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ピアス  作者: このごろ
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ヘリックス

私が優のことが好きだと気づいて、どれくらい経ったのでしょうか。きっと1ヶ月は経ちました。その間私は学校に一度も行けずにいました。

最初の2週間ぐらいは、優に会いたくて何度か学校にいこうと努力はしましたがどうしても体が動かなくて行くことが出来なかったのです。それこそ、最初の頃は優からも毎日のように私の体調を気にかけるようなメッセージが届いていましたが、入学して3日しか一緒にいなかった相手のことが気になるかというとそうでもなくて、私が学校に行かなくなってから、3日程で優からもメッセージが届かなくなりました。

そんな相手との恋はどう足掻いても進展させることはできないので、私の片思いは実らないまま時間とともに枯れていきました。私はそのなんともいえないやるせなさから、左耳のヘリックスに3つ目となるピアスをあけました。

1つ目と2つ目のピアスは、両耳の耳たぶに、みんなが学校に行っているとき、私はずっと家で過ごして自分は何をしているのだろうという、自分に対するどうしようもない苛立ちから開けました。

けれど、一日中家の中で過ごしていると、時々思うのです。「外に出たいな」と。何とかその願望を叶えたいと思い、私は近くのコンビニでアルバイトをはじめました。どうやらそこのコンビニは深刻な人手不足のようで、面接にも受かり、明日が初出勤になります。

朝が来て、出勤時間が午前10時なのでそれまでは自分の身支度をしたり、テレビを見たりしながら過ごしました。そして午前9時45分になったので、私は家を出ました。何となくこの日は歩きたい気分だったので歩いてバイト先まで行きます。

久しぶりの外は、風、太陽の光、地面の硬さ。全てのものが心地良かったです。

コンビニが近づくにつれて、高校の入学式とは少し違う緊張に私は襲われました。それでも歩き続け、ついにコンビニの前に到着しました。

私は中に入り、面接の時にも担当してくださった、田中さんという店長さんを探します。田中さんはちょうど、棚に商品を並べているところでした。お仕事邪魔になってしまうのではと少し悩みながらも、私は思いきって、声をかけました。

「あの、おはようございます。今日からアルバイトとして働かせていただきます。佐々木四葉です。よろしくお願いします」「あー。田中さん。よろしくね。じゃあまず、服はそのままでいいから規定のエプロンに着替えてもらいます。更衣室案内するから、着いてきて」「はい」

50代前半だと思われる田中さんは、私に優しく接してくれて、緊張が少し和らいでいくのを感じました。私はエプロンに着替え終わると、田中さんに声をかけました。「着替え終わりました。」すると田中さんの隣に、若い男の人が近づいて来ました。「佐々木さんに仕事教えるのはこの高木くんにお願いしてるから、何か分からなかったら高木くんに聞いてね。高木くんあと、よろしくね」「はい」

その「高木くん」と呼ばれた人は小さくも大きくもない、覇気のない声で返事をしました。

「高木です。よろしくお願いします。」急に自己紹介をされたので、困惑しながらも私も自己紹介を、しました。「佐々木四葉です。よろしくお願いします。」

高木くんは前髪で目の半分が隠れそうな長さの髪型で、私より身長が高いので、175cmぐらいあると思われる身長が特徴な人でした。

「佐々木さん。」「はい!」「仕事教えるので着いて来てください」「はい」

相変わらず覇気のない声で言われ、私は一通りの仕事を教えて貰いました。「何か分からないことある?」「特にないです。ありがとうございました。」「じゃあ、今日はレジお願いします。まぁ、今日は平日だしお客さん少ないと思うから、そんなに緊張せずに」「ありがとうございます」

覇気のない声で、一見やる気のなさそうな感じに見える、高木さんに小さく応援され、私は嬉しくなりました。その日は本当にお客さんが少なくて、少し眠くなってきていました。

「佐々木さん」「はい!」

ウトウトしていると高木さんに急に声をかけられ、返事の声が思わず大きくなってしまいました。

「佐々木さんて何歳?」「16です。高一です」

「あっ、じゃあ俺の2個下だ。」「高木さん高3なんですか?」「うん。」「20代かと思ってました。」

高木さんが、自然に敬語をやめているのに気づいて少し距離が近くなり、嬉しくなりました。

「じゃあ、今年受験ですか?」「ううん。俺高校行ってないし、大学も行く気ないんだよね。学校行くならら、働いていたい。」「へぇ。」

少し気まづい質問をしてしまったのかもしれません。空気が少し重くなったのを覚えています。

「佐々木さんは?学校どうしてるの?」「私しばらく学校行ってないんです。」「そっか」

また少し空気が重くなったような気がしました。しばらくの沈黙が続いて高木さんが先に口を開きました。

「ここのコンビニ、チキン美味しいよ。廃棄が出るとたまに、食べれるんだ。今日何時まで?」「16時です」「じゃあ、廃棄は食べれないね」「買って帰ります!」「そうだね」

