(6)学園への帰宅
10分後
(まだかな〜)
暇だったので、他の転移の魔道具をこっそりポケットに入れた。今クラノストが持っているものよりは使えないが、決まった場所には転移できるから結構使い勝手がいい。
そうしていると、クラノストがやっと顔を上げた。ものすっごい笑顔で。
「これほど素晴らしい魔道具はない!!最低限のマナで転移するようになっているし……魔石がある所なら好きに場所を設定できるようになってるし、それに……」
呆気に取られている私とは対照的に、クラノストはそのまま話し続ける。よくそこまで分かったと関心すらした。だってクラノストが言ってる事はだいたい合っている。さすがにそこまで使い方を理解されるなんて思わなかった。構造は分解しないとわかんないけど、この調子だからきっと理解するだろう。
「でな、……」
「クラノスト様!!えっと帰れるってことですよね。」
「あっああ、そうだな。オルゴールを回せばできるようだ。」
10分でここまで理解するんだ。クラノストは間違いなく、魔道具の天才だろう。きっと前世の私をも超える魔道具は創れるだろう。未来の彼に期待が膨らむ。
「きっと皆が心配している。帰らなくちゃな。」
「はい!」
ゆっくりとオルゴールを回しだす。
パアッ
オルゴールーのマナが展開してゆく。私はビックとして目をつぶる。そうしている間に学園に着いていたようだった。
「セピノール、ミレズム嬢。どこにいたんだ!」
学園に着いたらすぐに先生に大声で言われた。もう11時半を過ぎていたようだ。そしてずっと探してくれたらしい。
「えっとなぜか変な森に飛ばされて……」
「はぁ?」
先生は何を言ってるかという顔をしていた。
「まあいい、とりあえず皆解散だ!セピノール、ミレズム嬢、後日また話します。」
「「は〜い」」
そう言ってぞろぞろと皆は寮に帰っていった。
「……あり得ない。彼女は…キャエル様……」
誰かのつぶやきは、誰にも届かなかった。
「サンティ!何処行ってたのよ!」
寮に帰る時キャロリゼータがそう言って抱きついてきた。心配されてしまった。罪悪感でいっぱいだ。
「ごめんね。私もピンと来なくて……?」
ゆっくりキャロリゼータの背中を撫でる。そうしているうちに落ち着いてきたようだ。
「まあいいわ。食道行きましょう?」
「ええ、行きましょう。」
寮から出て食堂に行くと人が思ったよりもいた。
「私、席取ってくるからサンティが買ってきて。私はクリームシチューね。」
「は〜いわかりましたよ。」
列に並んでいると、クラノストが話しかけてきた。
「サンティ嬢、ちょっといいか?」
クラノストは私の後ろにそっと並んでいった。いきなりだったから少々驚いたがすぐに息を整える。
「どうしましたか?昼食の約束をしてるので、手短にお願いします。」
クラノストはゆっくり頷いた。その後口を開くと思っていた道理の言葉が出てきた。
「今日の魔道具、今僕のところにあるんだが、今度調べないか?」
「……わかりました。明日は予定があるので明後日で良いですか?」
「ああ、問題ない。」
そう言ってる間に私の番になった。
「嬢ちゃん、何がいいかい?」
「では、オムライスにクリームシチューで。」
注文するとすぐに奥に戻って、すぐに用意して持ってきた。
「は〜い。オムライスとクリームシチューだね。どうぞ」
「ありがとうございます。……では」
「ああ。」
クラノストに少し頭を下げるその場を足早に去る。
「キャロリゼータ〜何処〜。っあ」
「ここよここ、ありがとね。サンティ」
キャロリゼータが座っている席のテーブルにクリームシチューを置くと自分も向かいに座った。
「サンティ。明日空いてる?」
「ううん。どうしたの?」
「いやね、友達がサンティに会いたいんだって。」
「へ〜。モグモグ」
聞き流しながら、私になんのようがあるのか考える。正直学園で知り合いもいないし、私なんかに会ってなにするんだろう?
「そういえば、今年は400年に一度の星祭りだね。」
「よく残るよね。そんな伝統。あといきなり何?」
首をかしげていると、キャロリゼータは目を押さえ、悶え出した。
「だっ大丈夫?」
「うん問題ない。ちょっと萌えただけ。」
何言ってるんだろうか。この人は。呆れてため息をつく。そしたらキャロリゼータが何やら回復したようで口を開く。
「明日ってなんか星祭りの影響で満月が12日前倒しになるでしょ?だから思い出したの。」
「……そう?確かにそうだったわね。星祭りは11月なのにおかしな話ね。」
他愛ない話をして、そのまま寮に帰った。そうして、夕飯を食べる前に寝てしまった。
「……」
次の日、私は前世で一番大きかった、王都の教会があった場所まで向かった。どこに立っていたさえ分からないのはやはりおかしい。
私はカバンから昨日持ち去った転移の魔道具を取り出す。
このタイプの魔道具は、詠唱しなくちゃなくちゃいけないのが難点だ。
「空間を制する精霊よ、我に力を分けたまえ」
魔道具は普通の詠唱とは全く違うのだ。マナを自分ではなく、魔道具に宿さないといけない。
この技術は現代では伝わっていない。
「我を助けたまえメタセシ−オルガムニス−」
そうして当時の教会があった場所に着いた時、私は目の前の光景には森と……家があった。
「……へ?」
誤字修正しました。




