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元伝説の聖女のたった1年の学生生活  作者: びわ
1章−静かな学期−
21/32

(20)クリオブその3、魔法と演劇−何かの変化−

 ()()、私も実際に見るのは始めてだった。

「えっと……金色って……」

「すっすごいぞ!聖女様をも超えるレベルになるかも!」

「へ?え?」

 肩をつかまれ詰め寄るキャロリは顔を真っ赤にして混乱していた。キャロリは私に助けを求め見てくるがリオルトの気持ちが分かりすぎるから止められそうにない。

 (キャロリが……キャロリが……!)

 金色の魔力は私より前の伝説であり、伝説の200年前、今から600年前に存在したとされる王族、フレジリオーク・クロノスと同じ魔力の色だ。

 彼は魔力が高く、魔法の原点は彼だ。私が広めた魔法のほとんどが彼の作ったもので、天才だったとされている。

 それに付け加え女神アルガーペの愛し子とも言われている。

 けれど、何故か歴史の教科書や資料には全く持って登場しない王族だ。

 私が彼の伝承を伝えるまで存在すら分かっていなかったような偉人。

 思考を巡らせ夢中になっているとリオルトは爆弾を投下した。

「……そういえばミレズム嬢も測ってみてくれないか?」

「……」

「いいですね!サンティさん!首席の実力、見せてください!」

 ケノンは魔法より先に空気を読むことを覚えてもらわなくてはいけないかもしれない。しかし……

 奥歯を噛み締め、ため息をつく。空気を読めすぎるのも考えものかもしれない。

「わかりましたが……何があっても私の責任はありませんよ?」

「?どういうこと……」

 パッリン

 紫じみた白い光、一瞬光ったのとともに水晶は粉砕してしまった。

「え?え?」

「では私はもう帰ります。ありがとうございました。行こ。」

 キャロリケノンの手を引っ張りその場を駆け出す。今世の12歳の時に全く同じ事があった。魔力検査の時に同じように割った事が。

 魔力検査は通常水晶がすこぶる魔力の吸収がよく、そしてすぐに吐き出す性質のある魔石によってできている。

 魔石に入れる魔力の量が限界を超えということだ。

「さっサンティ?」

「次の所行こ。」

「え〜どこに?どこに?」

「……演劇?」

 きっとあの水晶は高いだろう。先に言っておいたが、責任転換は無理だ。


(……そう言えば……リオルトの痣てなんだっけ?)


「……規格外が過ぎる……ミレズム・サンティ嬢……」

 彼の手のひらに三角のマークが浮かんでいた。


 ◇◆◇


「何で逃げたの?」

 ケノンがキラキラした目で聞いてきた。この子はやはり世間知らずだろう。

「あのままだったら弁償させられるかもでしょ?」

「あ〜、そういえばキャロリさんの魔力が金色でリオルト先輩とサンティさんが興奮してなかった?なんで?」

「金色の魔力は、魔法を造った人と同じ色なのよ。」

 興味津々に聞くケノンに優しく答える。魔法が広まっても、造った人よりも広めた人の方が印象に残ったのだろう。ただでさえできてから広めるまで200年たっている。ケノンは「魔法って大聖女様のじゃないんだ」と溢した。

「サンティ……ハアハアが凄いとは分かってたけどここまでとは……」

 息切てているキャロリが変なことを言っていた気がするが無視だ。今は一旦演劇クリオブだから。


「そういえば演劇は何するの?」

「劇が見れると聞いたけど……」

 演劇の集合場所は入学式に行った会場。運動なんてしないのに何故か体育館と呼ばれている。

 そこの扉の前に、パンフレットのようなものが置いてあり、役と、誰が演じているかが書いてある。

 ゆっくり扉を開けると運よく小さな音で気づかれることなく中に入れた。舞台には数人の役者、後は新入生の人が椅子に座っている。私たちは取り敢えず一番後ろの人のうしろに座る。

 内容は前世の私を中心としたお話。多少改変されているが……

 時間的にクライマックスだ。

「おおっホホホ!チャルメイト・キャエル!お前のせいで計画が狂った!」

 悪役を演じるのはプローテ・アガペーという令嬢。役はフィロソン・リノン。いまだに語り継がれる悪女だ。

 内容は正直現実とは全く違うが、まあいい。意外と楽しめた。


 ◆◇◆


 劇が終わり、その日はそれで終わった。

「あ〜楽しかった!あとから来たのに楽しめたね。」

「そうね。ねっサンティ。」

 キャロリの肩に手を置かれ一瞬ビクッとした。

「……そうね。」

 奥歯を噛み締め作り笑顔を作る。何故だろう。全然笑えないのは。


 その日の夜のこと。

「サンティ。明日は何処行く?」

 お風呂後に、髪の毛を乾かしていたらキャロリが聞いてくる。

「そうね〜。社交にでも行きましょう?たぶんあそこは遅れちゃダメだし。」

「そうね〜。」

 そう言いながら私はベットに座る。

「電気消していい?」

「いいよ。」

 ベットの中に潜り込み、真っ暗な部屋の中でクスクスと笑い合う。


「おはよ。」

「おはよ。クシ貸して。」

 キャロリとの生活もだいぶ慣れてきた。私は髪を梳かす。

「今日は社交に行くんだっけ?」

「確かそう。」

 寝ぼけながら身支度を整え、私は日課の本を読む。

「……サンティ、なにそれ?」

「これ?神話。」

「うわ〜」

 何が、「うわ〜」だ。別にいいだろう。私達は部屋を出た。


 教室に着くとフロガに絡まれた。いつもどうり軽くあしらうと、「自分は剣術に入ります!」

 と言って何処か行った。

 ケノンたりと軽く話したら私はクラノストに声をかけた。

「クラノスト様はやはり魔道具に行ったのですか?」

「ああ。実演と簡単な陣を描かせてもらった。」

「へ〜……」

 そっちもそっちで面白そう。

「どうだ?今日も行くなんだが、来ないか?」

 だいぶ食い気味に聞いてくる。私はそれを丁重に断ると、少しショボンとしていた。


 ◇◆◇


 社交のクリオブは主に女性しか入れない様になっている。だから参加するのも皆女性だ。

 コンコンコン

 私は扉を叩くと中から「どうぞ」という声が聞こえた。

「失礼します。」

 中に入るとお茶会の様に何組かのテーブルが並べられていた。

 私は一旦カーテシーをする。キャロリも同じく。ケノンは私たちのマネをする様に膝を曲げた。

「……アウト」

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