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感染者の沈黙  作者: 原案・文章:岡田健八郎 キャラクターアイディア:岡田健八郎の兄 
感染
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緊急隔離

信二達を乗せたバスが、目的地に着いた。

そこは、どこかの高等学校の校庭だった。

校庭には、大きなテントが張ってあり、何かを閉じ込めるように、沢山のフェンスが建っていた。

校舎には、ビニールのようなものが覆われていた。

ガスマスク、戦闘用防護衣、89式小銃を装備した自衛隊員が信二達をバスから降ろした。

校庭には大勢の一般市民が信信二達同様何も聞かされずに強制的に校庭に集められていた。

拡声器を持った自衛隊員が話していた。

「困惑しているのは分かりますが、前の人について行って検査を受けてください。検査は全部で4つあります。繰り返します―――」

信二たちは言われたとおりに前の人についていくと、テントに向かっていた。

テントの前では、自衛隊が化学剤検知器で市民を検査していた。

尾田が信二には話しかけて来た。「何がおきてるんだ?」

「たぶん、感染者と非感染者を区別しるための検査だろ」

信二は尾田を見た。何と、赤いコンタクトをはずしていなかった。

馬鹿!はずせ!そう言おうとした瞬間、自衛隊員の1人が尾田を見た。

「感染者だ!感染者出現!」

数人の自衛隊員が尾田を取り押さえた。

「やめてくれ!俺は感染者じゃない!!」

だが、手錠をはめられて、校舎へ連れて行かれた。

信二は同情した。自己責任だけどな。

信二は第1検査を終えた。

今のところ、連れて行かれた知人は尾田だけだな。

テント内に入れられた。テント内は道が2つに分かれていた。

2つの道の前で2人の自衛隊員が市民1人1人の目を何かの形態装置で検査していた。

信二の番が来た。

「異常なし、右に進んで」

信二の知人たちも異常がなかった。

「異常あり!充血確認!」

トリエンが左の道に強制的に進められた。

「待ってくれ!石鹸が目に入ったんだ!」

トリエンの必死の叫びは誰も聞かなかった。

信二たちは第3検査の所に向かった。

そこでは、体温計のような装置を頭に付けて、体温を測定していた。

「……あれは何……?」真斗が信二に尋ねた。

「体温測定だろ?」

「…私、風邪気味なの…」

信二たちの番が来た。信二の体温が測定された。

「平常値、前に進んで」

聖夜と真斗の体温が測定された。

「引っかかった!平常値より高い」

2人が校舎に連れて行かれた。

「待ってくれ!俺バスの中でストレッチしてたんだ!」

「…やめて…!」

信二は自衛隊員に怒鳴った。

「あの2人は大丈夫です!女子の方は風邪を引いているんです!」

「2人は感染の疑いがある。緊急隔離する」

信二は強制的に前に進められた。

第4検査は唾液検査だった。

信二が綿棒を口に入れられた。そして、信二の唾液を計測していた。

「陰性、校門に向かって」

信二の残りの知人も陰性だった。

だが、見知らぬ幼女から陽性が出た。

「陽性だ!感染者だ!」

幼女の母親が抵抗した。

「やめて!この子は感染してない!そもそも何の感染なの!?」

無情にも幼女は校舎に連れて行かれた。

「やめて!連れて行かないで!検査し直して!」

「まま~!やだ!怖いよ!」

全ての検査で異常がなかった人はカードを渡され校門に進められた。

校門では、沢山の高速バスが停車していた。

「検査で異常がなかった人たちはバスに乗車してください。ただし、許可証がなければ乗車できません」

なるほど、このカードは許可証か。

だが、信二はまだバスに乗る気はなかった。

「信二君乗らないの?」真希は信二に尋ねた。

「ああ、しばらく様子を見てみよう」

信二のクラスメートは全員、バスに乗車した。信二はまだ外に居た。

「検査に引っかかった人はどうなるの?」

「たぶん、隔離されるか、殺されるか」

だがなぜ感染が発生したんだ?そういえば、自衛隊がソフィーのことを保菌者と言っていたな。

まさか、彼女が?

「信二君、いい加減のろうよ」真希が話しかけてきた。

「ああ……そうだな」

信二はバスに乗った。

バスの運転手も自衛隊だった。

席は多いため、信二は座ることができた。

信二が座り込んだ瞬間、1台の大型トラックが信二たちの居るバスの反対の校門から進入し、大勢の市民が閉じ込められているフェンスに突っ込んだ。

フェンスが壊れたことで、市民たちが脱出した。

1人の自衛隊員がバスに乗り込んだ。

「市民が逃げ出した……」

言い終える前に自衛隊員が何かに後ろから襲われた。

目が赤かった。

「感染者だ!こいつを撃ってくれ!」

運転手の自衛隊員が拳銃で感染者の頭を撃ちぬいた。

よく見ると、トラックが進入してきた校門から、大勢の市民が奇声を発しながら校内に侵入してきた。

「感染者達だ!バスを出せ!」

バスが順に出発した。

校庭に居た自衛隊員たちは、89式小銃で応戦していた。

感染者に襲われた自衛隊員がバスに乗り込み、入り口を閉めた。

「こちら緊急隔離班!隔離は失敗!感染者が多数出現!」

『了解、事態が収集不可能な場合、全隊を撤退させろ』

「了解!交信終了アウト

自衛隊員は運転手を見た。「発進させろ!」

信二たちの乗ったバスが発進した。

信二は安心と不安の両方を感じた。

隔離された知人たちは無事だろうか?

信二たちを乗せたバスが交差点に差し掛かった瞬間、大きな衝突音と共に、バスが横転した。

大型トラックがバスに突っ込み、衝突を起こした。

中に居た大半の人が席から放り出された。

信二は、頭を強く打ち、気絶した。






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