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感染者の沈黙  作者: 原案・文章:岡田健八郎 キャラクターアイディア:岡田健八郎の兄 
感染
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全てが変わる瞬間2

この日もいい天気だった。空は雲ひとつ無く、空気は暖かかった。


信二は2時間目の英語の授業を受けていた。実のところ信二は眠くて眠くて仮眠を取りたかったが、席が一番前のため、寝てしまったら先生に注意される。だから寝れない。

だが、ソフィーの再会の喜びは今も残っている。だが、それは信二だけではなかった。

昨日、真希の家で泊まった男子達は美少女達と一夜を過ごした。皆幸せそうな顔をしていた。

トリエンを除いて―――トリエンは昨日一晩中気絶していた。

後ろでは真人がノートを書いている―――振りをして寝ていた。

よくもまあ堂々とね~~~

右席の真希が話しかけた。

「ごめーん、教科書の英文の訳を見せて~」

「・・・今度は立場の逆転だね?」

「だって英語苦手だもん。それに今日あたるかも」

「はい、訳文を書いたノート」

「ありがとう♪」


英語の教師である女性が真希に英文の訳を指示した。真希は信二のノートを見ながら訳した。

信二は校庭を眺めた。



授業が終盤に差し掛かった頃、校庭で何か騒いでいた。

校門からフードを被っていた1人の男が入り込んで、校庭で体育の授業でハードルをしていた生徒達に向かってゆっくり歩いていた。授業中の生徒達は男に警戒していた。夏場なのに男はトレンチコートを着ていた。

男が止まると、さらに校門からサングラスをかけた6人の男達が入ってきた。

異常に気づいた女性体育教師が、不審者を追い払うために近寄っていった。

信二はその日なぜか双眼鏡を持っていたため、双眼鏡で男達を見張った。

「相沢君、相沢君!」英語の教師が注意してきた。

「相沢君こっち向いて!」

「うるさい!!」信二の怒鳴り声には迫力があったため、先生は信二を恐れた。

生徒達も信二を不審がった。

「何、あの人?」

「頭おかしいの?」

「気持ち悪」

信二は無視した。異変に気づいた真希と真斗が窓に近づき、外を見た。

窓側の男子達も外を見た。

信二は双眼鏡で男達を見張っていた。

体育教師はフードを被っていた男を説得して学校から出てもらおうとしていた。

フードを被っていた男は数歩下がって男達の中心に立った。

信二はサングラスの隙間から男達の目を確認した。

赤目だった・・・

「先生!逃げて!」信二は思わず叫んだ。

体育教師は信二を見上げた。

その瞬間だった!

