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感染者の沈黙  作者: 原案・文章:岡田健八郎 キャラクターアイディア:岡田健八郎の兄 
感染
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第3の発狂者

これまで、2人の発狂者クレイジーズが現れた。1人目は名無しの老婆であり、孫が感染したことで発狂した。2人目は妨害者と呼ばれる少年であり、病院内で目の入った人を殺していた。

どれも信二達の前に現れたが、実は別の場所でも発狂者クレイジーズは居た……


 聖夜は、機嫌悪そうに学校を見回っていた。

たく、坂本(流星)の奴、こんな大変な状況だってのに、あいつ、俺をまたヴァイオレンスパパと言ってからかいやがって!!マジでむかつく!

そう思って、近くのゴミ箱を倒した。


 「やあ!」

後ろから誰かが話しかけた。

聖夜は思わず驚きの声を上げた。

真希が居た。

「んだよ、坂本か」

「驚いた?」

「い、いや」本当は驚いていたが、黙っていることにした。

女に驚かされたなんて、いい笑いものだぜ。


 奥から、女性の声が聞こえる。

「誰だろう?」

「まあ、行ってみるか」

2人は声のするほうに行った。そこは、多目的室だった。

中には前髪が、目の上に綺麗に切れている、小柄の女子が居た。左頬は火傷の様な跡があり、肌は普通の女子に比べ、黒かった。

「あいつ、誰だ?」

「あの子は川原あゆみ。2年2組の女子」

「よく分かるな」

「生徒会長ですから」

2人は川原に近づいた。

「川原さん、何してるの?」

川原は、不気味な微笑みを見せた。

「私は川原あゆみじゃない」

「じゃあ、誰だ?」

川原は、両腕を広げた。

「私は雷光を操る至高神ゼウスとアトランティスの支配者海の神ポセイドンに従える大天使ガブリエルよ」

2人は瞬時に悟った。この人は普通ではないと。

よく見ると、川原の足元には魔方陣が書かれている。

「えっと、ガブリエルさん、あなたは何をしているの?」

「無知で哀れな者達の魂を浄化し、救済するために地上に降り去ったのよ」

真希は、一度興味本位でギリシャ神話とキリスト教を勉強したことがある。ゼウスとポセイドンはギリシャ神話の神であり、ガブリエルはキリスト教の大天使の1人である。つまり、彼女はギリシャ神話とキリスト教を混ぜ合わせてるのだった。

「川…じゃなくてガブリエルさん、一旦落ち着いてください」

川原は、ペンダントを見せ付けた。

「この聖なる水晶は悪なるものを見極める力がある」

どう見ても、ただのガラスの玉だった。

「大悪魔サタンを打ち破りし熾天使してんしミカエルよ、旅人の守護天使ラファエルよ、私に力を与えたまえ」

聖夜は絶句していた。こいつは明らかに正気じゃない。異常だ。サタン?ミカエル?ラファエル?わけが分からない。

「おお!なんてこと!」

川原は、聖夜を指差した。

「あなたは堕天使の首領にして地獄の支配者サタンの化身か!」

は?

川原は、真希を指差した。

「あなたはアダムの最初の妻、妖艶な悪魔達の母リリスの娘か!」

は?

川原は顔を天井に向け、両手を天井に伸ばした。

「神罰の実行者ウリエルよ、全能の唯一神ヤハウェよ、私に悪魔を撃ち滅ぼす力を与えてください」

聖夜と真希は呆れてどう反応すればいいが分からなかった。

その時、川原は包丁を出した。

「サタンの化身!リリスの娘よ!そなた等を最強の堕天使ルシファーを切り裂いた黄金の剣で滅ぼさん!」

それは本物の包丁だった。

「よ、よせ!」

だが、川原は包丁で聖夜の首筋を切り裂こうとした。

聖夜は間一髪避けた。

この女は明らかに正気じゃない!

川原は、多目的室のドアの閉め、鍵を掛けた。

「主よ!邪悪な魔物達を聖地に閉じ込めました!」

この女は明らかに役なりきっている!

川原は、包丁で真希の腹を突き刺そうとした。

真希は、両腕で刃を受け止めた。

「危なっ!」

真希は刃を放さなかった。

「くっ馬鹿な!黄金の剣が止められるなんて!」

川原は力一杯包丁を押した。

包丁が段々真希の腹に近づいていく。

「や、やば!」

真希は生命の危機を感じた。

聖夜は、川原の腹を力一杯殴った。

「ぐぐっ!おのれ!汚らわしい悪魔め!!」

真希は包丁を振った。

聖夜は今度は軽々と避けた。

川原は真希の腹を再び刺そうとしたが、真希は空手の下段払いで払った。包丁は、川原の腕から滑り落ちた。

「私、実は空手の黒帯なんだ」

川原は悔しそうな顔をした。「おお!神よ!私に悪魔に勝る力を!!」

真希は川原の顔を思いっきり殴った。黒帯のパンチの威力はすさまじく、川原は気絶した。

「ふう、これで一安心」

真希は手でほこりをはらった。


 2人はガムテープで川原を縛った。

それにしても、こいつはほんとに正気か?ゼウスだの、ポセイドンだの、ガブリエルだの、サタンだの、ミカエルだの、ラファエルだの、ウリエルだの、ヤハウェだの、ルシファーだの、訳の分からない用語だの、本当に気持ち悪い女だったな………

「こいつは何だったのか?」

真希は考え込んだ。

「たぶん、発狂したんじゃない?」

発狂…つまりきちがいになったのか!

この女は発狂者クレイジーになったのか?

感染者だけで厄介なのに、発狂者まで現れたら、もっと厄介だな。

真人達が居なくなったが、無事だろうか?


 2人は、川原を置いて、教室に出た。

【追加登場人物】

川原あゆみ

学校内に現れた発狂者クレイジーズ。自信を大天使ガブリエルと名乗り、聖夜達を悪魔と呼び、黄金の剣|(ただの包丁)で殺そうとした。

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