急速
どうも、作者です。
旅行に行っていたため、更新が遅れました。
本当にすいません。
〔登場発狂者〕
チェーンソー男|(麻袋男)
麻袋を被ってチェーンソーを振り回す男。
巨漢
平均男性よりも大柄な男。凄まじい筋肉を誇り、プロレスラーのような男。
不愉快なチェーンソーを回転させながら麻袋を被った男が階段を駆け上がった。
真希は廊下の奥の扉に入った。そこは物置なのか、沢山の物がホコリだらけで置かれたいた。
部屋は狭く、人一人がやっと通れるスペースがあった。スペースを通ってみると。窓があった。
チェーンソー男がチェーンソーで扉を壊し、中に侵入した。真希はすかさず、近くのタンスの中に隠れた。男が部屋を見渡した。
「何処だ?出て来い!返せ!殺してやる!返せエ!」
真希はさっきから思っていた。返せ?まるで意味が分からない。初対面の男に何を返せばいいのか…
チェーンソー男は真希のタンスの前に立った。真希はタンスの扉と扉の間から覗いていた。
チェーンソー男が近くの布切れに被った物を見た。それは人型だった。
「見つけたぞ!」
男は布切れを取った。そこにはマネキンが立っていた。男は苛立ちの声を発し、チェーンソーでマネキンの首を切った。
「糞ったれが!あの雌豚が!どこ行った!」
雌豚と言われて平気な女性は中々居ない。真希はむっと来たが、今ここで出たら間違いなく殺される。
「待てよ?このタンスはどうだ?」
男はタンスに近づいた。
まずいと真希は思った。何かないかなとタンスの中を探していると、上に物を掛けるための横棒があった。真希は棒を両手で握った。
男がタンスを空けた瞬間、真希は棒を握った両腕に力を入れ、自身の体を持ち上げ、両足で男の顔を蹴った。男は倒れこんだ。チェーンソーのエンジンは止まっていた。真希は男に乗っかり、顔を右手で殴った。男は悲鳴を上げた。
「河豚雄!助けろ!」
男が叫んだ数秒後、巨漢の男がやって来た。
「河豚雄!この雌豚を殺せ!」
巨漢は突進してきた。まずいと思ったときには遅く、真希は巨漢の突進をまともに食らった。
真希の体は軽々と吹き飛ばされ、窓を割って外に出された。
幸い、落下地点は柔らかい地面だった。またあの庭だった。柔らかい地面に落ちたが、衝撃は防ぎきれなかった。
「いてててっ!」
落下の衝撃がまだ体に響いていた。弱弱しく立ち上がると、あの巨漢が飛び降りてきた。
巨漢は見事に着地し、変態のような息遣いをしながら、また突進してきた。
だが、今回は軽々と避けられた。
「同じ手は効かないよ!」
巨漢はスピード落とすことなく、コンクリート製の塀にぶつかった。信じられないことに塀にひびが入った。
「嘘っ!」
巨漢は振り返り、また突進してきた。真希は縁側から家に入った。居間のようだ。
すると、階段からチェーンソー男がやって来た。
「この雌豚め!返せ!」
「何を返せばいいのよ!」
いい加減にしろ間抜けと言おうとしたが、殺されるからやめた。だが、どの道このままでは殺されてしまう。
「落ち着いてください、いいですか?あなたは何を返してほしいですか?」
なるべく優しく丁寧に言った。男はチェーンソーを下ろした。
「返してくれるのか?」
「まず何を返してほしいのか、教えてください」
男はしばらく黙り込んだ。
「俺の娘だ。娘を返せ」
「娘さんの名前は?」
「あゆみ、川原あゆみだ」
絶句した。川原は死んだと言ってしまったら、たぶん天国行きになる。
「あいつの妹は死んだ。妻も死んだ。母さんも死んだ。俺には、親友の河豚雄とあいつしか居ない」
ますます娘の死を伝えられなくなってしまった。
どうしよう…死んだって言えばこっちが殺される。でも、このまま黙っててもやばい。知らないと言ってもやばい。どうしよう…一緒に探そうって言おうかな?
「えっと、何とおっしゃればいいのでしょうか…その…」
「娘は死んだのか!」
「い、いえ!まだそんなこと…」
「おのれ!娘を殺しやがって!」
男はチェーンソーに再びエンジンを掛けた。あの、チェーンソー独特の回転音が響いた。
「河豚雄!殺すぞ!」
巨漢が縁側の窓を割って入ってきた。そう言えば、あの巨漢は一言も言葉を発してない。もしかして知能障害者かな?そう考えているうちに、2人が真希に向かって走った。
真希は右側に飛んだ。
2人は正面衝突した。男のチェーンソーが巨漢の腹を引き裂いた。巨漢の切り口から腸が飛び出し、大量の出血をした。
「河豚雄!おのれ雌豚め!」
「逆切れとはこういう男のことを言う」真希はそう呟いた。
男はチェーンソーを振りかざした。真希は避け、男の急所に出せるだけの力を振り絞って右足で蹴りつけた。男は絶叫を上げた。あそこを抑えながら、男は倒れこんだ。
真希は男のベルトから鍵を奪った。
「じゃ、貰っていくね」
そう吐き捨てて信二達の閉じ込められている2階の部屋に向かった。
2階の鍵を開けた。中に入る全員が出てきた。
「大丈夫か真希?」真人は真っ先に聞いた。
「まあ、大丈夫だね」
「糞!狐狩り幹部がこんな失態を!」須田は悔しそうに言った。
「くくく…お前生きて出てきたら、幹部に介入させてやろう」猫野は髭を整えながら言った。
「結構です」真希はきっぱり断った。
その時、チェーンソー音が聞こえた。
「糞!殺してなかったのか?」猫野は拳銃を構えた。だが、何かが切り裂かれる音がした。
すると、それは現れた。
人の皮で出来たエプロンらしいものを腰に纏っており、肌は白く、血管は吹き上がっている。頭には、巨大な鉄製兜を被っている。筋肉は異常くらい発達し、ジャイアント馬場を連想する身長を誇っていた。大勢のゴキブリを率いて、右手に大鉈を引きずってやって来た。先の処刑人とは別の異様さを誇っていた。体の筋肉は、この人型の怪物の怪力と不死性を強調していた。
怪物は信二達を見つけたか否か、階段を上がり始めた。
「皆逃げろ!」
信二が叫ぶと同時に全員奥の物置室に向かった。
だが行き止まりだった。
「どうするんだ?」真人は怒鳴った。
「飛び降りるんだ!」
「本気か!」
「私が大丈夫だったから、きっと大丈夫だよ」
真希はさり気なく言った。信二は茜をしっかりと背負って飛び降りた。
「皆!大丈夫だ!」
「クレイジーだぜ」真人はそう言いながら飛び降りた。
須田が弓を構えた。真希が飛び降りた。同時にあの怪人がやって来た。
須田は矢を放った。矢は怪人の右肩に当たった。だが、発達した筋肉のせいか、そんなに貫通しなかった。真斗が飛び降りた。
「猫野!先に行け!」
「レディーファーストさ」猫野は拳銃を撃った。弾丸は怪人の右胸に炸裂したが、大して効いていなかった。
「2人でいこう」猫野は強引に須田を引っ張った。
「お、おい…!」猫野は須田と共に飛び降りた。
怪人は雄たけびを上げた。