耳たぶ
あの頃、私の心は穴だらけで、それに伴うように、耳もピアスの穴だらけでした。でもそれを埋めてくれたのは他でもない、あなただよ。
4月。そう。4月です。この間中学を卒業したばかりだと言うのに、今日から私は高校1年生。「FJK」と呼ばれてしまうのです。「JK」という単語は魔法のような効果があって、聞くだけで誰もが憧れ、早く高校生になりたいと期待を抱きます。私もその1人です。
でも楽しいJKライフを過ごすにはまず友達が必要です。きっと自分から話しかければ何人かは友達になってくれるでしょう。
そんなことを考えながら、今、私は校門をくぐり、昇降口1歩、また1歩と足を進め、自分の教室を目指します。緊張で心臓はバクバクしすぎて、心臓本来の役割を忘れているのかというほどにバクバクしてます。(でも、私は生きているので心臓は自分の役割を果たしてくれているのでしょう)
教室が見えてきて、さらに心臓の高鳴りが抑えられません。でも、そんなことを行ってもいつかは教室に入らないと行けないのだから、私は躊躇せずに教室に入りました。
私の予想だと入学式で、みんな緊張しているので静かな教室なのだと考えていましたが、このクラスは陽キャが多いらしく、みんな和気あいあいとお喋りを楽しんでいました。これは友達作りに期待が持てそうです。
「ねぇねぇ」
早速来ました。友達になろうよときっとこの人は私に言ってくれます。期待して振り返ります。
「はいっ、、」
「友達になろうよ。私の名前は遠藤 ユヅキです」
「私は佐々木 四葉です」
「四葉ね。あっ、私のことはユヅキって呼んでいいからね!snsのアカウント交換しよー」
「うん!もちろん」
私の友達第1号は「ユヅキ」になりました。心の中ですこぶる嬉しくて舞い上がっています。話しかけてくれて感謝です。
「私とも交換してー」「私もー」
どうやらユヅキは既にクラスの中心にいたようで、たくさんの方が私と友達になってくれました。
「うん!皆交換しよー!」私は言いました。
そんなこんなをして入学式が始まりました。きっとみんな緊張しているようで、私にも緊張が伝わって来ました。
「それでは新入生の呼名に入ります」
きました。先生に名前を呼ばれて1秒にも満たない返事をするという、過酷なミッションです。これを無事やり遂げたら今日は自分にご褒美をあげてもおかしくはありません。
「遠藤ユヅキ」「はい」
ユヅキはしっかりミッションコンプリートです。私の番が近づいてみます。
「高坂 優」「はい」
ついに私の前の人の名前が呼ばれました。どうしよう。次だ次次次
「佐々木四葉」「はい」
ミッションコンプリートです。さすが私。偉いぞ私。
そして入学式も終わり、クラスのみんなに別れの挨拶をして下校しました。
家に着くとどっと、疲れが押し寄せてきてその後のことはよく覚えていません。
翌日、昨日と同じように登校し、まずはユヅキに挨拶をしました。「ユヅキ!おはよう」「おはよう」そのままユヅキ達がいたグループに混ぜてもらい、朝のホームルームまでお喋りをしていました。今日の授業はずっとオリエンテーションなので時間があっという間に感じ、気づけばもうお昼の時間になりました。
「佐々木さん」誰でしょう。男の人に声をかけられました。「はい」振り返ると、私の出席番号の前の「高田優」くんが立っています。「なに?」問いかけると高田くんは答えてくれました。「その、トレカってさ、松くんだよね?」どうやら私がトレカをつけたらその話題で友達ができるかもと思ってつけていた、推しのアイドルグループのメンバーの1人、松くんに気づいてくれたみたいです。これはテンション上がってしまいます「そう!松くん!高田くん知ってるの?」「俺もめっちゃ好きなんだよね。俺の推しはね、ゆうご」
どうやら高田くんは松くんと同じグループのゆうごが好きみたいです。「そうなんだ!めっちゃかっこいいよね」「うんうん。ほんとに好き」もう少し話していたいという願望に私は負け、思いっきり誘ってみます。「ねぇ、もし良かったらさお昼一緒に食べない?もう少し松くんとゆうごについて話したい」「俺も思ってた!いいよ!食お食お」高田くんはノリノリで承諾してくれました。
私と高田くんは教室の机と椅子を2セットずつ借り、机を向かいあるようにくっつけてご飯を食べ始めました。