男の1人が奇声を発しながら体育教師の喉元を噛み付いた。

「嘘だろ!!」その状況を見ていた窓側男子達が叫んだ。

校庭から悲鳴が聞こえた。フードを被っていた男以外の男達が奇声を発しながら他の生徒達に襲い掛かった。

真希は英語教師に向かって叫んだ。「先生!不審者が生徒達を襲っています!警察を呼んでください!」

英語教師は窓から外を見た。「ほんとだわ!」

駆け足で職員室に向かった。

クラスメート達が窓際に駆け寄って外を見て、絶句した。

生徒達が男達に暴行されていた。いや、厳密に言えば何人かは噛まれていた。

「一体何なのよ!?」

「俺が知るか!?」

「マジでやばいじゃん!」

もはや授業なんて関係なかった。隣のクラスからも驚きの悲鳴が聞こえた。


全教室、廊下に設置されているスピーカーから、教師の声が流れてきた。

『校庭に不審者がいます!全教師は校庭に向かってください!生徒の皆さんは担任の指示に従って、速やかに避難して下さい!これは訓練ではありません!繰り返します―――』

担任の蛇谷がやって来た。「坂本!お前は皆を体育館まで誘導しろ!俺は不審者の対応にあたる!」

真希はうなずいて、皆に振り向いた。「皆出席番号順に並んで!」

全員パニックを起こして一斉に教室の出入り口に駆け寄った。

信二も廊下に出た。信二の苗字は相沢あいざわのため、一番前に並んだ。

「じゃあ、付いて来て!」真希はクラスメートを連れて体育館に向かった。

体育館に向かう為の出口が見えてきた。他のクラスメートも、信二のクラスメートに付いて来た。

だが、体育館を繋ぐ出入り口に、血まみれの男子生徒が立っていた。

「君!大丈夫?」真希は近寄ろうとした。

「待ってください!」信二は真希を止めた。

「何?」真希は信二に振り向いた。その瞬間、男子男子生徒が奇声を発しながら真希に襲い掛かってきた。信二は男子生徒の顔面を殴った。そして目を見た。

赤だった・・・

信二は男子生徒の顎と後頭部を掴んだ。そして180度回転させた。

男子生徒の首の肉と皮が引き裂き、骨が飛び出した。

生徒達は悲鳴をあげながら、無茶苦茶に散らばった。

真人は信二の肩を掴んだ。「お前!何やってるんだ!?人殺しだぞ!」

信二は言い返した。「向こうも人殺しだ」

「何を根拠に―――」

「前にもこんな事が起きたんだ!」

「前にもっていつだよ!?」

「大羽中学校封鎖事件」

それを言った瞬間、クラスメート全員の動きが止まり、信二を見た。

「俺はあの事件の生存者だ」

真人は信じられなかった。紀子の推測が正しいなんて―――

紀子は逆に喜んだ。

「あの事件で一体何が?」聖夜は訊ねた。

「殺戮だよ。いいか、皆、荷物をまとめて学校から出ろ。そして自宅に帰るんだ。渋谷、東京から出るぞ」

誰かが聞き返した。「何でだよ!」

「これは<感染>なんだ!!」信二は怒鳴った。

「感染って、何の感染だよ!?狂犬病?」

「もっと厄介なウイルスだ。感染者は凶暴化する。感染条件は感染者の唾液と血液が体内に入ることだ。感染拡大を防ぐため恐らく渋谷は封鎖される。悪ければ東京そのものかもな。そうなる前に東京から出るんだ!」

全員、何か言いたかったが、言えなかった。「これ以上質問が無ければ家に帰れ!」

信二がそう言った瞬間、全員玄関に向かった。

立花が信二に駆け寄った。「なぜ感染が始まったの?」

「分からない。だが逃げたほうがいい」

信二は、立花と真希を連れて、信二の家に向かった。

「信二君!一体何のウイルスなの?」真希は走りながら聞いた。

「今だ正式発表されてない新種ウイルスだ!」

信二の家に着いた。3人はすぐに中に入り、玄関の鍵を閉めた。

ソフィーがワンピース姿で出迎えた。「どうしたの?信二君?」

「<感染者>が現れた」

ソフィーが驚いた。「DEMONYO(デモーニョウイルスの感染者?」

「そうだ」

4人は2階に駆け上がった。

「マスクは付けたほうがいい!経口感染は防げる」

信二はリュックに食料を詰めた。ついでに包丁も持った。

「信二君」立花が言った。

「何だ!」

「外に誰かいる・・・」

もしかして感染者か?信二はもうひとつ包丁を持って立花に渡した。

「もし感染者が入ってきたら、躊躇わずに殺せ。いいな?」

立花はうなずいた。

信二は包丁を持って、玄関を出た。

その瞬間だった。

ガスマスクを付けた自衛隊員が信二を取り押さえた。

「何をする!?やめろ!」

89式小銃を装備した自衛隊員数名が信二の自宅に入って行った。

真希、立花、ソフィーが連れ出された。

自衛隊員の1人が無線で通話した。

「保菌者は無事確保しました」

1機の軍事用ヘリコプターUH-60JA通称ブラックホークが降りてきた。

中から大澤と京子が出てきた。

「お母さん!?」真希が驚いた。

京子も驚いていた。「真希、なぜここに?」

大澤は勝ち誇った足取りでソフィーに近づいた。

大澤はソフィーを睨んだ。「いけない子、家出なんかしちゃ駄目でしょ?」明らかにからかっている口調だ。

「研究所に連れて行って」

自衛隊員はソフィーを無理やりブラックホークに乗り込ませようとした。

「やめて!放して!信二君!信二君!!」ソフィーは抵抗しながら信二に腕を伸ばした。

「ソフィー!」信二も腕を伸ばした。

大澤は信二の腕を無理やり下ろさせた。「僕ちゃんはバスに乗・る・の・よ・ね♪」

自衛隊員は近くの停車させていたバスに3人を乗り込ませようとした。

「信二君!!信二君!!」ソフィーはブラックホークに乗らされた。

変わりに信二達はバスに乗らされた。バスの前後には軽装甲機動車が、バスの左右には偵察用オートバイに乗った自衛隊員が配備されていた。

「良い旅を」大澤はそう吐き捨てて京子と共にジープに乗った。

ブラックホークは離陸し上空へと姿を消した。

軽装甲機動車が動くと同時にバスと定差長オートバイも出発した。

バスの中には信二のクラスメートが沢山居た。

真希は真人に話しかけた。

「真人君、一体何が起きているの?」

真人は首を振った。「分からない。突然自衛隊が手当たり次第皆をバスに乗せたんだ」

信二には答えが分かっていた。感染拡大を防ぐための緊急措置だな。

まさに、あの事件と状況が似ていた。

今日はまずい日になるな。







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