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感染者の沈黙  作者: 原案・文章:岡田健八郎 キャラクターアイディア:岡田健八郎の兄 
感染
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精神発狂者 対 精神病質者

茜は、妨害者にベッドから引きずり出された。

妨害者は足で、茜を逃げないように抑えた。

そして、つるはしを振り上げた。

茜は、走馬灯のように短い自分の人生を振り返っていた。

人生の大半が、入院生活。

友人は居なく、話し相手はお見舞いに来る信二と、看護婦だけ。

まさに、孤独な人生だった。

人生の最後も、孤独に終わるのか・・・・・

 妨害者は、奇声を上げながら、今にもつるはしを振り落としそうだった。

茜は目を閉じた。これが運命なら、素直に受け入れよう。

そして、目を瞑った。


 その時、突然妨害者が苦痛を表す奇声を発した。

「何が起きたの…?」

茜は目を開けた。


 亜矢子が、鋏で妨害者の左腹部を刺していた。

「あたしとあかねちゃんの遊びの邪魔をしないで」

そして、鋏を抜いた。

妨害者は倒れこんだ。

「大丈夫、あかねちゃん?」

亜矢子は、左腕を差し出した。

武器を向けたり、首を絞めたりするのではなく、ただ、差し出した。

茜は素直に受け取った。

亜矢子は、茜を立ち上がらせて、ベッドに座らせた。

「あの、どうして私を助けたの?」

亜矢子は微笑みを見せた。

「助けておかしい?」

「だって、私を殺そうとしたじゃん」

亜矢子は首を傾げた。

「殺そうとした?いつ?あたし、ただ、あかねちゃんと遊びたかっただけだけど」

なんてこと…完全に思い違いだった。まさか、本当にただ、遊びたかっただけなんて…

「ね、次何して―――うぐっ!」

亜矢子が言い終える前に、突然うめき声を上げた。


 妨害者が、後ろから亜矢子の首を左腕で絞めた。鋏を持った亜矢子の右腕は、右手で掴んで抑えた。

亜矢子は、左手で妨害者の腕を放そうとしたが、腕力では敵わなかった。

妨害者は奇声を発しながら、腕に力を入れた。

亜矢子は苦しみのうめき声を発した。

茜はベッドから降りた。そして、這いずった。


 亜矢子は、右手の鋏を落とした。

まさか、腹を刺されて平然とする奴が居たなんて…

意識が薄れ始めた。

突然、妨害者が力を緩めた。

茜が、鋏で妨害者の左腿を刺したのだ。

妨害者は、亜矢子を放し、左腿に刺さった鋏を抜き、捨てた。

亜矢子は鋏を拾った。

妨害者はつるはしを拾い上げた。

そして、亜矢子に向いた。

亜矢子は鋏をしっかりと握った。


 亜矢子と妨害者の対決。

それはまさに、精神病質者サイコパス発狂者クレイジーズの対決だった。

両者とも、殺人鬼だ。殺意を敵に向けた。

妨害者は、つるはしを亜矢子の頭めがけて横に振った。

亜矢子はしゃがみ、妨害者の攻撃を避け、右腕の鋏でまた腹部を刺そうとした。

妨害者は、左腕で亜矢子の腕を掴み、それを防いだ。

そして、右手のつるはしを構えた。

亜矢子は左腕で、妨害者の股間を殴った。

妨害者は情けない声を上げて怯んだ。

すかさず、亜矢子は右手に力を入れた。。

鋏は妨害者の腹に刺さった。

妨害者は、奇声を発しながら、両膝を床に着いた。

亜矢子は立ち上がった。

そして、鋏を妨害者の首に刺した。

妨害者は、絶叫を上げながら、倒れこんだ。


 「もう大丈夫よ」

亜矢子は、殺意のない、優しそうな微笑を見せた。

茜は、亜矢子が本当に子供なのか疑問を持った。

言動こそはいいが、行動と戦闘は、およそ子供らしくない。

「どうしたの?」

「なんでもない」

茜はそう言った。本当は吐き気がしてるが、この際嘘を言ったほうがいいと思った。

「じゃあ、散歩に行こうよ」

茜は、耳を疑った。散歩?遊びの次は散歩?


 亜矢子は車椅子を持ってきた。

そして、茜を座らせた。

「じゃあ、外に行こう」

亜矢子は車椅子を押した。

はたして、この少女を信じていいのだろうか?

茜は悩んだ。少なくても、今はまだ殺されないかも……


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