(5)クラノスト−真実の鏡−
(どうしましょ?と言うかここがこんなにも綺麗に残ってるとは……)
クラノストを置いてどこか行くわけにはいかない。まだクラノストは起きていない以上待つしかないだろう。しゃがみながら彼を見る。
(まつ毛長いな〜)
ぼんやりとそう思いながら見ていると、クラノストが動いた。
「……ん…」
意外にもクラノストはすぐに起きてきた。でもこのあとどうしようか?
「……サッ……!」
急にクラノスト顔を真っ赤にして後ずさる。そうすると森の木にぶつかった。
「イタッて、サンティ嬢!近い!何しているんだ!?」
クラノストはアワアワしながら言い出した。確かに少々はしたなかったかもしれない。
「すいません。ここ来てしまってからセピノール様が気を失っていたので心配で……」
とりあえず、正直に言うと呆れたような顔を向けられた。
「ッコホンまあそれよりもここはどこなんだ?森の中のようだが……」
「えっと……」
言葉を詰まられてしまう。ここは何処か知っているが普通に怪しい。こんな所をどうして知っているか聞かれたら答えられない。ここはしらを切よう。
「どうにも森の中に飛ばされてしまったようで、私もわかりません。」
何処にいるか言えない。でも、変える方法は知っている。どう持っていこうか?
「まあそうだろうな、すまない。混乱しすぎた。」
そう言われても困ってしまう。まあ、今は教会に入りたい。そこから帰れるはずだから。
「あのセピノール様、雨が降りそうなのでとりあえずあの教会に入りませんか?」
そう言うと、暗いから確かにと教会に入ることになった。
「古い教会だな。使われなくなってどれくらい経ったのか……荒れすぎじゃないか?」
「確かに荒れてますね。」
昔と変わらなすぎるので正直そう思えない。むしろ前世に軽く直した時の状態だったので、最初に来た時よりずいぶんと綺麗になったと思ってしまう。
「……ん?これは?」
クラノストがステンドガラスを見て止まった。何かあるのかと見上げるけれど、特になんの変哲もない。
「ここの教会にあるステンドガラス、学園にあったものにそっくりだ。」
確かにデザインが似ているがそれほどだろうか?
「何か問題でも?」
「理由は不明だが、あのデザインは大聖女様が亡くなられる時に禁止されている。」
「へ?」
ふぬけた声が出た後固まってしまった。そうだとしても何になるんだ。何に驚いているか全くわからない。
「……この国で大聖女様がご生存の時にあったとされる教会は未だ見つかっていない。いや、存在しないはずだ……」
そんな事、聞いたことがない。つい固まってしまった。なんでそうなってしまったのか、全くわからない。
「聞いたことがないです。」
「まあそうだろうな。最近研究でわかったことだからな。」
額に手をあて、うなだれるように、クラノストは言う。そんな彼がなぜ悩んでいるのか全くわからない。
「……え~と、それよりも帰れる方法を探しましょう?」
咄嗟に話題をそらすと、「そうだな……」と言って顔を上げた。
「学園からこちらに来れたのなら、こちらから学園に行くことも可能なはずです。」
「確かにそれらしい物はあるやも知れんな。」
そうして教会を捜査する事になりました。正直私は転移の魔道具が何処にあるのか分かっているので、すぐにでも帰れるのだがクラノストには悪いがもう少しここを探索したい。なぜここに来たのかわ全くわからない。それを追求したいのだ。
しばらく見回っていると、女神像の裏に、銀の鏡が埋め込まれてあった。
「何かしらこれ……?あれ?」
見覚えがあったそれを女神像から外して顔の前に持ってくる。それには前世の……私マナを感じる。
扉とは違うが、その鏡から目が離せない。手放すこともできず、強く握る。
パアッ
鏡が扉のように光った。まぶしいのに目が閉じれない。その鏡に映る私は私じゃない。
制服じゃなくて……前世、最後に着ていた服を着て……鏡に映る私は泣いている。前世の私。今の私とそっくりなのに、違うとわかる。
(なんで?どうして、私がかけたはずの魔法なのに……かけた記憶がない……ッ)
急にとてつもない頭痛に襲われる。何かが流れ込んでくる感覚、ピキッと鏡にヒビが入る。
「ハアハアハアッ」
勘違いしていた。前世のことは全部覚えていると。そうゆうものだと。でもさっきの魔法を覚えてなかったり、所々忘れていた。特に重要な記憶を……
私がぐっと歯を噛み締める。
(でも、良かった……思い出せて……)
鏡を戻し、息を整える。今は学園に帰らなくちゃ。
先ほど見つけた転移の魔道具を取りに行く。
「いけない!!ここを見つからないようにしなきゃ」
魔道具を置いて、こっそりと隠蔽魔法をかける。気づかれぬように呪文を省略して。
「エクサファニ・フォス」
そうしてすぐにクラノストのもとに向かった。
「セピノール様、それらしいもの、見かけたのですが……」
「本当か!?」
クラノストは思いの外大きな声を上げた。
「はっはい。オルゴールみたいな見た目でしたが。」
「そうか!」
変にテンションが上がっているクラノストが不思議でならない。
「……随分喜びますね?」
魔道具のある所へ案内しながらも、そう問いかける。
「大聖女様が生きていた時代の教会だ。そこにある魔道具もそれくらい昔のもの、魔法全盛期のものだ。興奮して何が悪い。」
「あ~なるほど」
そう話ている間にも魔道具を置いた場所までたどり着く。今さらながらクラノストがこの魔道具をどう使うのか分かるか不安。
(忘れていたけどこれは400年も前の代物……構造がわかるか以前に使えるのかしら?)
ビクビクしながらクラノストを見るが、すでに完全に集中モードだった。
手直ししました。
11/28手直ししました。




