恥ずいし」
「遠慮しないで......」
計算外だ!ニヤニヤしなければ良かった!
そうこうしているうちに1時間目が終わった。俺の計画も終わった・・・
紀子は真人の机に来た。「で、何か思いついた?」
「いや、まだだ」
「実は提案があるんだけど」
提案?一体何を思いついたんだ?「言ってみろ」
「<狐狩り>に力を借りない?」
「狐狩りだって!?」
狐狩りは今渋谷でPTAや警察から問題視されている不良集団だ。暴行はもちろん、掏り、かつ上げ、
万引き、麻薬売買、盗品など、もはやヤクザレベルまでの犯罪に手を染めている。この集団は、他の不良集団を吸収して拡大している。この学校にも幹部6人と狐狩りの総統が通ってきている。
「駄目だ!危険すぎる!」
「でも、向こうには情報収集のプロが居るでしょう?」
「蛸田だな?でも向こうは犯罪組織だぞ!中学生ヤクザだぞ!マフィアだぞ!軍隊だぞ!」
軍隊は大げさだと思われるが、狐狩りの入団者数は相当なものだと聞く。
「でも金さえ払えば何とかしてくれるかも?」
「傭兵じゃないんだぞ!」
紀子はため息ついた。「OK。じゃあ、あなたが明日までに何か作戦を考えてくれればやめる!」
「おお!考えるとも!」
この日1日、何も思いつかなかった。