(1)入学式
フレジリ王立学園。15才になると、貴族と魔力が一定以上ある者が入る事が決められている。何でも大聖女が亡くなった年に弔いの意味を込めて出来た由緒正しい学園なんだとか。そして亡くなったとされる4月5日に入学式をするのが風習だそうだ。
そして私、サンティ改めミレズム・サンティは、今日で15才になった事で、フレジリ王立学園に入学する。何故か私の前世生まれた日、死んだ日、そして新たに生まれた日が全て一緒なのだ。だから今日!命日&誕生日&入学式だ。
「新入生の人は集まってくださ〜い。」
黒い髪とメガネの先生に呼ばれ皆その先生の元へ集まり出した。
(早く行かなくちゃ!)
先生は皆がいることを確認したら、口を開いた。
「え〜皆さんは、今から会場に入っていただきます。入る順番は、魔力と身分で決めています。後これは、クラスの順位とも同じだからな〜」
そう面倒くさそうに言う。魔力と身分で、クラスが決まってるか……なる…ほど?多分魔力だけだと庶民が、一番上のクラスになるからだろう。
庶民は一般より上の魔力が必要だが、貴族は少しでもあれば入学できる。
「まずは〜首席のミレズム嬢。ここに並んで〜」
「……!」
皆が私に注意目する。と言うか睨まれる。
(そうですよね〜よく分からない私が首席なんて……でも何故で睨むの?)
そう思いながら前に着く。
魔力検査の時、機械を間違えて破壊してしまった事で、主席になってしまったのだ。身分はさておいて、計測不能の魔力量は、一発アウトで首席らしい……いや、一発逆転?
その視線の半分は嫉妬、半分は美しいサンティに目を奪われているのだが、彼女は嫉妬しか感じていないようだった。それも、理由の分からぬ嫉妬だけを…
首席だからって睨む必要ないだろうに何かあるのかな?そう思いながら、言われたところで待っていると、先生がまた声を出した。
「次!次席のセピノール・クラノスト。」
そう呼ぶと、彼は私の横に来た。エメラルド色の目が特徴的で、金髪の中に黒が混ざった髪だった。
セピノールと言うと、魔法師の家系だったかな?今の魔法師団長のとこ。
(年齢的に考えて次男かな?……あ~!なるほど。だからなのね。)
何で睨まれていたか分かった気がする。魔法師の家系の子息がいるのに首席はおかしいと言うことか!先生は、『魔力と身分で決めている』と言った。のにも関わらず魔法師の家系が子爵より上の伯爵なのに首席じゃない。と言うのが気に食わないのだろう。
苦笑しながら横を見ると、無口無表情である。見目麗しい容姿だが、つまらなそうにしていて全く惹かれない。何もする気なないような顔に、無機質な性格なのかだなと密かに思った。
そうすると、少し見過ぎたようで、目が合った。無言で見ると、彼は顔を背け、ため息をつく。
その時の彼の目は、少し怒りや、苛立ちが見えた。
何か気に障ることをしただろうか?そう思いながらも、まあ首席になっちゃたしと、軽い考えで流す。
そうしていると、先生が、全員並べられたようで、もうそろそろ会場に入るだろう。
まもなくして、入学式が始まった。首席となったのは、驚きだし緊張もするけれど、何かスピーツをさせられないだけ、ましだろうと、考えた。と言うか、そう思っていかねば精神が持ちそうにない。
正直言って目立ちたくない…まあすでに、魔法師団長の息子を差し置いて、首席になっているのだが……
「……次に、生徒会からのお話です。」
「……」
そう言われると、横に座っているクラノストは複雑な顔になる。少し気になりながらも、生徒会の話を聞いていると、クラノストが何で、あんな顔をしたか、すぐに分かった。
フレジリ王立学園の生徒会長副会長、セピノール・レイオン。クラノストの兄である。
ツヤツヤでクセのない綺麗な金髪、美しくエメラルドの様な瞳、そして整った顔立ち。そんな彼の誰にでも分け隔てなく接するその姿を、と皆は、『物語から出てきた王子様』と評した。そして『黄色きガーベラの貴公子』と、彼は呼ばれている。
彼が優秀なのは、言うまでもなく。魔法に関しては、学年で圧倒的トップ。それ以外は全て2位。(ちなみに1位はいつも、生徒会長らしい。)そんな兄を持ちながら、次席で入学は、居心地が悪いだろう。
(さっきの怒りの籠もった目も理解できるわ)
ずっと比べられてきた兄に対しての対抗心や、劣等感に押し潰されそうだっただろうに。
(そうですよね!入学初日から、兄以外負けてしまったのですもんね〜嫌になってもしかったないやもしれません)
兄弟仲が悪いにしても、あんな顔ではしないだろう。怒りと嫉妬以外に、憧れの目をしていた。
元侯爵令嬢なだけあって、人の表情や感情に敏感だ。どんなに努力しても、届かないものを諦めた顔をしているのを、彼女はすぐに分かるのだ。一瞬の表情すら見逃さない。前世では、完璧淑女と呼ばれていただけあるだろう。
(そういや何か視線を感じるような……?)
完璧淑女の品のある仕草に皆が魅了されるかのように目を向ける。彼女は、そんな憧れの目に慣れすぎて、好意の視線に鈍感になる一方、悪意ある視線には、敏感になった。
そんなふうに思考を働かれていると、入学式が終わった。この後は、入学の手続きによるプリントやら寮の部屋決め、寮説明やらを受けた。
寮では使用人禁止、男女で寮は分けられており、共有の中庭と食堂がある。それなりに大きな部屋ながら2人が同じ部屋を使うというもの。ついでに各部屋にキッチンがあるらしいが、ほとんど使われないそうだ。
入学のしおりは、渡されたものの、細かい説明は後日で、今日はもう寮にて休むよう言われた。
皆が各自言われたの部屋へ行き始めた。私も皆に続くように、言われた部屋へ行く。
(おんなじ部屋の子と仲良くできたらいいな……)
少し不安はありつつも部屋のドアを開ける。
クラノストとその兄の目の色を赤からエメラルドに変えました。あと、兄の名前をリオルトからレイオンに変更しました。ご了承ください