「高田くんはいつから好きなの?」「3年ぐらい前から」「一緒!あの時の松くんのビジュがどタイプすぎて私も好きになったんだよね」「まじ?俺もあの時のゆうごのビジュがかっこよすぎてさぁ好きになった」「同じだね」こんな奇跡はあるのでしょうか、好きになった年、好きになった理由まで同じなんてすごすぎます。もう少し友達になりたいので提案してみましょう。「私のこと四葉って呼んでいいよ」「おっけ。俺も優でいいよ」なんとフレンドリーなんでしょうか。
優と推しについて話していたらいつの間にかお昼休みの時間が終わっていて、午後の授業が始まりました。優は授業と授業の少しの間の時間にも私の方へきて、ずっとゆうごについて語ってくれました。今日はこんな感じで過ごして、下校の時間になり、私は明日の学校への期待を胸に家に帰りました。
翌日、昨日と同じようにユヅキに挨拶すると、挨拶は返してくれれましたが、素っ気ない態度をとられました。まぁ、私の勘違いだと信じて気にしないことにします。
「おはよう」優が登校してきたみたいです。「優!おはよう」私は優に駆け寄り、昨日でた新曲の松くんのビジュについて語りました。優もゆうごについてのビジュを語っていると、途中でチャイムが鳴り、名残惜しい席に戻りました。
休み時間はずっと優と話をして一日が終わろうとしましたが、ユヅキの朝の冷たい態度の理由が一日かけて発覚しました。それは、私が入学して3日目で女子ではなく、男子とずっと一緒にいるのが感に触ったようです。「気持ち悪い」「男好き」などの言葉もちらほら聞こえてきました。まぁ、こういうことは女子特有なので、気持ちは分かります(中学生の頃自分は言われる立場ではなく言う立場だったので)でもそういうことを言われて、態度にも出されると寂しいもので、帰り道を歩きながら涙が出てきます。その日家に着くとご飯も食べずに寝ました。
翌日の朝、学校に行くのは憂鬱ですが、行かないと自分が困るので思い切って行きます。
学校に着くと、私はいつもしていた、ユヅキに挨拶はせずに、自分の席に座り、携帯をいじっていました。ユヅキは時々こちらの方をチラチラみなが話しているのできっと私の悪口を言っているのでしょう。私は涙が出てきました。涙って止まれと思うほど出てくるもので、一人で焦っていると、優が後ろから声をかけてきました。「おはよう」私は挨拶を返すために一生懸命涙を拭い、優に挨拶を返しました。「おはよう」優は私の泣いたあとの顔に気づいたのか「大丈夫?」と声をかけてくれました。その言葉をかけてくれただけで嬉しいというのに、また涙が溢れてきました。「大丈夫。大丈夫だよ」声がどうしても震えてしまいます。優は気を利かせて、私がユヅキから見えないように立ち、「大丈夫じゃないよ。保健室で休も」と声をかけて、私が返事をする前に私の肩を支えて立ち上がらせ、その方を撫でるようにしながら保健室に連れてってくれました。「ありがとう」私は言うと優が「うん」と困惑した笑顔で答えながら教室に帰っていきました。
私は保健室に入り、しばらく休んだら涙は止まると考えていましたが、止まるわけがなく、その日は早退しました。
翌日、どうしても体が動かないので学校を休みました。ベッドで眠っているとスマホがなりました。メッセージの相手はユヅキや、入学式に連絡先を交換した女子からでした。内容はみんな、「大丈夫?」などの私を気遣う言葉ばかりでしたが、私の悪口を言った罪悪感でキット私を気遣うメッセージをらしてきたのでしょう。私は返信する気になれず、再び眠りに着きました。30分ぐらい眠り、起きてまたスマホを見るとメッセージがひとつ増えていました。
「大丈夫?松でも見て元気だせな」という言葉の後に松くんが笑っている瞬間を捉えたライブの時の写真が送られてきました。私は嬉しくてすぐに返信をしました。「ありがと、元気でた」そのメッセージを送信すると、私の心臓はうるさいほどにドクドクいい始めました。松くんを見たからでしょうか?それとも、
ブブブ
そんなことを考えているとまたメッセージが送られてきました。優からです。まだメッセージを開く前なのに優という名前を見ただけで、心臓がうるさいです。メッセージを、昼くと、アヒルのキャラクターが親指を立ててるスタンプが送られていました。
私この人のこと好きだ
私は優のことが好きだと気づきました。




