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感染者の沈黙  作者: 原案・文章:岡田健八郎 キャラクターアイディア:岡田健八郎の兄 
感染
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全てが変わる瞬間

信二は1人で下校していた。真希は生徒会の仕事ですぐには帰ってこない。

今日は妹のお見舞いの日だった。

確か、俺が東京に引っ越すから、妹も東京の病院に移ったんだよな。

信二は妹の入院している病室に向かった。

妹は確か個室棟だったな。

妹の居る部屋に着いた。

「失礼します」

「お兄ちゃん!」ベッドに寝ている茜が出迎えた。

「久しぶりだな信二」信一も居た。

信二は驚いた。まさか信一兄さんも着ていたなんて・・・

「今日は珍しく2人の兄ちゃんが来たね」茜は嬉しそうだった。

信一はうなずいた。「これで父さんも来れば文句は無いが」

信二も同感だった。父さんがお見舞いに来たことなんてあっただろうか?

3人の家族は楽しい時間を過ごした。

 「おっと時間だ。先に帰るよ、茜、信一」

「じゃあね、お兄ちゃん!」

「達者でな」

信二は茜の顔を見た。何と、右目が茶色、左目が青色になっていた。

「どうした?その目」

茜は呆れた。「今頃気づいたの?確か、こっこっこ」躓いていた。

信一が変わりに答えた。「虹彩異色症だよ。どうやら遺伝子に異常が起きたらしい」

信一は別れの挨拶を言って、病院から出て自宅……ではなく真希の家に向かった。

その時、誰かにぶつかった。

「ごめんなさい!」向こうから謝ってきた。

どこかで聞いたことある声だ。

信二はぶつかってきた人物の顔を見た。その瞬間、心の奥底から何かが湧いてきた。

「お前は!」信二は思わず言ってしまった。

向こうも信二の顔を見て驚いた。「信二君!!」

「ソフィー!ソフィーなのか!」

そこに立っていたのは白いワンピースを着ていたソフィー・ヴェルネだった。以前会った時よりも肌は白くなっていたが、堂々と輝く金髪、青い目、優しい綺麗な顔立ち、間違いない。あの時のソフィーだ。

「やあ!」信二は嬉しさのあまりについつい言ってしまった。

ソフィーは、嬉涙を流しながら信二に抱きついた。「信二君!会いたかったよ!!」

信二はソフィーの頭を撫でた。

「俺もだ、ソフィー」


 2人は近くの喫茶店に入った。

「本当に久しぶりだな」信二はまだ嬉しさのあまり落ちつかなかった。

ソフィーもまだ感動していた。「本当にね」

信二は単刀直入に言った。「てっきりフランスに帰ってたかと」

ソフィーは返答に戸惑った。「えっと、え~と、あの~、その、だから、そう!そういう事!」

日本語がめちゃくちゃだ…

「何で前より肌が白いんだ?」

これも戸惑った。「えっと、美肌ぁ~~サロン?に通っていたの!うん」

これ以上問いただすのはやめよう。それより今は再会を楽しもう。

「今日はおごるよ。何がいい?」

「とりあえず紅茶」

信二は店員を呼び、紅茶2つとサンドイッチを頼んだ。

信二は紅茶を喉に流し込んだ。なぜ、好きでもない紅茶を頼んだんだろう・・・

「元気だったか?ソフィー」

ソフィーは紅茶を飲みながら答えた。「うん、元気と言えば元気」

信二はサンドイッチを一口食べた。

ソフィーは笑みを見せながら聞いた。「信二君?今の学校はどう?」

「まあまあだな。でもすぐに1人親友ができた。お前は?」

「わ、私はえっと、その、うん!まあまあ……かな?」

明らかに様子が変だ。まあいいか。

「それより信二君!今日は信二君の家に泊めてくれない?」ソフィーは単刀直入に言った。

「お、俺の家?今友人と同居してるんだ」

「友人の家でもいい」

「どうしたんだ?」

ソフィーは返答に戸惑った。「い、家出!家出したの!モルモットみたいな生活に嫌気が刺して」

「友人に聞いてみる」

信二は携帯電話で真希に電話をかけた。

「はい、真希です」

「信二だけど」

「どうしたの?信二君?」

「友人がお前の家に泊まりたいって」

「いいよ♪1人でも多いほうがにぎやかになるし♪」

「サンキュー」

「ニャー♪」

信二は電話を切った。

「じゃあソフィー、うちに……じゃなくて友人の家に行こう」

ソフィーは顔を輝かせた。「いいの!?ありがとう!」

「礼は友人に言ってくれ」

2人は自宅・・・ではなく真希の家に向かった。


信二は玄関を開けて、ソフィーを中に招き入れた。

「真希さん居ますか?」

「居るよ」真希の声が2階から聞こえた。

「じゃあ行こう」

信二はソフィーを連れて2階に行った。

そして、ドアを開いた。

中には真希……だけでなく、真人、紀子、真斗、聖夜、トリエン、尾田、綾瀬、武田、立花が居た。

「ごめん……ばれちゃった」真希は左目を閉じながら謝った。

「どうしたの?信二君?」ソフィーは部屋に入ってきた。

その瞬間、男子達が興奮した。

「この人だ!この人が俺の言っていた美人だ!!」尾田は叫んだ。

「めっちゃ美人だ!!綾瀬以上!」トリエンも言った。

「んだと!こらあ!」綾瀬はトリエンの後頭部を思いっきり殴った。トリエンは気絶した。

「立花ちゃん、久しぶりね」」ソフィーは立花に近寄った。

「久しぶり・・・」立花は表情こそはいつものままだが、心の中では喜んでいた。

「信二君、悪いけど全員私の家の泊まりに来たの」真希は信二のそう言った。

「マジで!?」

紀子は信二に近寄った。「マジよ。中学生男女2人が嫌らしい事しないように監視に来たの。全員ね」

信二は苦笑いした。これはすごくにぎやかになるだろうな・・・・・・








本州生物科学研究所

大澤は不機嫌だった。

「で、保菌者は?」

京子は答えるのをためらった。あの人が真面目に聞くときは決まってマジ切れしているときだ。

「逃げました。<2人>とも」

大澤は近くに落ちていた本を蹴り飛ばした。

「あの、自衛隊と政府に報告はしますか?」

「するわけ無いでしょう!!無能なのかお前は!!」

「すいません!」

大澤は舌打ちした。まさか2人とも逃げたとは・・・少女のほうは最優先に捕獲しましょう。


【追加登場人物】

ソフィー・ヴェルネ

大羽中学校封鎖事件の生還者。実は事件中に新種ウイルスに感染したが、事件の犠牲者の1人が完成させていたワクチンのおかげでウイルスに免疫ができ、保菌者になる。度重なる実験の影響で体内色素に異常が発生して、肌が白化する。

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