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感染者の沈黙  作者: 原案・文章:岡田健八郎 キャラクターアイディア:岡田健八郎の兄 
感染
33/84

処刑人

 信二達は第1校長室に向かって走っていた。

だが、茜を連れ忘れているのを信二は気づいた。

「皆さんはさきに校長室へ!」

信二はそう言って、保健室に向かった。

「あ、どこに行くの?」真希は信二を追った。

保健室に信二は茜を抱き抱えた。

「どうしたの?お兄ちゃん」

「暴漢達が出てきたのさ」

亜矢子はすでに母親に連れて行かれていた。

「信二君、早く行こうよ」真希が入ってきた。

「ええ、そうしましょう」信二は茜を抱えながら走った。

が、保健室の出口に男子生徒感染者が現れた。

真希は感染者の頭を両手で掴み、感染者の頭を下げると同時に膝を勢いよく感染者の顔にぶつけた。

感染者は倒れこんだ。

「さ、行こう」

信二達は校長室に向かった。北校舎の1階は既に感染者だらけだ。信二は無我夢中で真希について行った。感染者と出会うたびに、股を蹴って走った。

「もうすぐ校長室よ!」

信二はその言葉に安心感を感じた。

感染者が信二を追っていた。掴まれそうになった。

「まずい!」

その時、感染者が突然倒れた。よく見ると、右目に矢が刺さっていた。

「早く入りな!」須田が和弓を構えながら言った。

信二達は校長室に入った。同時に扉が閉まった。

 

 好調室内には、ある程度の生徒が居た。

信二は茜を下ろし、真人に話しかけた。

「ここに行き着いた人は?」

「えき…じゃなくて総統、雑賀、須田、蛸田、鳥山、猫田、俺、聖夜、トリエン、真斗、綾瀬、石川、小島、佐々木、五右衛門、武田、立花、吉川」

吉川?聞かない名前だな。

「最後の誰だ?」

「部屋の隅っこに座ってる男だ。クラスメートだが、空気みたいな奴だ」

信二は部屋の隅の男を見た。ニキビだらけの顔で、出っ歯だ。なるほど、確かにぱっと見た感じだと友達になりたくないほどの容姿だ。存在感も薄すぎるな。

「蛇谷先生と織邨さんは?」

「見かけてない。一番頼りになるけどな…どこだろうか?」

俺は拳銃を隠し持っている。信二はそう言い聞かせた。拳銃は万が一のときに使おう。

「武器は?」

「メリケンサック、弓、大鎌、斧、丸太、鎌、ナタ、金属バッド、彫刻刀、回転式拳銃リボルバー

「リボルバー?」

「あそこのカウボーイっぽい男が持ってる」

確かに中学生の癖に長い顎髭を生やしたコートを着た男が回転式拳銃を持ってる。最近の不良は怖いな。

「まあ、ここに居れば安全だな」

「事情が変わった」

部屋の中の人が信二を見た。

「どういう意味?」

「でっかいギロチン斧を持った巨漢が感染者を引き連れてきた。鉄製の玄関を壊すほどの攻撃力を誇ってる」

「あの頭巾野朗か」

「あのデブ頭巾野朗だ」

何人かはあの巨漢を見た。圧倒的な迫力を誇っていた存在だ。

「あいつは何者なんだ?」真人は信二に聞いた。

「分からない。だが、感染者であることは確かだ。名前を付けよう」

「名前なんか居るのかい?」

「いちいち巨漢って呼ぶのはなんかな」

校長席に座ってる液…ではなく総統が悪役っぽい声で言った。

「処刑人」

「くくく…さすがはボス、発想が早い」

「はっはっは、まったくだ」

「ボス、由来は?」

「ギロチンと言えば、昔の処刑で使われてた。それだけだ」

その時、感染者たちが校長室の扉を叩いた。

「ここも長くなさそうだな」

武田はそう言って、校長室の窓を開けた。

「どうする気だ?大佐」

武田はロープを落とした。

「ロープで脱出する」

信二、真人、立花はまたかとばかりに首を振った。

「俺が先だ。アディオス」

武田はロープで降りた。

総督を除く狐狩り幹部メンバーも全員降りた。

 ほとんどの人物が降り、校長室はもう、信二、茜、総督しか残っていない。

総督は、校長席を扉の前に移動させた。

「お前達は先に行け」

信二は、茜を連れて降りようとした。

その時、何かが引きずる音が聞こえた。

「この音は?」

「きっと処刑人だ!」

総督は扉から離れた。

扉が木っ端微塵に破壊された。

処刑人が扉を破壊したのだった。

感染者が次々と室内に入ってきた。総督はメリケンサックで次々と感染者を殴りつけた。

信二は茜を背負った。

「しっかりつかまってろ!」

だが、感染者の1人が信二に抱きかかった。信二は茜を落とし、窓から落下した。

「お兄ちゃん!」

総督は茜を抱えた。

「掴まれ、お嬢さん」

総督はロープで滑り落ちた。


 信二は無事だった。高さが2階だったのと、落下先が柔らかい土だったのが幸いだった。

「転校生、自分の妹はしっかり管理しろよ」

総督は茜を信二に渡した。

「あ、ありがとうございます」

その時、感染者たちが1階の窓から出た。

「礼はいらん!逃げるぞ!」

信二と総督は走り出した。先に下りた連中がどこに居るかは知らなかった。

校舎を曲がった先に、信二が誰かとぶつかった。

「あ、信二君」真希だった。

「皆はどこに?」

「体育館。窓に鉄格子があるから安全だって」

「今はな」

信二達は体育館に向かった。校舎内からまだ悲鳴が聞こえる。

体育館の正面扉が開いていた。信二達は飛び込んだ。

館内の真人と聖夜が即座に扉を閉めた。

信二は体育館の扉と窓を見た。

扉は鉄製、窓は鉄格子付き…ここは安全そうだな。処刑人が居なければ…


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