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感染者の沈黙  作者: 原案・文章:岡田健八郎 キャラクターアイディア:岡田健八郎の兄 
感染
23/84

亜矢子

これまでの発狂者クレイジーズ

老婆

孫が感染したことで発狂。感染者に殺害される。


妨害者

正体不明の殺人鬼少年。顔を包帯で隠し、つるはしで信二達を殺そうとしたが、感染者に襲われ、生死不明。

「畜生!暗いな!」


信二達は、5階の廊下に居た。懐中電灯がなければ、進めない暗さだ。それに殺風景だ。幸い、信二達は懐中電灯を持参していた。茜には、廊下にあった非常用懐中電灯を渡した。

いくつもの病室の扉が閉まっていた。どれも、窓部分に鉄格子が取り付けられていて、まるで重大犯罪者が閉じ込められているようだ。

 ここは明らかに危険な患者と閉じ込めるための階だった。

 狭い廊下だったが、エレベーターのすぐ横に、オフィスと書かれた部屋があった。

中は意外に広く、大量の資料が散らばっていた。

机の上には、パソコンが置いてあり、画面には1部屋1部屋の映像が映っていた。

部屋の中心にあるテーブルに1つのファイルが置いてあった。

立花はファイルを取った。

「読んでくれ」

立花はファイルを読み始めた。

鬼塚亜矢子おにつかあやこ12歳。心臓を患ったため緊急入院。心臓移植後、症状は良くなっていったが、人形などの破壊行為、他者をおもちゃと見なす精神、他者を傷つけることに喜びを感じる等、精神的に問題が発生、緊急隔離の措置を取った。なお、15歳未満の入院患者を見せたところ、3人の少女を気に入った。1人目は足立良子あだちよしこ、壊し甲斐ある、2人目は小野翼おのつばさ、彼は脳に障害を持ってるため、彼のリアクションが受けるなどの問題発言した。3人目は相沢茜、先の2人と違い、彼女との面識はないと判明。気に入った理由は、一目惚れだと。彼女の精神は完全にサイコパス化しており、精神治療を受ける必要がある。なお、彼女の父親は暴走族だと判明、彼女の異常な性格が家庭環境に原因があると思われる」

信二は聞き終えた瞬間、一瞬恐怖に襲われた。俺の妹に一目惚れだと!?ふざけた患者だな。

ふと、信二は全員の顔を見た。

「茜はどうした?」

いつの間にか、茜が居なくなっていた。

「そういえばいない」

「どこへ行ったのかしら?」

まさか……な……いや、もしかして―――


 茜は目を覚ました。そこは、見知らぬ部屋だった。学校の教室くらいの広さはあったが、天井には傷だらけのマネキンや人形がぶら下がっていた。

「目、覚めた?」

茜はベッドに寝かされており、ベッドの横に、見知らぬ少女が座っていた。

肌は白く、髪は長く生えており、顔は少女らしい可愛らしさがあった。声も幼い甘えん坊らしい声だった。ただ、唯一おかしい所といえば、目が猫のように黄色だった。ピンク色のワンピースを着ていた。

「ふふふ、実際に見ると可愛い子ね、うん」からかうような口調で言った。

茜は恐怖よりも不思議さを感じた。この少女から人間らしい生気が感じられなかった。

「あなたは誰?」

「あたし?そう……あなたはあたしを知らないのね。でも、あたしはあなたを知ってる」

「会ったこともないのに?」

「あいざわあかね、それがあなたの名前でしょ?」

茜は驚いた。と言うより喜んだ。

「すごい!よく知ってるね。私、病室からあまり出たことないのに!どうやって分かったの?」

「ふふふ、ひ・み・つ」

茜ははっと思い出した。

「私、どうしてここにいるの?」

「あたしが連れてきたの」

茜は驚いた。と言うより不思議に思った。

「どうやって?」

「あなただけ廊下にいたから、後ろから、睡眠薬を染み込ませたハンカチを口につけて眠らせたの」

「睡眠薬?」

「眠れる薬のこと」

少女は、薬の入ったビンを見せた。

「そういえば、あなたの名前は?」

「亜矢子」

「苗字は?」

「教えたくない」

茜は首を傾げた。「なんで?」

「だって、苗字を馬鹿にされたことあるから」

「私は馬鹿にしない」

「本当に?」

「うん」

「約束する?」

「うん」

「あたしの苗字は鬼塚」

「おにつか?どこがおかしいの?」

「鬼塚の鬼は、桃太郎に出てくる鬼と同じだって言われた」

「血から強そうでいいじゃん」

亜矢子はくすくす笑った。

「やっぱり、思ったとおりの性格ね」

「何が?」

その瞬間、マネキンのひとつが動いた。

「ちょっと黙らせてくる」

亜矢子ははさみを持って、マネキンの所へ行った。茜は動いたマネキンを良く見た。その時は、冗談抜きで驚いた。動いたのはマネキンではなく、裸の若い女性だった。女性は、両手を縄で縛り付けられていて、宙吊り状態だった。全身に沢山切り傷があり、どれも痛々しいものだ。

