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元伝説の聖女のたった1年の学生生活  作者: びわ
1章−静かな学期−
17/24

(16)日常

 その後は歴史の授業が始まった。

「……で、国が誕生しました。え〜ここまで分かりました?」

 へスライド先生はそう言って板書する。この辺は童話でもよく出てくるからみんなふむふむと特に問題なく進む。

 私は前世の妃教育のおかげで先生が言っていない分まで知っている。

「ん〜ミレズム嬢、この時と今の違い、分かりますか?」

「この時は帝国だったとか?」

 前世は今より400年前だったから今より歴史が近かったけど今も残ってるなんて……

「おお!よくわかったな!その通り、建国時は神の後押し故に帝国と呼ばれていた。」

 皆がノートに移していると、チャイムが鳴った。

 ―ラタタッララタター―

「え〜じゃあ解散!」

 先生がたったと何処か行って呆れた。もうちょっと生徒の質問に聞くとかあるでしょうに……

「サンティさんすごいですな!私は理解出来てるかも怪しいところで……」

 ケノンが駆け寄って来た。ほら、こんな人もいるのにすぐどっか行くってどうなの?

「私は勉強が好きなだけですよ。」

 そう笑うと、尊敬の目で見られた。

「好きなんて一生かけてもないかも……」

 俯いて彼女が言うから返事がしづらい。乾いた笑いを返す。

「言われたら勉強会くらいしましょうね。」

 そう言うとケノンは目を輝かせて大きく頷いた。次の授業は確か古語だったはずだ。

 私の一番得意科目、だって前世の書物を読むだけだもの!強いて言うなら自分の書いたものもあって恥ずかしいくらいだ。

「次は古語ね、もうそろそろ座ったら?」

「あっそうですね!」

 ケノンは慌てて席に戻る。私とケノンの席は一番前と一番後ろで真逆だ。

「サンティは勉強もできたのか」

 ふむとクラノストが顎に手を置いた。確かに私は魔力の高さで首席合格したようなものだし成績は分からないものではある。

「そうですか?基本的なのは予習してきましたし。」

「そうか。」

 その日は何事もなく授業が終わった。問題があるとしたらフロガがちょこちょこやって来るくらいだ。


 ◇◆◇


 授業はよい調子で進み、いつの間にか5月になった。

「サンティさん〜」

 そう言ってケノンは私に寄りかかる。私は軽く背中を擦った。

「一体どうしたの?」

「実は、歴史の授業が全く分からなくて……」

 ケノンはどうも勉強が苦手なようで、ケノンは私のしょっちゅう勉強で聞きにきた。

「じゃあ今日の放課後図書室行く?」

「行く!」

 何気ない話をしながら次の授業のためにその場はわかれた。

 ―タララッタタラー―

 チャイムと同時にへスライド先生が入ってくる。前の授業が歴史だったから二度連続はないだろうけど。なんだろうか?4時間目は何か分かっていない。

「は〜い今回は、皆さん学園に慣れたこの頃に!」

「クリオブについての説明で〜す!」

 忘れかけた団体活動。その説明も何もよく分からない。

「前言った通り学園での団体活動だね〜。これが意外と重要なことがあるの〜」

 腑抜けた態度はいつも通り。でも話している内容は結構大事そうだ。

「え〜クリオブの6つ。魔法,剣術,社交,魔道具研究,あと演劇,魔生物のどれかに所属してもらいます。」

 淡々と話す先生と違い生徒、後ろの視線は活発だ。クリオブに興味津々。というのが正しいだろうか。

「これが1年でも特大イベント!文化祭にも関係するんだよね〜」

 その辺は全く持って分からないが実行委員会があるくらいだったはずだ。

「とゆう事で!今日はどのクリオブに入るか決めてもらいましょうか!」

「「「は〜い!」」」

「!」

 いつものの皆と違う姿に少々引く。でもそれだけ人気があるものだろうか?

「じゃあプリント配るからあとは好きにして時間来たら解散で。」

 怠慢な様子に呆れながら後ろにプリントを回す。

「じゃあ後はやっといて〜じゃっ」

 ガラガラと扉が閉まる音が教室に響き先生がいなくなる。

「……何やってるんだ。」

 隣のクラノストがつぶやく。実にその通りだと首を縦に振る。

 配られたプリントには、クリオブ体験、入り方。それぞれの活動内容など。

「……クラノスト様は何処に入るおつもりで?やはり魔法でしょうか?」

「いや、魔具のつもりだ。」

 即答する。魔具クラノスト才能がありそうだから丁度いいだろう。でも魔法じゃないのは少し意外だ。

「そうですか……私はどうしましょう?」

 少し首を傾げながら微笑むと、クラノストはふむと顎に手をやった。

 (まぁ1つ興味はあるけど……)

「サンティ嬢は魔力が高いからな……」

「まだ時間はある。悩んでいるのならクリーブ体験したらどうだ?」

「まぁ、それもそうですね。色々行ってみます。」

 残りの時間はプリントを読んで時間を潰した。


 ◆◇◆


 授業終わり、ケノンとキャロリゼータと一緒に図書室へ向かった。

「キャロリゼータさんも分かんない事ってあるのね〜!」

 歩きながら後ろからキャロリゼータの背中をツンツンする。

「まぁ、隣国語の方が上手くいってなくて。」

 彼女は照れながら頬を掻く。私は「フフっ」と相槌をする。

「サンティさんは苦手なのないの〜。」

 次は私が標的にされたようで私の背中をツンツンとされた。

「隣国語と……刺繍が苦手よ。」

 これは本心だ。前世と隣国は名前も言葉も変化してほとんど前世の知識が使えない。少し文面が似ているくらいしか共通点がない。

「でも授業ではすぐに答えるよね。」

「予習を欠かさないのよ。サンティは。」

 私じゃなくキャロリゼータがきっぱり答えて私からケノンを引き剥がす。

「あっでも刺繍は見たことないな。キャロリゼータさんは知ってる?」

「……」

「……圧を感じますので言えません」

 刺繍は全くもってできない。記号や文様は()()()けれど絵は超のつくほど苦手でそれと一緒で刺繍もからきしだ。

 前世では唯一諦めた生徒だとすら、刺繍の先生に言われたほどだ。

 刺繍では記号すら縫えない。まあ魔法陣とかは問題ないから良いけれど。

「しっ刺繍は必須でもありませんし、女子はテストだけで実技はないので問題ないですもの!!」

「あっサンティさん焦ってるの初めて見た」

「確かに」

 冷静に私を解説する2人に顔を真っ赤にさせた。

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