ここのコンビニは、10時閉店のコンビニなので、私は、ここのコンビニ名物の片手で食べれるチキンを買って帰ることにしました。

16時になり、店長の田中さんがに上がっていいよと言われたので、高木さんに挨拶をして帰ります。

「高木さん、お疲れ様でした。」「お疲れ様。はい。これ店長が食べていいって」

そういいながら、さっき話していたチキンを高木さんから受け取りました。「やった。ありがとうございます。」そういうと、高木さんは気のせいだとも言えるほど、小さく笑ったような気がしました。

私は店長にもお礼をいい、家に帰りながらチキンを食べました。

きっと私は惚れやすいのでしょう。高田優の時も出会って3日程で好きになってしまったし、今もチキンを渡してくれただけなのに高木さんにキュンとしています。

バイトをはじめて1ヶ月が経とうとしています。段々働くことの大変さがわかってきた私はバイトの日の3日前ぐらいになると、謎のそれでも大きな緊張に襲われ、その緊張を振り払うようにピアスを開け、中学の時からの友達が高校の友達との写真をSNSにあげているのを見て、なんとも言えない寂しさを振り払うようにピアスを開け、5個も増えていき、気づいたらでは8個ピアスがあいていました。。そのおかげなのか、私が頑張っているのかは分かりませんが、今のところバイトは一度も休んだことはありません。

「おはようございます」私は高木さんに挨拶しました。高木さんは毎日のようにバイトのシフトを入れているので、私とシフトが被ることが多かったです。

「おはよう」高木さんとの距離もバイト仲間という感じで、少し縮まった気もしますが、3kmマラソンの1歩ぐらい少しでした。でも、今も挨拶を返してくれただけで、心臓が大きく跳ね上がりました。きっと、いや、絶対私は高木さんのことが好きなのです。でも、距離があまり縮まらない、というより、私が距離を縮めようとすると高木さんの方から遠ざかっている気がする相手にどうアタックをすればいいのかもよくわかひません。

「佐々木さん」「はい」「店長がさ、店の前に生えてる雑草を抜いて欲しいって言ってたんだけど、俺一人じゃきついからさ、手伝ってくれない?」「はい。もちろんです。」

神様を私は信じていませんでしたが、この瞬間、はじめて神様がいる気がしました。私と高木さんは、すぐにゴミ袋と軍手を持って外に行きました。私は右から、高木さんが左側から、背中合わせになるような配置で雑草を抜き始めました。

「佐々木さんさ、ピアスたくさんあいてるよね」

「はい、いつの間にかこんなに増えちゃって、」「自分で開けてるの?」「はい」「痛くない?」「はい。あんまり」私の言葉を最後に少しの沈黙があった事を覚えています。

「そっか。」その言葉が妙に寂しく聞こえました。

その後、高木さんが口を閉ざし、気まづい空気を振り払うように、私が口を開きました。「あの、高木さんって、彼女とかいるんですか?」「いないよ」

その返事に、私の心の中はドンチャン騒ぎをしていました。テンションが上がった私は、調子が出てきたのか、アタックすることを決めました。でも何て言えばいいのでしょう。しばらく考えて思いつきました。

「あのっ、後で連絡先とか聞いてもいいですか?」

「えっ?あ、いいよ。」

今日はなんていい日なのでしょうか。私は高木さんにアタックをした私を猛烈に褒めてあげたくなりました。雑草抜きが終わり、高木さんと連絡先を、交換して、私は上がる時間になったので、私は家に帰りました。

家に帰った後、高木さんに何かメッセージを送りたくて、どうでもいいような、メッセージを送りました。

「お疲れ様です。連絡先交換してくださってありがとうございました。明日もよろしくお願いします。」

メッセージを送った後、今までで1番心臓がバクバクしていました。10分経ってもメッセージが返ってこないので、私はだんだん緊張し始めました。しかし、緊張し始めてすぐにメッセージが帰ってきました。

「うん」

短い二言だけのメッセージでしたが、私はとても嬉しかったです。

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