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感染者の沈黙  作者: 原案・文章:岡田健八郎 キャラクターアイディア:岡田健八郎の兄 
感染
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病院からの脱出

【病院内に居た人物】

相沢信二

安藤真人

立花裕香

相沢茜

鬼塚亜矢子

妨害者


【死亡者】

妨害者

死因:転落死


【重傷者】

鬼塚亜矢子

信二は、屋上に駆け上がっていた。廊下の窓から誰かが屋上から落下するのを見た。

「頼むから、茜じゃないように!!」

信二は祈った。もし、茜が無事なら、俺はキリスト教に入信しよう。

屋上に着いた。

居た!茜がちゃんと居る!だが、もう1人誰か居るな…

茜の車椅子を、少女が押していた。明らかに、その少女は重症だ。

信二は駆け寄った。

「大丈夫か!茜!」

「お兄ちゃん!!」

茜は兄の再会を喜んだ。

「君も大丈夫か!?」

「…ええ…」息が荒かった。

右肩、右手、右脚から、血が流れ出ていた。

信二は、その少女を負ぶった。

そして、茜の車椅子を押した。

「お兄ちゃん、私警察に捕まるかな?」

「どうして?」

「さっき、人を落としたの…」

「向こうは殺しに着たか?」

「うん」

「じゃあ、正当防衛だな」

信二達は、真人達と合流した。

「その子、大丈夫?」

「いや、息が荒い」

信二は、どこかで傷の治療をしようと思った。

「ここは暗いから、他の場所にしよう」

茜は信二に向いた。

「なら、3階がいいと思う」

「なぜ?」

「薬も包帯もベッドもあるから」

信二は感心した。よく知ってるな。

エレベーターに乗り、3階を押した。

立花は、信二に質問した。

「さっき落ちた人は?」

「妨害者だ」

「へ、いいざまだ」

「それにしても、よくぼ……きゃ!」

立花は悲鳴を上げた。エレベーターはすでに指定の階に着いていたが、開いたドアから自衛隊員が89式小銃を構えていた。ガスマスクをしていて、表情が伺えない。

「噛まれた奴は居るか?」

自衛隊員は、呼吸音交じりの声で聞いた。

「いいえ、でも重症の奴は居る」

自衛隊員はしばらく銃を構えていた。

「分かった、降りて来い」

自衛隊員は信二達を薬品室に連れて来た。

「俺の名前は織邨直樹。陸自の狙撃手だ」

薬品室の端にベッドが置かれていた。

「負傷者をそこに寝かせろ」

信二は少女をベッドに寝かせた。

「幸い、ここには色々な薬品がある。麻酔や解毒剤などがある。モルヒネもな」

信二は、モルヒネが何の薬品か分からなかった。

「あいつに鎮痛剤を打ってやれ」

直人は注射器を信二に投げてきた。

「あの……俺は注射のやり方が分かりません」

「悪かった。俺が打つ」

信二は鎮痛剤を直人に渡した。

直人は鎮痛剤を少女に打った。ある程度の医療技術はあるようだな。

「注射できるんですね」

「当たり前だ。俺は衛生要員を目指してたんだ。けど、いちいち薬品の名前を覚えられないし、心臓マッサージをやろうとすると力を入れすぎて肋骨を折うかもしれないし、だからやめた」

軽い口調から嘘っぽいが本当かもしれない…

「あの、そのガスマスクはあまり意味ありません」

直人は信二に向いた。

「なぜ分かる?」

「ウイルスは接触感染型です。空気感染はしません」

「はは~ん、さては、あの事件の生還者だな?」

「はい」

「やっぱりな。どっかで見た顔だなと思ったよ。俺も現場に居たんだ」

直人はガスマスクをはずした。

「でも、経口感染は防げるかもしれません」

「いいや、ガスマスクは息苦しいし、視野も狭くなるからお荷物だ」

直人は、シップを少女の傷口部分に着け、包帯を巻いた。

「ここにある薬品は持てるだけ持て」

直人は、大きなリュックを3人に渡した。3人は薬品を詰め始めた。

信二はてっきり自衛隊員は全員撤退したとばかり思った。

「撤退しなかったんですか?」

「ああ。他の奴は撤退した」

直人は銃の点検をした。よく見ると。狙撃銃を背負っていた。

狙撃手…そういえば、俺の兄さんも狙撃手だったな…妙な偶然だな。

「荷物をまとめろ。すぐにここを出る」

真人は直人を睨み付けた。

「出るって、1階は感染者だらけですよ?」

「俺はロープを持っている。ロープで窓から降りるんだ」

「非常階段は?」

「あそこは駄目だ。俺は非常階段から侵入したが、後から大勢の感染者がやってきてな」

信二は別に驚きもしなかった。前にもあったことだ。

「おい、信二君。少女を背負ってくれ。そこの女子は車椅子を押して。ナタを持ったお前は1番後ろだ」

直人は銃を構えながら、薬品室を出た。信二達は、その後ろを付いた。

 直人は、廊下の窓を開けた。そして、ロープを下げ、窓の反対にある柱に結び付けた。

「俺が先に下りて下の安全を確保する」

信二は質問した。「待ってくれ、この少女とあ、車椅子はどうすればいい?」

「ロープは後2つある。2人を背負って自分の体と結び付けろ。車椅子は、そうだな、最後の奴が一旦ロープを上げて結びつけて、下に下ろせ」

直人はそう言って、ロープで降りた。

信二と真人と立花は無言でじゃんけんした。信二が1番目に勝ち、立花が2番目、真人は負けた。

「じゃあ、俺は茜、安藤は少女を頼む」

「分かった」

信二と真人は茜と少女を背負って、ロープで落ちないようにした。

「よし、俺が先に行く」

信二はロープでゆっくりと降りた。

続けて立花も。

真人はロープを一旦上げ、車椅子を結びつけゆっくり下ろした。

「よし、お前も降りて来い」

真人は降りた。


 案外簡単に脱出できたな。

信二は近くに停車している車を見た。車のガラスは全て割れており、屋根が少し凹んでいた。

「何かが落ちたのか?」

茜は驚いた。

「嘘、彼はここに落ちたはずよ」

「彼?」

「ぼうがいしゃ」

信二は驚いた。6階の高さから落ちて生きてるのか?

驚いてるもつかの間、窓が割れる音がした。

 病院内の感染者が窓を割って続々と外に出た。

「くそ!まずい!逃げろ!」

直人が言ったと同時に、信二達は走った。茜は立花に車椅子を押してもらった。

感染者は奇声を発しながら信二達を追った。

直人は振り返り、89式小銃を単発で4発撃った。4人の感染者が撃ち殺されたが、まだ大勢居る。

近くにワゴン車があった。しかもドアが開いて。

「ワゴンに乗れ!」

直人は怒鳴った。信二は助手席、残りは後部座席に乗り、ドアを閉めた。さすがに車椅子は捨てた。

直人は運転席に座り、鍵を探した。

「鍵がない!!」

感染者達はワゴン車を囲み、ガラスを叩き始めた。

「仕方ない!!」

直人はカバーをはずし、中のコードを引きちぎり、ショートさせようとした。

映画であるようなシーンだ。

車のエンジンが掛かった。

「シートベルト着用!」

直人はベルトを着用した。

「3、2、1発車!!」

車が走り出した。直人は次々と感染者を跳ね飛ばした。

これも映画でよくあるシーンだ。

「安全な場所を知ってるか」

「はい」


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