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元伝説の聖女のたった1年の学生生活  作者: びわ
1章−静かな学期−
9/17

(8)図書室にて

「おはよ〜。……あれ?サンティ、クマない?」

「そっそんな事ないよ〜」

 次の日の朝、寝ぼけながらも制服に着替えた。今日はまだ休日だが、クラノストに会う約束がある。学園で会うのだから、着飾る必要もないだろう。しかし約束して入るものの集合場所を決め忘れたので取りあえず図書室に行けばいいだろう。まあ会えるか分からないが……


 (あっやはり居たわね。)

「セピノール様、お待たせしましたか?」

 そう声をかけると、クラノストはこっちを向いた。

「サンティ嬢、こんな早くから来てくれてありがとう。場所を伝えられなかったのによく分かったな。」

 不思議そうに首をかしげるクラノストは、ちょっとかわいい。

 (何かしら童顔だからとか?)

「いえ、魔道具についてと言っていたので。調べるならここかと……」

 そう言うと「なるほど。」とつぶやいた。

「まあ入るか」

「はい!!」

 図書室に入ると、どこを見ても本があった。一体何冊あるのだろうか?きっと数万冊はあるだろう。前世を含めてもここまでの図書室は類を見ない。私が圧倒されていると、クラノストは不貞腐れたような顔をしていた。

「どうかいたしましたか?」

「……いや、あいつの言う通りだよ思うとムカついただけだ。」

 私が首を傾げていると、クラノストは「なんでもない」と、話題をそらして早足で奥に進む。

 私は置いていかれぬように早足でついていくが、クラノストは今どこに向かってるのかよく分かっていなかった。

「……えっとセピノール様、何処へ?」

 そう問いかけると、クラノストは振り返った。

「……魔法陣エリアだ。」

「あ〜」

 意外にもしっかり目的に向かっていた。

 魔道具は、魔法陣が組み込まれて使えるようになっている。どの魔法陣を使われているかが、魔道具の作りを理解する常識だが、これはそう簡単にいかない。何と言っても発表していない魔法陣が組み込まれているのだから。

「セピノール様、だっ大聖女様の時代の魔道具の可能性が高いんですよね?」

 耳元で聞くと「近い」と言って離れて、頷いた。

「……問題はそこだ。当時の魔法陣はほとんど残っていない。」

 私はクラノストの才能を伸ばしたい。どう導こうか。

「大聖女様は魔法を広めたとされています。魔法陣は、魔法を文字に起こしたものなので当時の魔法を調べてみては?」

 (ヒント出しすぎたかしら?)

 クラノストは考え込んだ後、目を輝かせて私の肩をつかむ。

「サンティ嬢!!なんてことだ。考えもしなかった!!確かにそのとうりだな……だったら……ゴニョゴニョ」

 まだ自分の世界に入ってしまった。クラノストと会ったばかりだが、クラノストは意外と分かりやすく、すぐに性格が分かった。

 (……犬みたいで可愛い〜)

 私のことを全くもていなかったので先に魔法書を探し出す。当時の魔法がベースになっているせいか、物珍しさがない。

 (応用ができとらんな!!)

 しかも私が今探すのは前世の時代の魔法、物珍しさがまるでない。魔法はやはり私の知識が1番だ。謎の誇りが生まれてしまった。

 今はクラノストを導くのだ。だから今は使えそうな魔法書を集めるまでだ。適当に何冊を手に取る。

 (え〜と、『400年前の魔法基礎』、あと『空間魔法の呪文』か〜。それと……『大聖女時代の魔道具の魔法陣』)

 かーと顔が真っ赤になるのがわかった。少し理解できずについ二度見してしまう。

 (大聖女時代って何よ〜!?)

 バカな事が書いてはあるが、一番使えそうだから本棚に戻せない。

「いや、分からないな、とりあえず読むか〜」

 ハハハっと乾いた笑いをしながらペラペラと読み出す。

 (当時の魔法はキャエル大聖女が原点……ダメだこりゃ。)

 私は広めただけだもん。原点なんかは全くない。だから論外。バツ

 (え〜と次は空間魔法は、世界の歪みであり転移魔法などもここに属する。だから呪文は基本的に……)

 特に間違いないだろう。とりあえずその通りだもの。ペラペラ目を通したが間違いないからいいだろう。言い回しが長いけど……

 (……最後ね。400年前の魔道具は魔法がまだそこまで広がっていないため、量が少なく魔法陣は今ほとんど残っていない。しかし……)

 分かり易すぎてムカついてきた。間違いがなさすぎる。特に重要な、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言う所が書かれていて実に完璧に近い。

 まさにその通りだ。ふざけたタイトルを除けば何も間違っていない。ふと気になり作者の欄を見るが、何も書かれていない。

 (一体誰の本なんだろう?)

 そんな事を考えながら他の本をペラペラ読む。

 (ふむふむ……ん?なんか人が集まってきたような?)

「何あれ?」

「すごすぎない?あれ」

 ザワザワしだしているのに気づいたのはだいたい読み終わった所だった。

「なんだ?うわすごい本の山!」

「へ?」

「ねえ、君1年生α組の子だよね?」

「あっはい。」

 急に声をかけられ見上げると見覚えのある顔があった。

 (え〜とたしか……)

 生徒会副会長、セピノール・リオルト。クラノストの兄だ。

「えっと、セピノール副会長。ごきげんよう」

 とりあえず挨拶は大事だと、さっと立ってカーテシーした。

「……!あっありがとう。よくそんなに読めるね。何十冊あるんだい?」

 リオルトはそっと視線をおろした。

「そんなに読んでませんよ?」

「まあさっきペラペラしてただけだもんね。」

 何か勘違いしているようで口を開いた。

「いえ、内容は覚えています。ただこんなのはそんなに多くないです。」

 リオルトは口を開いて塞がらない。アワアワしていると、

「……やはり天才か。」

 そう呟いて微笑んですぐに図書室を出ていった。

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