他にも3人、若い女性が両腕を縛られ、宙吊り状態になっていた。

「その人たちは?」

「あたしをいじめてた看護婦。ちょっと懲らしめてるの」

亜矢子は、鋏で、若い女性の右乳首を切り落とした。女性は、絶叫を上げた。だが、口をガムテープで塞がれているため、声はあまり出なかった。

茜は自分の右胸を両腕で抑えた。「なんで看護婦さんをいじめるの?」

「あたしをいじめた仕返し。正直見てて気持ちいいのよね」

亜矢子は、鋏で椅子に縛られている看護婦の喉に突きつけた。

「やめて!!」茜は思わず叫んだ。

亜矢子は不思議そうに茜を見た。亜矢子にとって、殺しを静止させた茜がおかしくて仕方がないのだろう。「なぜ?赤の他人でしょう?」

「でも、でも、人殺しは良くない、と思う」

「あのね、今は人々が次々と殺人鬼に変貌してるの。この人達だってそうなるかも。そうなる前に殺す、いわゆる、正当防衛って奴よ」

「せいとうぼうえい?」

「相手が殺しに掛かって来る時、自分の身を守るために殺すことよ」

亜矢子は、鋏の刃で、椅子に縛り付けている看護婦の首を切り裂いた。首の皮が引き裂かれ、筋肉が露出した。

「う~ん、まだまだね」

亜矢子は深く首を切り裂いた。首から大量の血が噴出した。

茜は吐き気に襲われた。動脈を切られた看護婦は約3秒で意識がなくなった。

「人の体は不便よね。動脈を切ったら3秒で意識がなくなるんだから」

亜矢子は、水道に行き、鋏に付いた血を洗い流した。

そして、茜の方向を見た。

「あかねちゃん、一緒に遊ぼっ。おもちゃで遊ぶ?」

茜は顔を覆い隠しながら聞いた。「おもちゃ?」

「看護婦のことよ」

茜は怒りと恐怖に支配された。「人をおもちゃにするなんて!あなたは、えっと~悪魔よ!」

亜矢子は微笑んだ。「お父さんが言ってたよ。人間の本質は悪魔と変わりないって」

そして、鋏を力一杯握った。

「なら、鬼ごっこしよう。あたしが鬼ね」

亜矢子は目を瞑った。

「い~ち、に~い、さ~―――」

茜は危機感を感じてベッドから立ち上がろうとした。だが、長い間ベッドの上で寝ていたため、歩く感覚を忘れていた。茜は立つこと出来ず、床を這いずりながら出口を目指した。

「よ~ん、ご~お、30秒数えるよ?」

茜は手を思いっきり伸ばし、ドアノブを捻ってドアを開けた。ドアを開けた先には、学校の理科室のような風景が広がっていた。沢山の縦長テーブルが並んでおり、テーブルの上には薬品が入った試験管がずらりと並んでいた。

「にじゅう!にじゅういち!にじゅうに!―――」

茜は残り時間で部屋から出ることは不可能と判断し、近くのテーブルの下に隠れた。

「30!もういいかい?」

答えたらこちらの位置を悟られるため、答えなかった。

「じゃあ、いくよ」

茜は両手で口を塞いだ。足音が近づいてくる。

「あかねちゃ~ん、どこ?」

鋏の音が聞こえた。

足音が止まった。

神様お願いします、どうか見つかりませんように!茜は心の底から願った。

亜矢子は再び歩き始めた。

ほっと安心した

そして、理科室の扉が開き、亜矢子が出て行くのを確認した。

茜は、テーブルから出た。

そして、亜矢子が出た出口から廊下に出た。

廊下は暗く、狭かった。

茜は座り込んだ。

早くお兄ちゃん来ないかな?それにしても、この病院は怖いわね。

茜は、廊下の奥から来た。

「あやかちゃんじゃない人こないかな?」



そう願った瞬間、聞き覚えのある音が聞こえた。

何か、硬くて重いものを引きずる音が、廊下の奥からする。

茜は音のする方向を向いた。

音の主が、姿を現した。


妨害者だった。感染者との交戦を逃れ、はるばるこの階に来たのだ。つるはしを持って……

妨害者はつるはしを引きずりながら、茜に近づいた

ドアを閉め、鍵を掛けた。

そして、亜矢子と出会った部屋の戻った。

ここのドアも閉め、鍵を掛けた。

そして、ベッドの下に隠れた。

理科室のドアが壊れるの音を聞いた。

その数十秒後、亜矢子の部屋の扉が壊れ始めた。

神様!仏様!天使様!お兄ちゃん!助けて!

ドアが壊れた。茜は口を塞いだ。

妨害者は室内に入った。

茜の隠れてるベッドを素通りし、宙吊りの看護婦に近づいた。

看護婦達は、悲鳴を上げた。妨害者は、つるはしで、看護婦の1人の腹を刺し、引き裂いた。胃や腸が露出し、大きく裂けた腹から垂れ落ちた。

妨害者は、2人目に近づいた。今度は背骨を砕いた。

3人目は、滅茶苦茶に刺した。

茜は見てないが、音を聞くだけで吐き気に襲われた。

音が止んだ。

もう行ったのかな?

そう思った瞬間、妨害者が、ベッドの下を覗き込んだ。

茜は思わず悲鳴を上げた。

妨害者は、腕を伸ばしてきた。

茜は奥に詰めたが、とうとう、妨害者に腕をつかまれた。

そして、引っ張り出された。

茜は、短い人生の終わりを悟った。




【追加登場人物】

鬼塚亜矢子おにつかあやこ

職員から問題視されていた少女。性格は残酷かつ攻撃的。精神異常者サイコパスであって、発狂者クレイジーズではない。

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